何で俺ら手ェ繋いでんの?柄じゃないじゃん気持ち悪ィじゃん、でも付き合ったからには帰り道は一緒に帰ったりメールは定期的にやりとりするのがセオリーだか何だかで結局俺らしっかり付き合ってんだな、気持ち悪ィ。敷かれたレール走んの、何より嫌いだったのは俺らだったじゃねーか。糞、何でこいつこんなに手ェちっちゃいんだよ腹立つ。
そもそも何で付き合ったんだっけ?アアそうだ、いつもみてェにおちょくってたら「コイツぜってーわたしのこと好きアルヨうぜー」とか言ってきたからむっとして「ああそうでィ好き超好き構ってほしいからちょっかいかけてんの」か何だかいって神楽が照れて、脈ありじゃんって思ってそのままちゅーして。少女漫画レベルにベタ。だけど思った以上に心臓はどくどくと打っていた。若いって怖ェな。


「沖田じゃないアル」
「は?」


駅までの道を歩いているとき、俺の隣で手を繋いでいるこいつはいきなり立ち止まってそう言った。斜めに俯く姿を見て、こいつも黙ってたらモテモテなのにな、なんてふと思った。


「前の沖田はもっといっぱいしゃべって、いっぱい笑ってたヨ。だけど今の沖田はずっと仏頂面ネ」


「…そうだな」


そうだなって何?そうだなって何?テンパりすぎて変な返事しちまったじゃねェか。いや、テンパったっていうよりショックを受けた。つまんねェって思われてたことに。

確かに俺は付き合ってからしゃべらなくなった。顔も仏頂面だった。だけど、恥ずかしいじゃん。その、彼女とかいうやつと何しゃべればいいかわかんねェじゃん。それにすぐにやけそうになる顔は、しかめっ面じゃないと隠れないじゃん。

手が離れそうになった。こいつが手の力を緩めたのかもしれない。だけど、それだけはどうしても嫌で、ギュッと強く手を握った。目と目があう。全身が心臓になったかのようにどくどくする。こんな俺ダサいし気持ち悪い。何だよこれ、知らねェよ。


「お、れは」


何でこんなに言葉が出てこないのかわからない。何でこんなに緊張しているのかわからない。こんなの、すっげえ好きみたいじゃん。


すっげえ好きみたいじゃん。







何かに気づいてしまった俺は、ますます頭をぐるぐるさせながら、言葉を詮索する。








煩悶少年/120507







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