帰ってすぐに彼が引越して来いという無茶を言ってきたので、一年と少し住んだその部屋にさよならを告げた。ちなみに彼も引っ越そうかと悩んでいたらしいが、しばらくはそのまま住み続ける事に。彼は私の漫画やパソコンを捨てろとか言わないで、ちゃんとスペースを開けておいてくれたから私の荷物もちゃんと入った。
収納が多いので結構スカスカな彼の部屋に、私のものが入ると結構色々詰まっている状態になって、綺麗に収納は出来たけどちょっとだけ彼に申し訳なくなった

「とりあえずもうなまえと付き合っていた事はすでに上のほうは知っているのですが、一応申告書というものを提出しなければならないので書いてもらえますか?」

朝にバタバタしてスーツに袖を通しながら言う彼に差し出された紙、勝手に調べて勝手に書いてくれって思ったけど、一応嘘が無いかとかを確認するために書かないといけないらしい。三親等以内の家族の事…をスマホのメモを見ながら書いていた

「あ、親に言わないと」

「もうすでに挨拶はしてますよ」

「は!?」

「プロポーズする前に」

彼の行動の早さにはこれほど驚いた事は無い。しかも忙しいっていうのに電話かかってきた。親からで、プロポーズされた!?なんて大興奮の声、しかも彼がかっこいいとか物凄い言っててすっごくうるさい。さすが私の親だよ、彼にメロメロなところとかそっくり
でもメロメロになっていいのはわたしだけだからいくらお母さんでもやめて欲しい
適当に返事をしながら書類を書き進めていき、ついでにわからない所を聞いて電話を切った。

ネクタイを締めている彼に近寄って行くと、その書類を渡す

「書きました」

「ありがとうございます」

そのまま彼が玄関に向かっていったので、一緒になって玄関へ行く
ただ鍵を閉めに向かっただけなのだが、彼が振り向いてちゅっと軽くキスをしてきた

「行って来ます」

「い…て、らっしゃい…」

ものすごく動揺しながら彼に手を振ると、彼は機嫌よく家から出て行った。
いつも適当な時間に本庁に行くのに、今日は会議に出す資料を見直さないといけないとかで急いで出て行った。私はというと片付けがまだ全部は終わっていないし、今日はお休みとはいえど仕事先に出す書類もあるので、家事をやってから仕事のほうをする事に決めた。

家事を終わらせて、書類も書き終わる頃にはもうお昼は過ぎていて、久しぶりに元気にお外の散歩をして買い物でもしようかと外に出た。
それと、蘭ちゃんに会いたい気持ちもあって探偵事務所のほうへと歩いて行く
れーさんとしばらく会えなくなってから結構塞ぎこんでる自分がいて、あまり活発とは言えない生活を送っていたから、こうやって歩くのは久しぶり。れーさんがいない時に活動したと言えば蘭ちゃんに誘われた時と、会社と家やスーパーといった必要最低限の往復だけ。
不健康すぎるなぁ…毛利探偵事務所にもう少しでつくという時にタイミングよく、蘭ちゃんが出てきた

「なまえさんっ!!」

「蘭ちゃーーーん!!この間は心配かけてごめんねっ!!」

「なまえさん、泣いてるからびっくりしちゃいました。」

笑ってる蘭ちゃんを見て、釣られるように笑った。蘭ちゃんはこれからお買い物だと言うので一緒に行ってもいいと言われたので、並んで歩いた

「え!?結婚式しないんですか?」

「うん、別にしなくてもいいかなって思う」

「え、でもっ…ウェディングドレス着るのって夢じゃないですか?」

「乙女の夢だね、確かに」

可笑しそうに笑って、頷くと蘭ちゃんが眉を下げたので、話しを変えた
大学はどうなのー?とかそんな感じの話しから今日の夜ご飯の話しまでいっぱいしゃべって、蘭ちゃんもご飯まだだって言うからカフェでランチ食べて買い物をして帰宅した。
その頃にはすっかり夕方で、私は心がとっても満たされた

片付けをしていると、スマホがなったので中身を確認する。「定時で帰ります」ってメールが着ていたので「ご飯作ったら食べますか?」って送ったら「もちろん」って絵文字つきで帰って来た。
その絵文字を見ただけで何か彼が笑っている気がして、萌えすぎて手がカタカタ震えた

自分のエプロンが無かったので、結局彼のを借りてご飯を作っている途中に玄関から物音がしたので見に行った。
彼が靴を脱いでいる所で、私を見た瞬間に満面の笑みを浮かべて、靴を脱いだ彼が抱きついてきた

「ただいま!」

「お、お帰りなさい…」

「あぁぁああ…なまえが家にいる。やばいですね!エプロンでお出迎えですよ」

「そのうちソファーに座りながら「あぁ、もう帰って来たの?」とか言われるんですよ、きっと」

「冷めるの早すぎませんかー…」

ぐりぐりと肩に顔を押し付けられる。可愛い、と彼の頭を撫でるとやっと離してくれた
着替えてくると言うので彼から離れると、ご飯の支度に戻った。彼はなまえがいる、とか言ってるけど普通に昨日もいた。ただ昨日と違う所と言ったら彼が仕事というだけ
着替えてきた彼が隣に並ぶと手伝ってくれたので一緒にご飯を作って食べた

「片付けは俺が」

「今日は私がお休みだったからいいの、私やります」

「じゃあくっついてる」

「んんんん、邪魔です!!」

彼が宣告通りにお腹に手を回して後ろにくっついてきた。お茶碗洗うのに、そんなに動かないからまだマシだが、彼があまりにも強めに抱きしめてくるので泡のついている手では触れないから、肘で彼を押そうとするのに、彼は楽しそうにするだけで離れてくれない

「れーさんお仕事で疲れてるんですから、座っててください」

「だから今仕事の疲れをなまえで癒してるんだって」

「癒されない」

「癒されます」

そうこう言っているうちに洗い終わってしまったので、結局彼とソファーへ行った。
ほとんど毎日飽きずにこんな感じだけど、たまに彼の仕事の内容によっては一日中彼が帰ってこない時もあった。それでも帰ってきたらいつものように飛びついてくる

たまに夜中に帰ってくると、私を後ろから抱きしめてきて、起こさないように…とかをやっている時は最初のほうだけで、もう最近は起こそうとする勢いで頭を背中にすりすりしてくる。たまに疲れている彼のほうを向いて、頭を撫でて背中を叩いて眠ったりした

そうして毎日が過ぎていき、ある日の休日の夕方頃、まだ彼が帰ってくるには早いというのに玄関から物音が聞こえたのでソファーから立ち上がってそっと見に行くと、口を塞がれてそのまま外に連行された
私が暴れなかったのはこの口を塞いだ人じゃない、もう一人の人が玄関をしっかり施錠していたからだ。口を塞いでいる人の手を軽く掴むと、その人が気づいて私のほうを見た

「すみません、大声出されたら通報されるので」

「いえ…別にいいですけど、なんでこんな拉致みたいな…彼の職場の人ですよね?」

「そうです。ついてきてもらえますか?」

「はい」

その二人に連れられて車に乗せられた
まさか、だけど…れーさんに何かあったとかじゃないよね…でもそれなら風見さんが来るはず。ちょっと、いや、かなりどこに連れていかれるんだろうとドキドキしていた







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