公安に朝からいたんです。5時で定時だったんです
なのに私まだ制服で、今度はパソコンと睨めっこ…睨めっこして早6時間が経ってようやく開放されました。おかしい、公安の協力の話しってこういう感じじゃないはずだ、絶対違う。タダ働きを公安内でしろっていうおかしなボランティアじゃなかったはず。それなのになんでこうなるの、私もう公安名乗ってもいいんじゃないかってさえ思えてくる
さすがに疲れたので服を着替えてから、自販機の前にあるベンチに座っていちごミルクを飲んでいた

「なまえ。よかった、先ほど加賀くんに連れていかれたって聞いたので、返事返ってこないからまだいると思いました」

そう言われてスマホを見ると、降谷さんから何件か電話とメールが来ていた。
降谷さんはちゃんと眠れたようで、さっきよりも落ち着いてる感じで、私の隣に腰をかけてきた

「大丈夫ですか?」

「降谷さんのせいかなって、たまに思います」

「否定できないな。一応俺は優秀なんで、その彼女っていう話しだと余計に信頼が厚くなってくるし、それに手を焼いていた組織を壊滅するのを手伝った人間だって知られてるから余計に…疲れますよね、すみません」

「大丈夫ですけど、たまに楽しいとは思いますし」

降谷さんの仕事が知れて、降谷さんとここで会えるのは嬉しい事だから素直に伝えると、彼の顔が綻んだ。そして彼が近づいてきたと思ったら額に軽く口付けされて

「制服見るのが家だったら良かったんですけど…。制服似合ってましたね、もう、すっごく」

「もう着れる年齢じゃないんですけど、本当…」

「あ、お疲れ様です」

「お疲れ様です」

「お疲れ」

こっちに来たのは先ほど私に絡んできた人。それが私たちのベンチの前に座ると向かい合わせになった。降谷さんは足を組んでその人を見ていて、私は飲みかけのいちごみるくをまた一口飲んだ。自然と私と降谷さんの話しが止まったのは、なんとなくこの人用事あるのかな?って二人とも思ったからだと思う

「綴着(つづぎ)?何か用事か?」

「あ、はい!綴着です…いえ、あの…本当の彼女さんなのかな、と思いまして」

「…それが君と何か関係あるか?」

「いえ、何か…潜入先とかの彼女役なのかな、と思いまして…」

降谷さんがため息を吐いた。私は黙ったままもう一度いちごみるくを飲んで、あとすこししか入ってなかったので飲み干した。ゴミ箱に捨てに行くために立ち上がり、ゴミ箱の中に入れようとしたのに入らなくてゴミ箱をガタガタ揺らして、缶をバンバン叩く

「ゴリラみたいな彼女さんですよ?」

「うん、否めない」

無理やり押し込んだら、ゴミ箱が擦れてできたであろうプラスチックの突起に手を引っ掛けた。それを見て手をぶんぶん振っていたらゴリラ呼ばわりされたので、今やった事を振り返ると否めないので肯定しておく。そして降谷さんの隣に戻ればその手を掴まれた、私が切ったところをジッと見つめると舌打ちをしてiPhoneを出して電話をしている

「ちっ…風見か?一課の前にある自販機のところのゴミ箱新しくするように言え、なまえが怪我した」

「このくらいの擦り傷で交換までする!?」

「どうせもう古いから買い替え時だろ…」

「本当の…彼女なんですね…」

私の傷口を見ていた降谷さんが、その言葉で綴着と呼ばれた人のほうを見た。それからふっと笑って私の傷口にキスをしてきた、すぐさま手を引っ込める

「綴着、なまえの事が好きなら諦めろ」

「そうそう、入り込む隙なんてないからな…俺もみょうじ狙ってたのに。ほら、絆創膏」

加賀くんが来たと思ったら絆創膏を差し出してくれたので、それを取ろうとしたら降谷さんに先に取られて手の甲に貼られた。風見さんがしゃべっていたのを聞いたらしい。そこまで大きい傷じゃないんだけど、鋭利な刃物じゃなくてプラスチックで擦ったせいで痛かったから嬉しい気もする。

「でもさすがに諦めましたよねー?」

「どうかな。隙があればもらっていくかも」

「貰えないです。私かえりますよ」

「あ、そういえば上から伝言。あの件はよろしく頼んだって」

しばらく目を瞑って考えた
あの件って言われれば思い当たる節はひとつだけ。確かに誰にもおばさん呼ばわりはされなかったけど、でも本当に入るってなるとどうすればいいんだ…
そう考えてたら目の前に綴着って人が呼ばれたらしく、こっちに軽く挨拶をしていなくなった。
送ると言われたが送り狼されそうだったのでタクシーで帰ると言って、風見さんに降谷さんを任せてちゃんとタクシーで帰った
これから私はよくわからない潜入捜査に協力させられるらしい…







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