その瞳は何度も見た情欲の色の籠もった目。この瞳に見られると、彼がかっこよすぎて胸がぎゅぅってなるし、なんなら立っている時にこんな顔で見られたらその場にダウンする事だってありそうな気がする。
そんな瞳から逃げるように目を逸らし「れーさん、飲み物でも頼みましょうかー?」なんて聞いてみると、彼が手首を持って口角を吊り上げた

「逃げますね、わかってるでしょう?」

わか、ってるよ…。って言いたいけど、わかってるからはいどうぞ。なんて出来るわけないでしょう?唇を結んだまま彼のほうを見ると、彼は再び笑って私の事を抱きしめてそのまま半ば俵担ぎ状態で私を持ち上げた。毎度毎度思うけど重くないのか…暴れたほうが彼の負担だから暴れる事はしないんだけど、そろそろ心配になってくる
そして向かう場所はやっぱりベッド
優しくベッドに下ろされると彼を見た。

「あの、ねぇ、安室さん?」

あ。って思った瞬間に彼がこっちを鋭い目つきで見てくるから言葉が引っ込んだ
本当に自然と出てしまった彼の偽りの名前、それは彼もわかっているはずなのに、最中の彼はいつも零と呼ばないと納得しないような表情をしてくるし行動もしてくる。でも今は最中でもなんでもない、ただ口を閉じてしまったから自分でも気づいた事を彼に知らせてしまった事になる

「なまえは、安室が好き?」

「え、ちが、そうじゃないです。ただ呼びなれているほうを呼んじゃっただけで…安室さんのれーさんが好きとかじゃないですから!」

そうか、そんなふうに思われてしまうのか。慌てて否定すると、彼は私の隣にころんと寝転がって布団をかけた。彼のほうを見ると抱き寄せられたため自分の胸の前に手を持っていき、自分と彼の間に腕が入るようにした

「まあ、わかってるけど…結構俺めんどくさいやつで、捻くれてるんで」

「改めて言われなくても知ってますし」

そう言った瞬間に彼にぎゅうっと力をこめて抱きしめられる。
そう、彼は子供っぽい所があるし、目先のことしか考えないで突っ込んで行ってしまう所もあるし嫉妬心もある…彼は自分をどう思っているか知らないが、彼は充分人間らしいと思う。
彼の抱きしめてくる力が弱まったので彼の鎖骨あたりに埋めていた顔を見上げると、怪訝そうな顔をしていた

「えっ!?ど、どうしたんですか!?」

「いや、この手は何かなぁ…と」

「あぁ…え、っと…」

寝る前で下着をつけていないからですけど!?って堂々と言えない。
それなのに彼は訝しそうに見てくるから困ったものだ、察してくれ
誤魔化すように笑ってみせると、彼がその手を避けろというように視線で訴えてくるので、逃げるように彼に背中を向けてそのまま転がってベッド端に移動しようと考えたのに、彼の腕によって引き寄せられた。彼の息がかかる首のすぐ下あたりだけが熱い

「さっきから逃げるのはなんで?何かあるのか?」

「や、あの…」

「ん?」

私が言い淀んでいると、彼が問いかけてきた。別になんでもないんだけど、なんでもないんだけどなんか…やる気満々だと思われないかな、いや、でも寝る前だからってつけてないだけで!本当で!
どうしようかと考えていたら、彼のお腹にあったはずの手が上に上っていて、あっと思った瞬間には彼の手が私の胸に触れた

「あぁ」

その納得したような声やめてー!!!!
彼の手の上から指を絡ませてその手を退かすようにすれば、あっさりと退いてはくれたのだが、後ろで彼がクスクスと笑っている
彼の手が首にかかり、髪を退かされると彼が首の後ろにキスをしてきた

「ひっ…」

「言えばいいだろ、下着つけてないからーって…つけてないからなんだって思うけど」

「お風呂あがりだからつけてないだけでっ…する気満々だって思われたら死んじゃうっ…!」

「俺はなまえにあった時からする気満々でしたけど。じゃあもう一回やり直し、こっちむいてなまえから俺に抱きついてきて」

会ったときからする気満々って、どんな反応したらいいんですか…
それを考えるよりも先に彼に要望をもらったのでおずおずと彼のほうを向いた。この下着無しを押し付けるような事を、自らやらないといけないのか。彼のほうに体を寄せていくと腰をひいてぎゅっとした、密着しないようにだったのに、すぐに彼から抱き寄せられる

「柔らかいですね」

あははは、と笑う彼の顎を上にぐいぐいと押す。わざわざ言って私の羞恥心煽って楽しいのかしらこの人!それでも楽しそうに笑っているし、押しても押しても顔が上に上がらない、首でも鍛えてるのかな…んにゃろー…って次の作戦を考えていたら、くるりと仰向けになって彼が私の上になった。口元に緩やかな曲線を描く彼を見る

「あ、の…」

「ん?」

目を細めて聞き返してくる彼に、なんて言ったらいいかわからず、しばらく見つめていたら口付けされた。「ん」と小さく声が出たが、ただたんに驚いて反射的に出てしまっただけで他意は無い。私の唇を、薄く開いた彼の唇で挟まれて、ちゅ、というリップ音までもが出始める。私もそれに答えるように彼の唇に啄ばむようなキスをしてみた
見よう見まね、というか彼の真似。唇が一度離れるともう一度キス、顔を傾けて何度も違う角度からキスをして…苦しくなってきた

「ん……」

彼がもう一度唇を離して息を吸い込ませてくれていたがそれのせいで唇に隙間が出来て、彼がそのうちにと舌を侵入させてくる。先ほどよりも熱く感じるのは私のせいかな。ちゅ、というリップ音から少しずつ音がかわっていく、彼に他を触られているわけでもなんでもないのに体が反応してしまっているし、なんなら多分…濡れている気さえする
別にそんなふうになりたくてなっているわけじゃないのに、自分の体がよくわからない

彼が唇を開放してくれると、いつも笑っている印象の可愛い彼が、雄を宿した瞳…情欲の色をこめた瞳で見てくると私の心臓は途端に跳ねる

ずるい、そんな顔で見てくるなんて…。

私の額にキスをしてからそのキスが首元に移動して、体を縮みこませるように手を自身の体の前に出して胸の前で手を組んだ。多分それは胸を自分の理性の部分が隠そうとしていたんだろう、それでも彼がその手首を掴んで避けてくる
彼の手が私の胸に触れたかと思えば、優しく全体的にもまれた

「ん、ま、待って…電気っ…」

「ダメ。今日は全部見る」

「それは絶対嫌!!」

「じゃあ…縛られたい?」

「ちょ、どういう事!?だって別に、見なくていいじゃないですかっ…」

「いつも暗がりであんまり見えないから、なまえが恥ずかしがってる姿も、上気した赤い顔も、なまえの体も…色々見たい」

「っ…私は見られたくない!ですっ!」

そうやって言ってるのに彼が私の起っている胸の頂をピンと弾いてきた

「ひゃっ…!も、何してるんですか!まだ話しのとちゅっ…ん…」

まだ私は消せと言っている途中なのに彼が人差し指で頂を撫でながら胸を揉んで、もう片方の胸もパジャマの上からなのに口の中に含まれた。
パジャマのつるつるした感触の上から舌で転がされる。それがなんとも言えなくて彼に抗議していられなくなるが、彼の肩を押した

「ね、はな、話しきいっ…んんッ…やぁ…!こ…っち、見ないでくださいっ…」

彼は相変わらず私の頂を撫でていて、舐めていたほうを軽く甘噛みされると私の声があがる。彼は口から離して、私を見下ろして笑っていた、それはもう楽しそうに
だから顔を背けて自分の腕で顔を隠すようにしたら、胸の頂をぎゅっと抓まれて、その腕が離れた








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