彼女の荷物と下駄を玄関に置いて、彼女をおろすことなく自分の下駄を脱いで中に入っていけばソファーの上に彼女をおろした

「足大丈夫ですか?」

「大丈夫ですよ。足の裏は裸足で歩いていれば直りますし!」

「下駄は痛くなりますよね。何か飲みますか?」

「あ、私いれますよ!」

「足痛いんですから座っててください」

そう言っても彼女はソファーから降りて歩いてこっちに歩み寄ってきた。「歩いたほうが治る」とか言って。仕方ないのでコップを渡してそれに麦茶を入れれば彼女がテーブルに持ち運んで行ったソファーの下に彼女が正座をして座っているが、浴衣の着なれた正座の仕方で、少しだけ驚いた。

「着慣れているんですか?」

「うん?うんー浴衣とか着物…和装好きなんですよね。結婚式とかの和装はちょっと着たくは無いですけど」

なんて事ない普通の会話だろうけど、変に耳を傾けてしまった。彼女の背筋はピンを伸びていて、麦茶を手に持って飲み干す。自分もコップに手をやって麦茶を飲んだ

「よし!着替えてきます!」

そう言って立ち上がろうとする彼女の肩を軽く押して、座ってと言う様に制すると、彼女は素直に立ち上がるのをやめて、ソファーの座る自分のほうを見てきた。

「なんですかー?」

「もう少し着ててください」

「じゃあ私安室さんの浴衣姿すっごいじっくり見ていいですか?」

「は…?どうぞ…?」

立ち上がるように促されて窓際のほうに立たされ、カーテンを開けた彼女は部屋の電気を消して団扇を渡してくる。なんなんだいったい
しかも満足そうに上から下まで眺めていて、そのうち彼女はソファーに寝転がって肘掛に顎を乗せ、こっちをジッと見ていた

「安室さん本当に似合う…今は夜景みたいなものですけど。花火をバッグにちょっとそんな感じの見たかったな。出来る事ならコナンくんを肩ぐるまして赤井さんと三人で花火を見てほしい…」

「なんでそこに赤井が出てくるんですか…」

ため息まじりに言うと、もういいだろうとその場を離れようとしたが、彼女が機嫌よさそうに足をパタパタさせてこっちを見ているので、なんとなく彼女のほうに歩み寄りづらい
それでもこのまま凝視されるのも気分は微妙なために、彼女の顎を乗せている肘掛の前にしゃがむと彼女の顔を覗き込んだ

「何がそんなに嬉しいんですか?」

「浴衣が似合ってるので」

「なまえさんのほうが似合ってると思いますけど?」

「あ、二人なのになまえさんって言った」

「あー…でもなまえも二人の時にも名前で呼んでくれないじゃないですか」

「んー…れーさん」

笑っていう彼女は破壊力が抜群。そんな照れくさそうに言うくせに、笑って言うのは本当にずるいと思う。そのまま彼女の額にキスをすると、彼女がくすぐったそうに笑った
お酒を飲んでないはずなのに、凄く笑う彼女は酔っているのかと思ってしまう。

「あ、退きますね」

彼女が足を戻して起き上がったので、せっかくだから隣に座った。
もう少し彼女が可愛い格好しているのを見ていたかったが、せっかく避けてもらったのを無碍には出来ない

「なまえも、浴衣よく見せてください」

「えー…もう充分見ましたよ」

「何でなまえはじっくり見たのに僕にはそんな反応するんですか!」

「私は…なれるまで時間かかったので!」

「あー、もういいから来てください!」

彼女の言い方は浴衣姿を褒めてくれているようで、それは素直に嬉しいが、立ち上がって見せてくれようともしなければなぜか隠れるように膝を抱えて丸くしている。
顔を膝の上に乗せてこっちをチラッと見て笑うなまえが可愛くて仕方ない、いったいなんなんだ
結局彼女が立ち上がって両手を広げた

「新しい浴衣です」

うん、以前というのも見た事はないですけどね。でも似合っているので素直にそれを伝えたら「じゃ、着替えてきます」と言ってあっちに行こうとしたので、腕を掴んで自分の膝の上に乗せた

「さっき赤井の話しが出てきましたね」

「そう、ですね…」

「なまえ」

「はい?」

「こっち向いて」

「はい」

彼女が体を横にしてこっちを向いてきたが、視線を合わせようとしないので、腕を軽く掴むと彼女がやっとこっちを見てきた。「赤井さんと仲良くしてください、それが萌えです」真剣な顔で言われるとため息を吐いた

「別に赤井の名前を出したからって怒ってるわけじゃない。俺と二人きりの時に他の男の名前が出てきたから怒ってるわけで」

「あぁー…ごめんなさい」

彼女が謝ってきたので、「それで?」と続きを問いかけたら眉を寄せて瞬きした後に、何かを考えるように黙ってしまい、しばらくした後に首に腕を回して抱きついてきた
「ぎゅー」って俺を殺す気か。僕は安室、と頭の中で繰り返しながら彼女を抱きしめると、彼女の腰を傾けるように誘導させて足を僕のほうを跨がせるようにすれば彼女が腕を離した。ぴったりと合わされていて隠れていた足が、スリットのようになった浴衣から見えている

「…あれ、今何しました?」

「ああしてこうしました」

「ん!?」

彼女が体勢を変えようとするので、ぎゅっと腰にまわす手を強めれば、視線が少々高くなった彼女を見上げた。彼女は戸惑ったような表情を見せた後に、自ら口付けしてくれた、それでもすぐに離れたけど
まさか彼女からキスしてくれるとは思っていなかったので、そのまま彼女にもう一度キスしたくなったが、ただ抱きしめた

「今なんでキスしてくれたんですか?」

「え!?安室さんが…上向いたから…キスなのかな、と…違ったんですか!?あぁああ…穴があったら入りたい…」

「あはは、可愛いですね。ラッキーでした」

彼女が僕の肩に額を乗せて叫んでいるので、その頭を抱きしめるように手を回せば彼女の髪に頬を摺り寄せた。こっちは幸せでいっぱいだというのに彼女は顔を赤くさせながら、不服そうな顔をして遠のこうとしてお尻が膝のほうまで滑っていくものの、もう一度引き寄せると口をパクパクとさせた。こんな可愛い獲物を逃がすわけないでしょう。
しかし彼女はいつになったら慣れてくれるのか、毎度毎度新鮮な彼女を見れるのも嬉しく思うが、出来れば彼女からもキスとかしてくれたり、すり寄ってくれたりしてきても嬉しい

抱き寄せた彼女の首にキスをすると、彼女が声をもらして僕の肩を押してくる
うん、何かやっぱりまだしばらくは慣れなさそうだ。

「やーめてください」

「なんでです?」

「なんでって…夏ですよ?汗かきましたし。実は密着もしたくないです」

「…汗臭いですか?」

そう問いかけると、彼女が自分の首元に顔を寄せてきた。風があたる、確かにこれはくすぐったい、彼女の気持ちも多少はわかる

「臭くないですよ?」

そのおかえしと言わんばかりに彼女の首元に顔を寄せれば彼女の首の匂いを嗅いだ「なまえも臭くないですよ」と言ったあとに彼女の首にキスをして、そのまま鎖骨へ移動して甘く噛んだ

「ひぇ!くすぐったいからやめてくださいほんと!だめです!ちょっと、やらせてください、この気持ちをわかって欲しい」

彼女が僕の合わせの部分を掴むので「どうぞ?」と口角を吊り上げて言ってみせれば、彼女は不服そうに顔を歪めた







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