彼女は言う。何も纏わぬうつくしい身体を、俺に添わせながら。

神が真に存在するのかは、定かではないわ。何故なら、人間は、ないものをつくりだす力を、持っているから。


人は死んだら天国に行くのか、地獄に行くのか、はたまた何にもなくなってしまうのか。人間は死後の世界までつくりだしてしまうの。それを確認する術もなく、私たちは死んでゆくのだけど。


だけど私はまだ良い方。貴方の様に人を殺めていないから。誰にもわからない人の末路、そこに人を追いやる気持ちなんて私は決して味わいたくはないもの。


ねえ、そんな貴方にも神は居るのかしら。




俺の手から煙草を奪い、ジュウと畳に押しつける。溜息をつくと、煙草はキスが不味くなるからと睨まれる。彼女は普段おしとやかそうににこにこと笑っているけれど、ほんとうはキスとセックスを愛する女だ。


でもね、神が居ようが居まいが、結局のところどうでも良いの。神にセックスをすれば地獄に堕とすと言われても、きっと私はセックスをやめないわ。貴方も何があろうと、決して刀を置かないでしょう。そんなものよ。



彼女はこう論じてはいるが、神など居ないとと信じて疑っていないのだ、きっと。神が居ると不都合だからだ。自分だけが良ければ良い、彼女も俺も、否、誰もがそう考えているのに、どうして神が居る必要がある?

彼女は俺の唇をちろりと舐めた。不健康ながさがさの唇を舐めたところで、何が楽しいのか。しかし彼女はクスクスと、ころころと笑う。そうだ、これは傷の舐め合いだからだ。







普通に公開していたものですが、こちらに回させていただきました。


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