最近ずーっとなまえに会ってない。会ってないけど彼女はちゃんと連絡をくれるし、いつもは短文のメールなのに今はまだ仕事が始まったばかりのようで、褒められたとか、怒られたとか…美味しいコーヒーの入れ方を研究しているとか
そんな話しを色々メールに書いてくれて、嬉しいと思う反面彼女に触れたくて触れたくてたまらない。
香水をつけていない彼女が好きだが、彼女が香水をつけていてくれればそれをハンカチにでもつけられて持ち歩いたとかバカな事を考える始末。
とりあえず早く彼女に会うために仕事を終わらせたくて必死に働いた、勿論事務職以外にもやる事はあるので太陽が出ているうちは外へ出て仕事をしたり、昼は本庁
勿論その逆もしかり。連続通り魔事件で犯人がつかまらないとかで本庁が動くため部下が数人いなくなったり、とりあえずやる事は山積み
風見に買ってきてもらうゼリーやカロリーメイト、他にも部下たちが差し入れに持ってくる簡単に食べられるものを適当に貰って食べたり
あぁ、なまえに会いたい。軽口を叩きたい、何にでもならなくて良い時間が欲しい
ありのままに、自分が自分でいられる、何も被っていなくていいその時間が恋しい
気づけば手に持っていたえんぴつを食べていた
「降谷さんそれ食べ物じゃないですよ!」
風見に注意されたので、それを見るとえんぴつ。あぁ、これ食えないものか。えんぴつだって認識していたのに気がつけば食べていた
手に持っているとなんでもかんでも食べ物に見えてくる
「降谷さん、次の仕事は?」
「あぁ、次の仕事は好戦的な団体がいると聞いたのでそこの調査に行くのですが、その団体に一人で入るのは些か大変なので「降谷さんそれそこからは言っちゃだめなやつです!」
あぁ、そうだったか。
「あれ、なまえここにいたんですか」
目の前にいたなまえと同じ体系をしている部下(男)に抱きついたあたりで電話をしていた風見が慌てだした。なんなんだいったい
「だ、だれか降谷さんを寝かせろぉおお!!」」
五月蝿い部下だ。そのまま引きずられるように仮眠室に連れていかれて、そこにある、もう少し高いの買えよって思えるくらいの、簡単で軋むベッドに横にされて、すぐに眠りについた
眠りにはついたが丁度30分くらいで目が覚めるのが仕事の時の事。家のベッドだとぐっすり眠れるのだが、仮眠室だと眠るのに丁度良い時間だといわれている30分ほどで勝手に目が覚めてしまう。たださすがにしばらく休憩したほうがいいと思い、廊下を歩いていたら、自分が歩いている反対側のほうから部下が三人ほど来た
「お疲れ様です、眠れましたか?」
「あぁ。お前たちは休憩中か?」
「ええ、休憩しに行こうと…降谷さんもまだ仕事に戻らないなら彼女さんの話しでも聞かせてくださいよ」
それから会議室が開いていたのでそこに入った。馴れ初めから今に至るまでを出来る範囲の事で説明をする、任務の内容や潜入した先の事などの詳しい話しまでは伝えられないが、それに関わる部下だと深い事情以外は話が出来る。
そういった事で話せる範囲でだが、彼女の話しを終わらせた
「じゃあ、降谷さんデートっていうデートは…した事ないんですか?」
「そうなるな」
「えー…いくらなんでも彼女さん可哀想ですよ」
「なまえは何を考えているか知らないが、俺はなまえと遊びに行きたい。というか俺の彼女は離れててもほとんど連絡寄越さないし、出かけたいとかデートしたいとか一言も言って来ない…な。うん、言われたことが無いですね…」
男4人が会議室の椅子に座り、なまえがデートに誘ってこないことや、自分の彼女の場合の話しとかをしていた
「いやー、でも俺結構泣かれますよ。仕事が入ったとかが繰り返されると…まあ可愛いとは思いますけどね。仕事だからわかってくれーって思います」
「あぁ、わかるわかる。そのくせあっちに予定があってこっちの予定蹴ったりな」
「女ってわかんないんすよねー…」
「そのてん降谷さんの彼女さんいいじゃないですか、全部わかっててくれて会えなくても文句言って来ないんですよね?」
「俺は言われたいんだ。もっと会いたいってワガママ言われたいし、デートにも誘われたいし、もっと俺を求めて欲しい…あーもう夏ですし、どこか行きたい」
この部下たちはなんて贅沢な事を言っているんだ。こっちとしては困らせてもらって大いに結構、それでも結局仕事は行かなくちゃいけないから心苦しいかもしれないが、それでも言われたい。行かないで、とか会いたいとか彼女の口から聞きたい
「じゃあ、夏祭りですね。あと海とか」
「食べさせたいものとか考えたらどうですか?」
それだ。とりあえず彼女が遊んでくれなくても妄想、想像の中で彼女と遊ぼう
もしくはもし、あそべた時の事を考えてプランでもなんでもたてておけばいい。備えあれば憂い無しっていうのはこういった事だろう。そんなわけで何を食べさせたいか、という話しから何を食べさせたらそそられるか、という話しになった
「チョコバナナ!」
「あーあるある」
部下たちが意見を言って頷いている。チョコバナナ…ね
「俺結構アイスとか食べてるの見てるの好きですよ」
「ホー?なぜです?」
「舌を小さく出してペロッてしてるの可愛いと思います」
彼女がしているのを想像したら、なるほど、確かにくる。もっといったところを考えると彼女の口の周りについたアイスを舐め取りたいくらいだな
「りんご飴!りんご飴とかいいじゃないですか!?」
「その根拠は!」
「単純に俺の彼女が食べてる姿が去年可愛かったです!唇も赤くなりますし!」
りんご飴か…なるほどなぁ。
そのうち聞いてるのが俺ではなくて、司会役の部下が出てきた
「よし採用!次!」
何に採用したのかまったくわからないが、リンゴ飴を食べさせようという気持ちにはなった。
それから話しは夏祭りから海へと移動した
「水着はビキニはやめさせたほうがいいです!目を離した隙にナンパされます!」
「彼女のビキニ姿は見たいので僕はどっちとも意見し難いです!」
「降谷さんは!?」
「ビキニ…着て、その上に上着とかを羽織ってもらえれば…」
「あぁ、それなら二人きりの時には脱いでもらって、見られますね」
「いや、それを俺が見ている奴らの前で脱がす。脱がしたついでにキスマークつけておけばそれを見ていた人たちは近寄って来ない」
手を組んで肘をテーブルにつき、その組んだ手をだいたい鼻の下あたりに持ってきてその手に顔を寄りかからせるようにした。まあよくある会議が進まないときの格好だ
こっちはいたって真剣に言っているのに、聞いている部下たちのほうが顔を赤くし始めた
こっちは部下の赤い顔なんて見ても面白くともなんともない