「君、今日はなまえさんの家に泊まってください」

「んっ!?」

「僕も行きますから…。もしかしたら、彼の部屋誰かしら見張ってるかもしれませんし」

「あぁ…いや、でも…俺がみょうじの部屋についていったら…みょうじが危ないんじゃないか?」

「大丈夫です。僕もいますから」

話しが勝手に進んでる。でもとりあえず安室さんの事だから何か考えがあるんだろうと思って、何も言わずに事の成り行きに任せる事になった。私が車で眠っている間安室さんとクラスメイト…メイトくんは買い物をしてきたらしい、家に帰って片付けを安室さんがしていた…こっちの家に初めて来たはずなのになんでこんなにてきぱきと動くんだ
私は友人に骨折はしてなかったけど、怪我が酷いから2、3日休む事を連絡した。もちろんこの携帯もダミーの携帯電話とアドレス。蘭ちゃんが恋しくて仕方ない

「どうにかしたいって言ってたけど、具体的にはどうするつもりだったの?」

安室さんがキッチンでコーヒーを入れてきてくれて私とメイトくんの前に出した。私のは甘いカフェオレになってる
コーヒーを飲むと、メイトくんが息を吐いた

「科学の先生もその宗教団体の上のほうにいるんだけど、まだいるはずなんだ…でもその人たちが学校の人じゃないみたいで、全然わからない…だから…入るしかないのかな、って思ってる…」

「暴れまわってる君が入る事に疑問を感じると思うんだけど…」

「だ、だめかな…科学の点数あげるとかじゃ…」

「なまえ、寝転がったほうがいいんじゃないですか?」

「あ、ソファーに寄りかかってるので大丈夫ですよ」

「辛かったら言ってください。それで…あなたが入ってトップを突き止めたとして…その後はどうするんですか?」

「そりゃ警察に連絡して…」

「難しいんじゃないですか?例えばその人が警察の人と繋がっていたらどうします?逆に掴まって殺されますよ。警察に繋がっているか繋がっていないか、他に誰と繋がっているのか、とか色々な視点から見ないと完全には止まらないでしょうね」

「じゃあ、どうしろって言うんだよ」

私はマグカップを離す事なくちょっとずつ飲みながら話しを聞いていた。安室さんめちゃくちゃアドバイスしてるけど、さっき電話した時に色々調べてもらったのかな?それで何か助けようとか思っているのか…いや、安室さんだからきっと利用するものは利用するんだろうな、なんて思って二人のやりとりを眺めていて、ああじゃないこうじゃない、と安室さんに論破されていてもうメイトくんは地団駄を踏みそうになっていた

「私が入ろうか」

「っ……一番、やらせたくないことを…」

そうだね、なんとなくそれが一番良い方法なんじゃないかな、って思ってた
でもそれを言い出してこないから、やらせたくないのかな、ってもわかってたよ
私が言い出した瞬間に苦虫を噛んだような顔をした安室さんが、額に手をあてて悔しそうに顔を歪めていた

「入ってすぐに何かさせられるのかな?」

「どう…だろう。俺の友人は男だから…男側からの事しか知らないんだ、友人は最初会費として少しのお金を預ける事から始まったよ。あ…でも…ちょっと曖昧なんだけど、入ってすぐにそうゆうの見せられたって言ってたな…」

「そうゆうのって?」

「だから、男女の絡み…。それ目当てで入るやつも結構いて」

「すぐ、だと困るなー…あ、でも待って、怪我してたらその絡みに追加されないのかな?もし、怪我をしている事が未加入の条件なら今は入れない、でもそれが加入条件にあるって事は綺麗な体じゃないと何もされない?」

「…わからない。どっちにしろ、俺はみょうじを入れるのは反対だ…何されるかわかったもんじゃないし…」

話しに夢中になっていていつの間にか、私の手元のコーヒーは冷めていて
隣に座る彼はずっと同じ表情で同じ状態で固まっていた。

「抵抗しない…自信が無い。私のモットーは触られるくらいだったら死んでやる」

「あぁ…あ、うん、そうだな、いたよ…っても、そいつはヤられた後だったけど」

「ヤられた後に死ぬなら死なないよ!!」

「…れ」

「もう、とりあえず俺は反対するって」

「だって私が入る以外に方法が」

「なまえ黙れ!!!!!」

いきなり安室さんに怒鳴られて喉がひゅっとなった。びっくりした、本当にびっくりした
バーボンの時でもまったく驚いたりしなかったし、ちょっと怖かったけど…それでも、ここまで彼に驚いたのは本当に初めて。恐怖とかじゃなくて、ただびっくりして心臓が跳ねた。それはメイトくんも同じようで、目を丸くさせて安室さんを見ていた

「考えるから、ちょっと…本当に待ってください」

そう言って安室さんが黙るから、私もメイトくんも何も言えなくなって、私は冷え切ったコーヒーを飲み干した。例えば私が入ったとして、危ない目にすぐに合う確立は確実に低い、だいたいは少しずつ信用させていってからするはず。その友人が見たというのはもうすでに、心も体も宗教に入ってはまってしまった人なんだろうって思う
それでも、可能性が無いとは言い切れない。私が入ってすぐに何かされて…多分私は大人しくしないから殺される、彼の考えはちゃんとよくわかってるつもり
だけど抵抗しないっていう考えが私には無くて、抵抗しないでくれ、って彼が言ってきたらそれは彼が私に大人しくヤられろって言ってる事と同じ事
それさえも言いたくないんだろうな、って顔が見えないけど彼が歯を食いしばっているのだけは見えていた

興味を持っているふり、じゃダメなのだろうか。最初興味を持っているふり、入りそうな素振りを見せて、っていうのは上手くいかないのだろうか
私とメイトくんの視線が交じるけど、苦笑いを浮かべてお互い再び視線を逸らした。
私のもう一つのスマホが短く振動する、来たのはメールで差出人は工藤新一「大丈夫か?」という短いメールだった

「ねぇ…安室さん?一人で何でも抱え込まなくていいんじゃない?その科学の先生にシールを貼り付けて、眼鏡で見るっていうのはどうかな?トップがわかるかもしれないし、他のメンバーもわかるかも」

安室さんの肩に手を置いて、新一くんからのメールを見せた。すると彼は一瞬驚いたような目を向けてきたが、すぐに口角を緩めて笑う

「そうだよ、外部から…その宗教の頭を探って、内部からメンバーと宗教団体の内容を探る。基本生徒だけでは構成されていないはず、成り立たないからきっと、高校生が好きな男の人もいるはずで高校生が好きな女の人もいるはず。性的なものがあるっていうのはそういう事。そしてお金を徴収しているって事はそれを使うつもりがあるって事で、トップは貧乏では決して無い…そして、今までそこまで主張されてなかったその宗教団体の名前が急に出始めたのはつい最近、つい最近羽振りがよくなった人、もしくは会社等の団体のトップ…。もしかしたら何か性的なもので前科があるかもしれないなー…」

安室さんはすぐに新一くんに電話をかけて事情を説明していた、少し私たちから離れた所だけど、私たちが見えるキッチンで。それでも会話は聞こえてきたけど、聞く耳を立てる気はメイトくんには無いらしく、私のほうを見てきた
私は自分のスマホで加賀くんに電話をかけていて、彼が出るまでの間メイトくんの質問に答える

「なぁ、つまりどういう事だ?」

「えっと、私は一人じゃないって事、かな。あ、もしもし加賀くん?ちょっと調べて欲しいんだけど」

加賀くんに説明を終わらせた後にパソコンを開いた。加賀くんがそのうちリストを送ってくるだろう、彼の担当分野じゃないけど組織の時に一緒にいた人に言ってもらえればきっとどうにかしてもらえる。安室さんも電話を終わらせて帰って来たと思ったら「お腹すきましたね」なんていってごはんをつくりにいった。
私は腰か背中かわからないけど、とりあえずその周辺がズキズキと痛いのでソファーにうつ伏せで寝転がった







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