うそつきな、銀ちゃん。

ずっと一緒だって言った。手を繋いで、額をよせて。

言ったよネ。なんでうそついたの。それとも、これがうそ?今、銀ちゃんが鮮血を散らせて地面に向かって倒れゆくことが。

ぴちゃり。頬に赤色がついた。生暖かい。その後にばたんと聞こえた。

どうして、私のヒーローが倒れているの。綺麗な程に真っ赤な血が銀ちゃんを中心に円になって広がっていく。それが髪にも付着して、銀色と赤色のギャップに思わずぞくりとした。

カラン。かわいた音で木刀が落ちた。ふたつに割れて。その向こう側に私と同じ髪と瞳を持つ男が見えた。

「さよなら、お侍さん。」

やっぱりな。という冷めた気持ちがあった。やっぱり、銀ちゃんは神威に勝てなかったな。仕方ないヨ。だって夜兎だもん。

それでも、銀ちゃんが倒れていることを信じられない。神威が負けるわけはない。でも、銀ちゃんが死ぬわけもない。

そんな淡い希望はうそだとは知っているけど、思いたくない。信じたくない。うそ、うそ。それはうそ。全部うそ。銀ちゃんは死なない。

「銀ちゃん、生きてるよネ。うそなんてつかないよネ。」

「馬鹿?死んでるのなんて一目見てわかるだろう。」

「死なない!銀ちゃん、は、死なな、いアル。」

がくりと膝が地面についた。銀ちゃんに近づいて髪を触る。血が体中についた。あたたかい。まるで銀ちゃんに抱きしめられているみたい。

「死なない死なない!銀ちゃんは私を置いていったりしない!銀ちゃん!銀ちゃん!うそつかないで!銀ちゃん!」

何を叫んでいるのかわからない。何を言ってるんだろう。自分がふたりいるように感じる。冷静に死を受け止める自分。そして死を受け止められずに狂う自分。

何もわからず叫んでいる。銀ちゃんの体を揺さぶって。銀ちゃん胸のところから血がどくどくと溢れている。

いや、いや。置いていかないで。銀ちゃん、うそつかないで。




銀ちゃん、私も、いく。




カチャ。私の傘を頭に突きつけた。




liar hero




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