日曜日は自分が朝食を作る日で、俺が作ったご飯を、彼女はいつも大げさに美味しい美味しい幸せって言って食べてくれるから作りがいもあるし、こっちとしても嬉しくなる。
片付けはさせてくれ、といつもの逆に言われたが他の家事を任せて自分が茶碗を片付けた。そろそろ彼女と夫婦茶碗のようなものが欲しい…それぞれ今まで使っていたものを使っていたが、一緒に食器を買いに行くくらいしてもいい気がする
食器棚を見ながら考えていると、彼女のスマホがなり、洗濯物を干していた彼女が家の中に入ってきた。結論から言うと園子さんたちに呼び出されたらしく、洗濯物を干してから急いで出て行った
こっちもこっちで新一くんに呼び出されてそっちへ行くと、赤井もいた。先に言えよ

「こんにちは、お久しぶりです」

「新一くん…赤井がいるなら先に言って欲しかったなぁ…」

「すみません、言ったら来ないと思って」

「ええ、もちろんです」

目の前で苦笑いを浮かべる彼、わかっているならやらないで欲しかった。ただ赤井がいる事は置いておいて、今日の事で何かあるんだろうと思って赤井を視界に入れないようにしながら彼の話しを聞いた

「基本的になまえさんの友人を集めたんですが、大丈夫ですか?」

「構いませんよ」

コーヒーを飲みながら頷くと、続いた言葉には吹き出しそうになった

「園子がウェディングドレス着せるしカラードレスも着せるって言ってましたけど」

「パーティー用のでは無く?」

「ええ。なので安室さんにも着替えてもらうかと」

「……彼女の写真を」

「俺が撮ろう」

「新一くんが」

「俺は多分蘭たちの手伝いをするので」

苦笑いを浮かべながら薄っすらと断られた。彼の隣にふでぶてしく座る赤井を見ると、舌打ちしか出てこない。いくらカメラ越しにとは言え赤井に彼女を見てほしくない、目潰ししたいくらいだ。それでも気軽に彼女を撮ってくれと頼めるのは今は赤井のほかにいないのかもしれない、こいつの事だから嫌がらせに彼女を撮らないで忘れてたとかすっとぼける可能性もあるような気がするが、背に腹はかえられない
もし何かあった場合でも、多分園子さんとか蘭さんと彼女は写真を撮ったりするはずだからそれをもらえればいい

「くっ…ああああああ赤井…たのみ、ました…」

「あぁ」

いくら彼女の写真が欲しいからと言って赤井に頼みごとをするのは口が腐っていきそうだ。その後新一くんから自分の写真は相変わらず禁止な事も言ってあるらしく、最後には自分がちゃんと確認するとまで言ってくれたし、会場内で撮影が出来るのは、今彼女の撮影を頼んだ赤井と蘭さんだけがカメラを持てる事にしたという。さすがだ

打ち合わせを終わらせて会場に向かう、海沿いにあるホテルのテラスを取ったらしく夜には夜景が綺麗に見えるという
準備が終わった新一くんと話しながら連れていかれるがままに行くと、チャペルだなぁ…

「チャペルですね?」

「ちょうどあいてたのよん。とか言ってましたよ」

「あぁ…」

もう一度神様にでも誓えというのか、何度だって誓うけどさすがに事前に言っててもらえないと驚く。そのうち新一くんが先に行ってしまったので自分はその場でドアを開けるスタッフに話しかけられながらなまえが来るのを待っていた。本来ならば父や母がいない場合、一人で歩くのがいいのかもしれないが、先日も歩いた事で彼が何かしら言ってくれたので一緒に歩く事になった。しばらくして「お待たせしましたぁ」という声が聞こえたので振り向くと、なまえがいた
この間と同じようにゆっくりとゆっくりとアテンダーの手を借りながら歩く彼女は、前回よりもふわふわとしたドレスを身にまとっていてなんとも歩きにくそうで不安そうな顔をしていた
彼女に歩み寄って手を差し出すと、アテンダーの人が「きゃあ」なんて言っている
何がきゃあなのかよくわからないが、彼女が自分の手を取ると、可笑しそうに笑った

「どうしたんです?」

「ううん、なんか…王子様みたいだなって。ドレスふわふわしてるでしょ、園子ちゃんが選んでくれたんだよ」

「ええ、可愛いですよ。とっても…ちなみにこの間のは僕が選びました」

「Aラインも可愛かったです。どっちも着れるなんて贅沢ですね、私」

「僕も、なまえさんのウェディングドレス姿二回も見れるなんて思っていなかったので、凄く嬉しいですよ」

そんなやり取りをしていると「素敵ですね」なんてアテンダーが言ってくるので会話が中断された。そろそろ時間だと言われると、彼女と扉の前に並ぶ

「転んでも躓いても、僕が支えますからちゃんと掴まっててくださいね」

「安室さんが手を差し出してくれた時に、安室さんなら頼める!って思いましたよ」

「任せてください」

軽口を叩いていると、扉が開いたので二人並んで歩き出した。
彼女は本当に歩きづらそうにしていたが、途中で彼女を横目で見ると柔らかく笑ってこっちに絡ませる腕の力を強めてきた。蘭さんや園子さんや和葉さんや梓さんが泣きだすと、彼女までもが泣き出したのには困ったが、泣きながらも嬉しそうに笑うから、本当にこうやって彼女を喜ぶようなことをしてくれる彼女の友人たちには感謝する

近いのキスは少年探偵団たちもいるので自分の腕で隠して少し長めにしたら、彼女が背中をバンバン叩いてきた
終わった後にクスクスと笑っていると、彼女が「もう!」と言ってくる
忘れていたが今、自分は安室だった、とは言っても安室でもなんでも彼女に対する態度はさほど変わらないとは思っているので何も違和感もたれないだろう。


「なまえさんすっごく綺麗です!」

「あたしもめっちゃ感動した…もう、ほんま…っ…あかん、思い出したらまた涙が…」

「おめでとうございますなまえさん。私も嬉しいです!」

「梓さんお久しぶりですね」

「安室さんとなまえさんが相変わらず仲良しで嬉しいです」

梓さんに挨拶をすると、再び泣かれた。どれだけの人に祝福されているか彼女はわかっているのだろうか、泣いたり笑ったり忙しい彼女の周りには人が集まっていた。
彼女の様子を見ていたら、彼女がこっちを見て笑う

「安室さん、次ね、テラスで…」

こっちを見た彼女が自分の上のほうを見て目を見開き、それから急に泣き出したと思ったら涙を拭って大きく頷いていた。彼女はお色直しにいって、自分も着替えに向かう
先ほどの彼女はいったいなんだったのかは聞けないまま、テラスに行った彼女は今度は水色…緑っぽい色のカラードレスを着ていて、それもそれで可愛かった。とりあえず彼女ならなんでも可愛い
歩み寄って行くと、彼女が自分の胸に額を寄せた

「スコッチと松田さんと萩原さんと伊達さんが、おめでとうって笑ってたよ」

小さく呟いた彼女の声は、しっかりと自分の耳に届いていた。
彼女はすぐにみんなと遊びに行って、女性と子供、それから男性で分かれて食事と会話を楽しんだ

「あぁ、そうそう、安室さん」

「あ、園子さん、今日はありがとうございました」

「いいのよん、なまえさんのためだから…。ここまではなまえさんのためだけど、これからは安室さんのために…スイート取ってあるわよ」

園子さんに渡された部屋の鍵に、苦笑いを浮かべてお礼を言った
そりゃ嬉しいのは嬉しい、嬉しいんだが…そこまで甘えていいのかと
かと言って彼女にお金を出すのも変な話しであって、今度何か考えるしか無いかと鍵をしまった

綺麗な夜景を見ながらの披露宴のようなものも終わりかと思ったら、なまえが園子さんたちに押されて自分の目の前に来た。子供たちはもう帰ったらしい
彼女が瞳を揺らして、戸惑った表情でこっちを見上げてきた

「言わなきゃだめなの…?」

「「だめ(あかん)」」

悪戯っぽく笑う三人が少しだけ離れてこっちを見ている。
彼女を見ると、彼女が自分の奥側を一瞥した、そっちを見ると、口元を緩めた赤井がいて眉を寄せた
彼女が自分にしか聞こえないように小さな声でしゃべろうと、「耳」と言ってくるので少しだけしゃがんで彼女に耳を寄せた

「れーさん、タキシードとか似合ってる、かっこいい…です。あい……してます」

彼女を思わず抱きしめたら、あっちのほうで黄色い声が聞こえてきた。
すぐそばでは赤井のふっという笑い声が聞こえる、もうお前国に帰れよ

「二人の時に聞きたかったです…」

「今すぐ海に飛び込みたい…」

彼女の一言に可笑しそうに笑った所で彼女が自分の腕の中からすり抜けた

「ああああ赤井さん!まだ日本にいれるんですか?」

「いや、明日帰る。今度こそお別れだな」

「とっととどうぞ」

彼女の頭を撫でる赤井の手を振りほどくと、彼女のお腹に手を回して自分のほうへと引き寄せた。そのあたりでもう解散という事になったので自分たちは着替えに向かう
その途中で赤井にカメラを渡されたので、それを持って着替えてホテルのスタッフが彼女を部屋に連れて来てくれるというので、先に部屋に行って彼女を待っていたら、彼女が入ってきた

「お腹周りがきつくないですよれーさん。ドレスじゃないって素晴らしい、ヒールが無いって素晴らしい!」

「お疲れ様でした」

ほとんど一日中ドレスを着ていたらそりゃ疲れるだろう、腕を上にあげて万歳をする彼女に笑った。そして彼女のホテル散策が始まる







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