それなのに…だ。彼女はやはり一筋縄ではいかないようで、一緒に歩いていた彼女が足を止めた。夢じゃないよね?と聞いてきた彼女の瞳が揺れて先に部屋に帰るという
さっきまで彼女は自分の腕の中に抱きしめられてて、この手が彼女の指と絡んでて…?

どうしてこうなった…。まず、俺は何もしていない、腕に擦り寄って甘えてきていた彼女はほんの数分前

ん?

たった数分で何が起きた?

ていうか俺が何をした?

考えろ。
まず嬉しそうにしていた彼女が数分黙って帰った…その理由とその意味…まずはマリッジブルー…もしくは考えた末結婚まではしたくない、もしくは願望が無い。そういえばさっき結婚しなくてもそばにいるとか言っていた
それともよくよく考えたら別れたいとか?だめだ、考えてないで彼女のほうへ行こう
部屋にいたら、別れる気は無い…いなかったら、別れる気があるって事で。大方マリッジブルー、それなのに彼女に関わることだと途端に自信が無くなるのが自分
部屋の中に入ると、話し声が聞こえた。彼女が泣きながら話す声

「怖いー…だって、れーさん…危ない事ばっかりするし、無茶ばっかりするし、私これからそれを家で不安になりながら待つんだよ!?でも仕事してる降谷さん好きだもん…でも自分が傷つくのが嫌で、そばにいたくないー!」

んんん…そんなの俺に言えよ!
真後ろにいて、あっちの彼の声まで聞こえるのに、彼女は泣いていて俺の存在に気づいてない。盗み聞きしているような気がするがむしろ自分はそれ専門だった

“自分がいなくなった後のなまえさんの事を、想像しないで結婚を申し込んだと思いますか?確かに、あの当時の彼は死ぬ覚悟をして生きていたかもしれません、でも今の彼なら生きる覚悟を決めたんだと思いませんか?正直あの時彼が求婚したのには驚きましたよ。例えば彼がもし、あなたのそばからいなくなったとしても、失うのはあなただけですか?彼もあなたを失うんですよ。それでも彼はなまえさんと一緒にいる事を決めたんです、それとも安室さんにさようならを告げて彼を傷つける事を選びますか?なまえさんが傷ついた時には彼も傷つきますし、なまえさんが楽しいと、安室さんも楽しいと思いますよ…"

あぁ、もう、まったくもってその通りだ。いい事言うな、彼は。そう…俺は彼女を手放したくない
自分のそばにいてたとえ危険な目に会うかもしれなくても、彼女が自分が帰ってこないのを不安に思ったとしても…それでも努力する。彼女が求めるなら努力くらいするさ
それよりも本当に自分の事しか考えてないのはこっち。なまえが傷つくとかじゃなくて
なまえの事を考えて手放して、彼女がいつかほかの誰かの手を取るのを許せるかって言われたら許せないし許さない。多分すぐに奪い返しに行くくらい勝手な事をするだろう
彼女の髪に指に、頬に…誰かが触れてキスをするなんて耐えられない、ふざけるな。彼女は俺のものだ

そんな自分の感情を、彼女にただ押し付けているだけ。それなのに彼女が泣きながら自分が好きだというから抱きしめた。新一くんに謝罪と挨拶を済ませると、電話を切ってベッドの端に彼女のスマホを放り投げた

彼女を抱きしめて、離したくはなかったが、彼女が戻ってくるというのでそれを信じて解放した。戻ってきた彼女に手を広げると、跨いで座ってくれたのは本気で驚いたが、彼女がぴったりとくっつく抱きしめ方なので嬉しい。彼女を抱きしめ、彼女の首の匂いを嗅いだ
変態臭いがもう認める、変態で何が悪い
彼女の首の匂いが本当に好き、ボディーソープなのか髪なのかは知らないけど、本当に女性らしい良い匂いがするから

軽口の叩きあいと、じゃれ合い
好きすぎてどうしようもない彼女とのこの空間

そう、嫌われるというなら嫌いにさせてみろ、とさえ思う。浮気以外ならなんだって許せる自信しかない
全部見せてくれたっていい、本心を伝えると彼女が短く嫌だと返事をしてくる。その「や」も好きなんだな、可愛くて…
彼女が欲しい、欲しくて欲しくて、たまらない…それが顔に出ていたようで彼女が視線を逸らした。視線だけで気づかれたか…仕方ないのでよるまで待ってあげる事にはした
まてたらね

そのあとも彼女はいちいち可愛かった。安室さんって呼んだあとに「あ」て顔をしたり
リンゴが浮いてるとか、なんとも思ってないとか…やり取りが楽しい、愛しい、好きだ

とりあえずレースたっぷりの、腰が紐になってる下着を見た時の自分は死ぬほど動揺して
我慢していた理性が無くなった。おかげてせっかく隅から隅まで見てやろうと思ったのに、見る前に挿れてしまった自分を恨む







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