そのうち元太くん小学生組が帰って行くのを見送った。
新一と蘭ちゃんと世良ちゃんがあっちのほうで喋り始めて、あとからきた真さんに園子ちゃんが飛びついていた。いやーいいもん見てるなぁ、私
ずっと見たかった光景を見れてる気がして一人で笑っていた。夜景のほうを見て、綺麗だなぁって思う、これが何度か爆発してる都市かー…なんて感慨深く思ってる始末
ワインだったグラスにはバーボン。夜景を見ているガラスに安室さんが映ったと思ったら、後ろから抱きしめられるような形になった。フェンスの上に置いている私の手の上に安室さんの手が乗っている。ガラス越しに彼と目が合った

「安室さん…?」

「……ん?」

私の肩に彼の額がのってくる、彼の髪が擽ったい。

「このあいだの電話の件は許しますよ…」

苦笑いを浮かべた。そんな、赤井さんと自分が話すきっかけになっただけなのにそんな怒らなくても…。それでも許してくれると言うのだから何かを突っ込むのはやめた

「安室さん?どうしたんですか?」

なんとなく様子がおかしい気がして安室さんのほうを振り向こうとしたら、安室さんが手を離してくれたのでそっちを向けた。お酒でも飲んだのかと思ったけどそんな感じでもなく、額に触っても熱くない。熱でも無ければ…具合でも悪いのだろうか

「ねぇ、安室さん大丈夫?」

「なまえさん、目のやり場に困るほどめっちゃくちゃ可愛いですね!」

うん、いつも通りだった。むしろいつも通りよりもテンションが高く見えるよ

「なまえを見た時凄く動揺しましたよ。ウエディングドレスみたいで」

「ねー…白チョイスされちゃって、ほんとびっくり」

「大方聞いたんでしょうね」

「何をですか?」

彼の距離は近いまま。うっかり彼のほうを向いてしまった事を少し後悔した、彼が私の肩口に寄りかかるようにしているからまだ顔が近くないけど、距離が近い。彼が息を吐くのが肩にかかってくすぐったい

「……ま、安室で言う事じゃないですね」

「はい?」

彼が顔をあげて笑みを浮かべたと思ったら体を離してもらえた。気づけばみんながこっちを見ていて、ちらっと見たら視線を不自然に逸らされた
なんなんだいったい…新一にデザートを勧められたので取りに行ったついでに蘭ちゃんとの話を聞き、逆に安室さんの事を問いかけられた。何の話かよくわからないからドレスを褒められた事を伝えると笑われた

「そういえば…新一くんってコナンくんに似てますよね。このあいだ電話でコナンくんが来たらこの間のなまえさんの件を聞けばいいって赤井にいわれたんですけど、コナンくん、いないですよね」

蘭ちゃんと園子ちゃんと世良ちゃんは真さんとジョディ先生たちを送るために下に一度行ったので、今ここにいるのは新一と私と安室さんと沖矢さん…
新一と私の視線が合うと苦笑された

「工藤新一くんはですね…組織が開発した毒薬を飲まされていまして…まあ、ずーっと組織に関わってましたよ。安室さんの近くで」

「……コナンくん…なんですか?」

「なまえさん…ばらすの早いです…」

「だってもうなんの障害も無いし、いいかなって…」

「それで電話の…納得しました。逆に言ってもらえてよかったです。さもなければなまえさんお仕置きでした」

それは教えておいてよかった…。
蘭ちゃんたちが戻ってきたので事実上解散になった。もちろん部屋は借りていてくれていたらしいからそこへ行く
ちなみに世良ちゃんと蘭ちゃんと園子ちゃんが同室で女子トークをするらしい、私も行きたい…新一は赤井さんとおんなじ部屋
私も蘭ちゃんたちと一緒がよかった…高校生なんだからまだこんな男女一緒にしようなんて思うなよ!

部屋に入ってすぐに中を見て回った

「すっご…!見て安室さん凄いですよ!お風呂でかい!トイレ綺麗!ベッドでかい!夜景が綺麗!飲み物もついてます!」

一人ではしゃぎ回っていると安室さんが可笑しそうに笑って部屋の窓際にある椅子へと移動した。夜景を見ていたら再びガラス越しに目が合った

「夜景が好きなんですか?」

「何言ってるんですか…降谷さんが、降谷さんたちが守った景色でこれからも守る景色ですよ。嫌いなわけないじゃないですか」

「…あなたって人は…」

キラキラと光る町の明かりがとても綺麗で、自分のアパートを探したりポアロを探したりして…そしてその夜景に背中を向けたら思い出したから手を叩いた。

「そうだ、私服とか園子ちゃんの車に預けっぱなしだった…取りに行かないと」

「そこにあるのは?」

彼が指した方向へと顔ごと視線を動かすと、ベッドの傍らに紙袋と私が持ってきた普段用のバッグとトートバッグかが置いてあった。紙袋には私がもとより着ていた服が入っているだろうし、トートバッグにはお泊り用品が入っている
私がそっちに歩み寄ると中身を確認し、自分のだと頷いた

「着替えようかな。ドレス皺になったら困っちゃうし」

「え」

「ん?」

安室さんが短く声を漏らしたので、そっちを見ると、安室さんが口元を手で覆っていて視線を逸らしていた。この人はいったいなんなんだろう。何かこう…とりあえず今日は変!
荷物を漁る手を止めて彼のほうに歩み寄っていくと、視線を逸らす彼の前で手を振った

「安室さん大丈夫ですかー?何か今日変ですよ」

「…だから、それはなまえが可愛いからだってさっきっから言ってるじゃないですか。あと蘭さんたちといる時に安室さん呼びは許すけど二人の時は名前で呼べって言ってるだろ」

「とーるちゃん。落ち着いて」

わざと安室さんの下の名前で呼んで笑ってみせたらため息を吐かれたので、その空気を手で取って口の中に放り込んだ「人の幸せも味がすればいいのに」
あまりにも浮かない顔ばかり見せるからしてみた事だったのに、安室さんが再びため息を吐き出そうとしたみたいだったが、吸いかけていた息を止めた。それなのに結局吐き出すから可笑しくて笑ってしまった

「ちょっと本当に落ち着いて来ます…。あとドレスは脱がないで、もうしばらくそのままで…」

そう言って安室さんが椅子から立ち上がったのを首を傾げて眺めていた
安室さんってどうやって落ち着くのかなーなんて思って安室さんを見ていたんだけど、部屋の外に出てしまったので、冷蔵庫に入っているワインを開けて飲みながら待っていた

帰ってきた安室さんが持っていたのはスポンジで
思わず吹き出しそうになったが、こっちを見ないで浴室に行ってしまったのでそれをワインのグラス片手に見に行ったら掃除していた。私はもう声をあげて笑いました







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