二人が帰ってきて二人が仲が良いのを見た彼女もご機嫌なようでつまみを頼んだが、お酒を頼むのはやめさせてジュースを飲ませていた。

「ん、ん、ん〜」

と楽しそうに指揮を取りながら歌う彼女は相変わらず僕の隣にいて。
ぴったりとくっついたまま離れないのはいいが、あまりにも暴れるので浴衣がずれてきてそれを簡単に直す。暖かいお茶を飲ませてから、焼き鳥を串ごと口に入れたまま手に持たずに食べている彼女を見て笑っていた

「なぁ、なまえさん教えてくれへんから安室さんに聞くんやけど…どっちから告白したん?」

「…どっちからだと思いますか?」

「え?うーん…なまえさん安室さんの事めっちゃ好きそうやし…なまえさんから…?いや、でも安室さんも素敵な告白しそうやしなぁ…」

「そうか?俺は安室さんが無理やり言わせたんじゃねぇかなって思うけど」

さすが新一くん、大当たり。お肉が無くなったのにいつまでも串をかじっているなまえさんに気づき串を口から優しく引っこ抜いたらなまえさんが可笑しそうに笑った

「新一くん正解ですよ」

「えぇぇえ!?言わせたって、そんなんあるん!?ひゃー…もうほんまに…今みたいな所もええなぁって思うし…なまえさんも安室さんに甘えたりするんやね」

「いいえ、彼女全然甘えてくれませんよ。今酔ってるからこんなふうになってるだけで…僕も始めて見ましたし…」

さっきのあーんもだが、この人僕にどうしろと言うのか
こんな人前で安室でいなくちゃいけないこっちの気持ちも考えてやっているのか本当に、その口の中に手突っ込んで問いただしたい衝動にかられる。
ここが新一くんとか蘭さんたちの前じゃなければ絶対そうしていた、それに着物…浴衣の中が時折見えそうになるのもいただけない。そのまま自分の膝の上に乗せて胸に顔を埋めたいくらいだし、なんなら浴衣をはだけさせたい
と、あまりなまえの事を考えていると今度は本当にどこかに連れていってどうにかしてしまいそうなので、とりあえずそこまで悶々と考えるのはやめた

「和葉こんなベタベタする関係がいいんか!?」

「えーそりゃ好きな人やったら一緒にいたいなぁとか、触れたいなぁって思うやろ!他の人にしーひんことやんか!」

二人の話しに緩く笑みを浮かべながら適当に相槌を打っていたら、ジッとこっちを見上げているなまえさんと目が合う。話しの内容が内容で、またタイミングが良かったから責められているような感じに思えるが、多分違うだろう、違うと思いたい

「あー…ごめんなさい、くっついてて」

どうやら酔いが醒めたようで深くため息を吐いて僕の肩から顔をあげた。

「いえ、いいんですよ?くっついててもらってても」

「あ、遠慮します。どうぞ自分の席に…」

「隣にいちゃダメですか?」

「ハウス!!!!!」

「と、いうような感じですね、普段の彼女は」

わざわざ普段の彼女を見せるためにやったのだが、これはこれで可愛い。彼女はくっついていたという事実に耐え切れなくて、結局照れ隠しにやっているのが表情を見ていてわかるからだ。しかもなぜか感心しているかのような声を漏らされていた
その後は12時近くになったらさすがに服部くんも新一くんも、蘭さんも和葉さんも寝たらしいが、なまえさんは起きていたようで、メールをしたら返って来た
せっかくだから夜中のお風呂に行きたいと言っていたので、自分も行こうと思い部屋の前で待っていたら笑われた「いると思いました」なんて言って。

露天風呂のほうへと移動すると、先ほど入ったところは掃除中で、もう一個の露天風呂が混浴になっていると書いてあった

「帰ります」

「夜中なんで誰もいないんじゃないですか?」

「……とか言ってるカップルがいたりするんですよ」

「それは否定できませんが」

それでも、いなかったらいいのかと思い。服を着たまま中を見に行くも、脱衣所にも誰もいなければ露天風呂の中にも誰もいなかった
乳白色の湯船だったし、これなら入るんじゃないかと思い戻って行くと、彼女も女性用の脱衣所を確認していたらしく戻ってきた。こっちの露天風呂には洗い場が無く、原則として内風呂か夕方行ったもう一つの露天風呂で体を流す事を必須にしていたが、一度お風呂に入ったので問題無いだろう
かけ湯をして湯船に浸かっていたら、タオルで前を隠したなまえが来て、目が合ったと思えばあっち向けと言うように手で払われたので、笑って背中を向ける。
ちゃぷん、という音が聞こえて振り向くと、タオルを岩に置いていたなまえがいた。残念ながらすでに体は浸かっていたので背中だけしか見えない

「このお湯ぬるぬるしてますね」

「そうですね。下滑るので気をつけてください」

「はーい。安室さんと…温泉来れるとは思わなかったです」

「そうですか?僕は誘おうと思ってましたよ?もうすぐ夏ですし、プールとかも有りだなって」

隣に並ぶ彼女を横目で見ると、彼女が視線を逸らしてきたので岩に寄りかかったまま彼女を引き寄せれば後ろから抱きしめる形にしようとしたのに、踏ん張られた

「や…」

「抱きしめていたほうが見えませんよ?」

そう言うと彼女は渋々僕の腕の中に収まってきた。お腹に腕を回して抱きしめるだけで、彼女の体がぴくりと反応する。
彼女の肩に自身の額を乗せれば彼女の背筋が伸びた。面白い

「……なまえさんは海とかプールとか好きですか?」

「はい!しょっちゅう熱中症になるけど夏のイベントは大好きです!」

顔をあげて景色を見ていると横顔で彼女が笑っているのが見えた







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