ホテル内探索する彼女は引き出しを開けたり備え付けのアメニティを見たり、絵の後ろを見たりしていた。自分にはそんなホテルの部屋の中を探索する趣味は無いが、わくわくした様子で中を見ている彼女を見るのは好きだ

「ところでさっきのスコッチたちのは…だいたいなんでなまえが松田たちの事まで知ってんのか聞きたいですね。まあ…もとより変に知ってる人ではあったけど」

「その話は30歳過ぎたらね!見てみて、れーさんお花のお風呂だよ!」

30歳とそれとなんの関係があるのかわからないが、今更彼女を疑うつもりはまったく無い。たしかに疑わしい事もあるし、ここまで信頼して裏切られたら相当自分としては痛いが、彼女が人を黙せるかと言ったら答えは否。そして多分疑ってる俺の気持ちがいつも彼女が抱えていた気持ちなんだろう。彼女が見てみてと急かすので、ソファーから立ち上がって彼女のほうに歩み寄って行った
シャワーブースとは別にある、カーテンつきの丸く大きな白と赤い花が浮かんでいるフラワーバス、窓からは夜景が見えていた。ジャクジーバス…凄いな

「凄いですね…なまえと付き合ってたり結婚してなければ絶対見れない光景だな…。一緒に入りますか?」

口から凄いという言葉が出ていた。嫌だと言いそうな気もしたが、彼女に問いかけると彼女が眉を下げてから「いいですよ」と呟いたので目を見開いた

「え?何の罠?」

「ちょ、何ですかその反応!人がせっかく勇気を出していいですよって言ったのに!もう絶対入らないです、知りません!」

「すみません嬉しすぎて!動揺しました!一緒に入ります、入りたいです」

顔を真っ赤に染めた彼女がその場からどこかへ行こうと踵を返したので笑いながらだが、彼女に謝って抱きしめたらいつも通りに顎を押された。彼女くらいの力だと俺は致命傷にはならないだろうが、その攻撃の仕方はやめた方がいいと思う。彼女を解放すればこっちを向いてきた

「たまにはって思っただけですから」

怒った顔も可愛い。口角を緩めていたら彼女が余計に怒った。どうしようも無いだろ、顔が緩むのは…
その後しばらくは広いソファーに座って彼女がルームサービスで頼んだカクテルを飲みながら雑談をしていた、テレビをかけたりはしていたが、ほとんど今日のドレスの話しを彼女が語っている。いかにヒールが高いか、とかずっと誰かが付きっ切りで髪を直したり準備されたウェディングドレスはこの中から選べとか、とりあえず大変だったらしい

「安室さんは自分で選んだんですか?」

俺が無言で笑みを浮かべると、彼女が最初こそキョトンとしていたが、わかりやすく口元を隠した。視線を泳がせた後に彼女が立ち上がる

「シャワー入ってきまぁす…バスのほうに行ったら呼びます…」

視線を合わせないまま彼女がそろそろと行ってしまったので、笑った。
先ほどまで安室さんと呼ばないといけなくて、二人の時は名前で呼べって言われて、せっかく最近れーさんとか頑張って呼んでいた所に久しぶりに安室さんと呼ばれた。
彼女の言う安室さんの響きとかは決して嫌いなものじゃないのだが、せっかくなのでほとんど誰も呼ばない名前で呼ばれたいものだ
まあ、人前でれーさんと呼ばれないのはマシなのかな

彼女に呼ばれたのでシャワー室に入って洗い済ませてから声をかけるのを忘れて、彼女のいるカーテンで仕切られたバスルームへ入ると、こっちにお尻を向けた状態で彼女が窓ガラスに張り付いて外を見ていた

「橋混んでるなぁ…」

「良い眺めですね、色んな意味で」

声をかけると彼女が慌てて湯船の中に入り、こっちを睨んできた。わざとでは決してないが、彼女が可愛すぎるのでやっぱり笑ってしまう。
湯船に入りながら外を見て楽しんでいる彼女の後ろから湯船に入り、彼女のお腹に手を回して抱き寄せたら、素直に滑ってきてくれた
足の間に彼女を入れて後ろから彼女を抱きしめる

「なまえってこういうホテルとか好き?」

「好きですよ。でも何回も贅沢は出来ないですけど…あ、でも安室さんがいない間に貯めていたお金が凄いあったりします…ボーナスもあったので100万くらい貯まりましたよ」

また安室さんって呼んでるので彼女の肩をかぷっと軽く噛むと、彼女が自分から離れようとしてきた

「え!?何か私しました?」

今度は自分でも気づいていないようだったので、気づくまでやってやろうと、彼女の首の後ろを舐める。ビクッと体を揺らして背筋を伸ばす彼女は、自分から離れようとするが、俺はお腹に回している手の力を緩めない。彼女の胸に手を滑らせると、すでに起っている彼女の胸の突起を指の腹で撫でた

「ひゃっ…!もう!安室さ…これか!!れーさんごめんなさい!」

「ちっ…気づいたか」

やっと気づいて呼び方を変えてきたので、彼女の胸を触った手をお腹に戻した。そのまま気づいてくれなければ途中まで触ったりして、彼女で遊んだものを、まあ気づいたからと言ってやめなければいい話しなんだが、また逆上せたりしたら困るのでやめた。

「あ、の…」

「ん?」

「お尻にあたってますー!」

「あたっちゃうのはしかたないだろ?」

「いや、だっ…ま…!」

「我慢したほうだと思いますけど。今はほら、うっかり触ってしまったので我慢できなかったんですね、きっと」

「他人事ですか!?」

「そう。俺の理性の部分に反して本能で起き上がる困った子」

別に押し付けているわけではないが、彼女を自分の脚の間に座らせているため、自身が反応して時に彼女にわかられてしまう。別に隠す気は無かったし、彼女が困っているのが目に見えてわかるため可愛くて儲け
だいたいしばらく我慢してたし、今だって逆上せるだろうと思って我慢してるんだから起き上がるくらいは許せ…まあ、彼女は何も言ってこないが

「あがるか?またのぼせたら大変だろ?」

「うん…れーさん先出てて」

「はい。」

そうだろうな、とは思ってた、笑いながら彼女より先に出てソファーに座り、頭の上に広げたタオルを乗せながら飲み物のメニューを見ていた。ら、彼女の叫び声が聞こえたと思ったら次の瞬間なんでもない、との事
彼女が好きそうなお酒とおつまみ3種を頼んでおいたら、しばらくしてバスローブを着た彼女が出てきた。バスローブを着た意味は、今すぐめしあがれなのか、それとも先ほどの叫び声と関係があるのか…考えなくても後者だろうが一応聞いてみた

「どうしたんですか?」

「あ、中は着てる。ちゃんと中は着てるんだけど、後で言います…あ、おいしそう!」

「頼みましたよ」

彼女が困った顔でそろそろとソファーの隣に座る。ちゃんと髪は乾かしたようで彼女の髪はふわふわしていた。飲み物のメニューの中で今注文したやつを彼女が指差す、頼んだ旨を伝えると「怖い」と半分笑った顔で言われた。それから俺の頭に手を伸ばしてきて髪をタオルで拭き始めた

「ちゃんと乾かさないとダメですよ」

「そのうち乾…あ、いい、なまえはそこにいて、その格好見られるの嫌なんで」

注文したのが届くのが早い、ノックの音が聞こえたので立ち上がると、彼女が行こうとしたので手でそれを制して自分が行った。さっき頼んだときは部屋の中まで運んでくれたのだが、今回は断って自分で持ってきた。彼女がソファーから夜景の見えるテーブルと椅子のほうへ移動していたので、そっちへ持って行く
彼女と自分が選んだのは金平糖が沈んでいるペアカクテルとおつまみは無駄におしゃれに飾ってある多分甘いものと辛いものとしょっぱいもの…だと思うやつ。
彼女が色違いのカクテルを二つ自分のほうへ引き寄せた

「どっちも飲むの?」

飲みそうだけど、そして別にいいんだけど、酔わないかと思って問いかけたら首を振られた。「味見だよ」なんて言ってたが、本当なのかどうかはわからない
どっちも飲んだ後に水色のほうを自分に、青いほうのをこっちに置いたが、水色のほうも寄せて来た

「どっちも美味しいよ!どっちも飲んでみて」

彼女に促されるがままに飲んでみる、甘くて彼女の好きそうな味だ。とくに水色のほうが甘いラムネのような味で、青いほうはまだライムのような味がしたので、彼女が水色を選んだのは納得がいった。バーボンとかはロックで飲むくせにカクテルは甘いのを気に入ったらしい
彼女が夜景や飲みものを写真に撮ってる間に、赤井が渡してきたカメラの中身を確認した。赤井にしてはちゃんと彼女を撮っていた。嫌がらせに頭半分切れているのとかを撮ってきそうな気がしたが…見進めて行くと自分も一緒に映っている写真が出始めた
撮るなって言ってんのに、撮られたって消去しなくちゃいけない

写真を見ている事に気づいた彼女が椅子から降りてこっちに来て、傍らにしゃがみこんで顔を寄せている。彼女を座らせたかったが、顔を寄せて覗き込んでくる彼女が可愛いのと、この角度から彼女の谷間が見えているのでそのまま何も言わない事を決め込む。

「赤井さんいっぱい撮ってくれたんだね」

「ですね」

もう一度言うけど赤井にしては。写真を見るのを途中でやめてカメラをテーブルに置いた、彼女がそれを視線で辿ったあとにこっちを視線だけで見上げてくるので目を合わせると、なんで止めるのかという表情なのか、首を傾げたので前かがみになって彼女の唇にキスをする

「ん…あ、そういえば誓いのキス長かったですよ!」

すぐに開放してあげれば、彼女が立ち上がって思い出したように怒ってきた。彼女の腰に手を回してこっちに引き寄せ、彼女のお腹に顔を埋める

「二回目だから長くしていいかなって思ったんですよ。ちゃんと隠しただろ?」

「隠したとかかくしてないとかの問題じゃないです」

「もっと激しいのがよかったですかー?」

彼女のお腹に唇をつけながら問いかけたら、彼女が大声をあげて笑い出した。
よっぽどくすぐったいらしく、怒るよりも笑っていて少し距離を開けてあげたらお腹をさすっていた

「ほんっきでくすぐったい越しました…」

「ははっ」

「何笑ってるんですか!?本当にやばいですって!拷問ですよ!」

「それはやばいな」

真顔で言ってくる彼女に思わず笑った。確かにお腹に口をつけてしゃべったりなんかした事は無かったが、そこまで言われるほどか
彼女がまだお腹をさすりながらも、立ったままお酒を飲んでおつまみも食べた

「俺のも飲む?」

「いらないんですか?」

「まあ、あとは普通に冷蔵庫に入ってるドリンクでいいんで」

あまり飲むと色々とよろしくない。彼女はお酒を何杯飲んでいるかわからないが、さっきテラスでも飲んでいたはずだからそろそろやめたほうがいいんじゃないかと思う、がいつも通りだし顔は赤くもなってない、強い子だ
グラスとお皿が空になると、彼女は氷をガリガリと食べていた。

「…貧血じゃないですよね?」

「ううん、熱いだけですよ…」

そりゃお酒も飲んで分厚いバスローブを着ていたら暑くもなるだろう。それなのに彼女はバスローブを脱ごうとしない。歯磨きついでに顔を洗ってくると言って彼女が洗面台のほうへ行き、俺もペットボトルの水を飲んでから歯磨きをしにいった







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