こんな時に限ってiPhoneの充電がきれた。そういえば昨日彼女を抱いて寝て、そのまま充電し忘れて寝たんだったと気づく。仕事用ので電話はかけられるが、彼女の居場所はこっちではわからないし、電話をしてみても繋がらない
とりあえず公園のほうまで行ったら見知った刑事がいた。今は新一くんだが、よくコナンくんに事件の詳細をもらしてしまっている…確か高木
車から降りて彼の元へと歩み寄ると、こちらに気づいて俺のほうに荷物を持ってきた。どうやら結婚したという話しは彼も知っているようだ

「安室さん!あの、これ」

「…ええ、彼女のです。借りても?」

「あ、はい。どうぞ」

見てすぐにわかる。いつも仕事の時に持ち歩いているトートバッグに財布、その財布を借りると中身を確認した、中身が小銭以外入っていない。彼女は急に蘭さんたちとの約束が入ったり新刊が発売になったりした時用に、まったくお札を持っていないという事は絶対無い

「彼女は?」

「いえ…なまえさんは見つかっていないようで」

「そうですか…ありがとうございました」

彼にお礼を言ってから車に乗り込むと、風見たちが一人犯人を捕まえて拘束したらしく、その現場に今現場に出ているの警察官が向かっているという
次々に犯人の情報が入ってくる中、犯行はまだ続けられているらしい。こんな大勢の警察官の目をくぐり抜けて犯行に及ぶ犯人たちはいったい何者で、何を思ってやっているのか
彼女がいた三丁目の通りの道に入るには、車は邪魔なので駅に停めて外へ出た。駅の前にも大勢の人がいて、今自分たちが追っている事件の話しをだいたいしていて、泣いている人もいたので関係者なのだろうか。相変わらず耳元からは情報が飛び交う。つくづく優秀な部下たちを持ったよ
三丁目の彼女が一度入った店に行った、八百屋だ。

「こんにちは、なまえさん来ていませんか?」

「あぁ、なまえちゃんね、今朝来て携帯落として割れたって慌ててたよ」

彼女はこの八百屋が安いからといってよく野菜を買い、さらにはこのおばあさんとよく話しをしていたりしているとよく聞かされていた。電話のスマホの音は落として割れたのか、と納得したがそのあとの消息は掴めなかったが、とりあえず慌てた様子で外に出たとか。
さて、手がかりがこの店でスマホを割った事とカバンが公園にあった事しか無い。ショップに行くか?

踵を返した所で聞きなれた声が聞こえて振り向いた。こっちに向かって走ってくる男が一瞬足を止めようとした瞬間に空き缶が飛んできた、バウンドした空き缶をキャッチする

「助かりました…ずっとあっちこっち曲がられるし、足が早かったので。」

「新一くんも犯人探しかい?」

「ええ。たまたまですが…犯行の瞬間を目撃しまして」

新一くんが電話をかけている間に、うずくまっている犯人の傍らにしゃがんで、他の仲間の事を問いかけてみるが何も話さない。
頭を痛そうに摩っていたその青年は捕まらないのが納得いくような、普通にそのへんにいそうな青年だった。犯罪を犯しそうな人物は目が違う感じがするのだが、この彼の目は何も無い

「では質問を変えます。そこの公園で、女性を襲った覚えはありますか?」

「既婚者ですか?指輪つけてるとか」

「はい」

「ふーん…」

「彼女、いないんですか?」

既婚者かと聞いてきて、答えたらふーん、ってどういう事だ。覚えがあるのかないのかはっきりしろよ。電話を終えた新一くんが問いかけてくる、犯人から目を逸らさずに頷くと犯人が笑った

「もしかして夫とかですか?傑作だな!正直どこで何したかとかわかんねぇな。でも公園でなら、一人で割れた携帯持ってる女がいたから話しかけたらついてきましたよ。誰かを探してるとか言っててさ…倉庫連れて行って無理やりヤったら泣き叫んでましたよー…あぁ、その後別に殴ったりしてません」

「連絡します」

新一くんが電話を三言くらいで終わらせ、こっちにも警官が来た。俺はただの通りすがりなので何もなく、新一くんもまだ犯人を探してみるというので事情聴取はあと回しになった

「既婚者で一人でうろうろしてるなら、君のその妻もなんかされてるかもなー?俺が捕まえたのはその人かもしれないし」

「泣き叫んだだけなら…彼女じゃないですね。たしかに、スマホは割れたようですが」

「へぇ…?その根拠は?」

「彼女なら多分、触られる前に殺せって言いますよ」

犯人が笑いながら連れていかれた。今の彼女が安易に死を選ぶかどうかは置いておいて、ただ泣き叫ぶだけなんて事は彼女は多分ありえない
なまえはいったいどこへ行ったんだ

「あの、俺もなまえさん探します。」

「ありがとうございます」

新一くんと別れて向かう先は携帯ショップ。彼女の身分証明するものが公園にあったが、それを気づかずに行った可能性もある
ちなみに風見が一応倉庫の女性を見に行ったそうだが彼女ではなかったらしい







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