毎日同じ事の繰り返し、たまに蘭ちゃんや園子ちゃんが遊んでくれて幸せのスパイスを貰うけど、その時は楽しいのに、トイレに行ったり二人と別れたりした後にいっきにどっと寂しさが襲ってくる。笑うのが嫌になってくる、楽しいって思ったら思っただけ、そのぶん急に寂しさが襲ってくるから

もう四月
蘭ちゃんたちは卒業して、新しい環境になれなくちゃいけない。それでも彼女たちは新しい環境の話しをするのに、私を混ぜてくれた。呼んで欲しくないわけじゃなくて、ただただ楽しい時間が怖く感じるだけ

有給なんて全然使ってなかったから、半分以上持ち越されていて、あとは切り捨て。
年度が替わる前に休みを取れって言われたけど、取らなかった

取引先からの郵便が毎日届き、それを担当者である場所に配られる。取引先の人が担当者を書いていてくれるから、勿論私の机の上にも数通の郵便が届いていた
それを一つ一つ開けて確認していく、封筒はシュレッダーにかけるので別のカゴにいれて大事なものとか早急のものの仕分けをしていく。
また次の封筒を開けて、の繰り返しをしていたら、私の名前が書いてあるのに取引先の名前が書いていないものを見つけた。印字ミスだろうか、普通ならば正面に大きく書かれているのに…そう思ってその封筒を開けるためにひっくり返すと、端に長細い丸が書かれていた

「丸…?ゼロ…?」

私は急いでその封筒を開けた。それは日付指定された新幹線の切符
それとどこかに住所が書いてある紙、その日付は明日だった。
明日は土曜日で、仕事をする予定だったけどキャンセルをしたら上司に「やっとか」って安心したような顔をされた

私は何も調べる事もなく、ただ待てずに次の日着の身着のまま…あぁ、勿論お財布とかは持ってるけど。それで私は書いてある住所に急いだ、東都駅から新幹線で1時間くらいのところにあるその場所
乗り継いでる所でふっと思った。彼のお葬式とかだったらどうしよう…いや、それならまず喪服とかそんなものがあるだろうし、まずお葬式とかそんなのしちゃいけない人だ、確か…
ただの間違いだったら?でもそんなわけない


タクシーに乗ってついた場所を見て、あれ?ってなった
緑に囲まれたその場所、多分ホテルかなんかなんだろうけど、ここで合ってるの?
っていうかここが何なの!?っていう感じ
タクシーの人に聞いてもここだよってしか言わないし、とりあえずお金を払って降りました。散歩したら気持ち良さそうなくらいの場所で、夏に来たら緑がすごいこれ以上綺麗なんだろうなってくらい自然に囲まれた場所

ここで、どうしろと?

しばらく立ち尽くしていたが、ここにいたってどうにもならないため、石畳と綺麗な石の道を歩いて進んで行ってみる。歩いているだけで楽しくなるようなその場所は、進んで行くとやっぱりホテルだった
それでも入る事なく、何かヒントは無いのだろうか、と紙を見ていたら中から従業員さんが出てきて、話しかけられた

「あの、みょうじ様ですか?」

「え、はいっ」

「ご案内いたします」

従業員さんに、どうぞ、と言われて促されるままに入っていくとここどこの映画の世界ですか、状態のエントランスを通りぬけて今度は車に乗せられた

「あの、どうして私がみょうじってわかったんですか?」

運転手の人と一緒に、先ほど話しかけてきてくれた従業員の人が、色々なものを説明してくれていた合間に問いかけると、クスクスと笑っていた

「お連れ様に、玄関先で困っているみょうじ様くらいの身長の方がいたら連れて来てください。きっと宿泊施設に来ているのに何も持っていないだろうからすぐわかりますって言われましたから、すぐにわかりましたよ」

「あの、そのお連れ様って…」

話しをしている途中に車が停まったので降りる事になった。
可愛い鍵を渡されて「ごゆっくりどうぞ」と言われていなくなられてしまった
本来ならば一緒に中に入って説明をするらしいが、お連れ様には説明してあるので…って一緒に入ってぇえ!
怖いんだけど…どうしよう、何かの罠かな!?って思ってしまうのは私があまりにも黒の組織とかに関わりすぎたせいだろうか

それでも私の事をよく知っているような言い方をしているらしい、私のお連れ様という人は一人しか思い当たらない
部屋の前で止まっていた、人違いでみょうじ違いだったらどうしよう、と思うものの間違えたら間違えたで、またエントランスに戻ればいいだけ…

鍵を開けて中に入って顔を出す、部屋の中はホテルの匂いに混ざって私の大好きな匂いがした。そっと扉を閉めて中に入る、玄関になっていて中が急には見えないが、そこに置いてあった靴にも私は見覚えがあって、進んでいった。
中に入っていくと、ベッドよりもまたあっち側にソファーがあって、そのソファーにいる見慣れた髪の色が窓が開いているせいでふわふわと揺れていた

「あ…むろさん…?」

私が声をかけると、立ち上がってこっちを向いた

「ただいま。待ってましたよ」

私が急いで彼に駆け寄ると、そのまま転びそうになった所を彼が抱きとめて、そのままぎゅっと抱きしめられた。
久しぶりに感じる彼の匂いと、彼の腕の力強さ、心臓の音と彼の温かさを感じて
私は思い切り泣いてしまった

「うっ…おかりなさいっ…!待ってた、のは…ひっく、こっちですよ!!」

「ごめん、心配かけた。なまえ…何か細い…?」

「わかりません、体重量ってないですし…」

彼から離れて目をこすると、彼は私の片手を離さずにいて。こする手を退けられればその涙を舐められた

「しょっぱい」

「当たり前ですよ、何してるんですか…」

いきなり涙が引っ込むと、彼がクスクスと笑う。彼が私の手を離して腰に手を回したかと思ったら引き寄せられた。また抱きしめてくれるのかと思ったら、彼の顔が寄ってきたので背伸びをして私からも彼に顔を寄せる。7ヶ月ぶりに感じる彼の唇の感触に、心が揺れる、胸がぎゅっとしてどうしようも無い
彼が角度をかえて何度もキスをしてきて、私もそれに合わせるように離れたら彼の唇を見つめて、そしてもう一度目を閉じて彼に口付けをした。何度も何度もキスをしていれば、彼のキスの仕方がただの合わせるだけのキスから変わり始めて、啄ばむようなキスをされていけば、彼から離れようと体を引いて。それでも彼が離してくれなくて、何度も何度もキスをされればソファーの肘掛に躓いてソファーに倒れた。顔が離れて笑っている彼を見ると、もしかしたらわざとなのかもしれない。もう一度顔が近づいてきたので彼の口を自身の指先で塞いだ

「ちょっと、待ってください…えっと、降谷さん?聞きたい事がいーっぱいあるんですけど」

「俺はしゃべるよりも先になまえにとーっても触れたいんですけど」

そのまま私のしゃべりを少し変えたようにしゃべってくる彼に、頬を膨らませると「すみません」と謝られた。絶対謝る気ないでしょう!

「ちゃんと答える」

そう言われたのに、彼が再び口を塞いできた

「ん…こ、たえるって…言った」

「どうぞ?」

「キスされたら聞けないじゃないですか!」

「じゃあキスはしない」

彼の瞳を見つめれば、その目が細くなって笑う。あぁ、私が触れたかった彼だ
彼の頬を両手で挟んで彼の額に自身の額を押し付ける、また泣きそうになった

「どこも怪我しなかったですか?」

「かすり傷とかなら…あぁ、あとは頭殴られたくらいですかね」

「頭!?」

「検査した結果異常は無かったので大丈夫です」

彼の頭を撫でてたんこぶが出来ていないか確認していたら笑われた







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