私が問題集を解くのに集中しているせいか、みんな一応仕事はやっているようだが徹夜続きの人が多いらしくてテンションがおかしい人が何人かいた。そのうち電話かかってきたのでその相手を見ると電話に出る

「もしもーし?」

「禁断症状がまた出そうですよ」

「放っておいていいですよ。ちょっと今日は難しいです」

そう言い残して電話を切った。慌てて切ったのは私が電話したのを何か言ってきそうな気がしたから。とりあえずこの格好を見られたくない、定時まであと2時間

「電話番号教えて」

「教えません」

「名前は?」

「仕事してください」

疲れるなぁ…なんて思ったら、さっき助けに来てくれた人がその人を連れて行ってくれたので安心したからため息を吐いた。それから机に頬を乗せながら粗方覚えた写真を眺めていた。やる気のない学生の状態

「降谷さん!お疲れ様です!次はどうしたんですか?」

「誰かカロリーメイトみたいなの持ってないか?風見が来るまで持たない…あれ、あんな人いました?」

「あの人は今日一日キャップだそうです」

私は動くことが出来ずにそのまま硬直していた

「へぇ、聞いてないですけど。挨拶くらいするか…」

来ないで欲しい、と思って寝てるふりで机に突っ伏した。

「おい、降谷さんが来たぞ、寝てんのかー?」

私にちょっかいをかけてくる人に話しかけられたが、やっぱり顔をあげられない。何度もその人に話しかけられて、髪の毛を軽く掴まれて軽くその髪を揺さぶられた。ちょっとやめて…まじで放っておいて、なんて思っていたらその人の手がふいに離れた

「この匂い…」

「匂い?」

「今俺が会いたくてたまらない人の匂いと同じだな」

「は?降谷さん彼女さんいるんですか?」

「ああ」

「…でもこの人じゃないですよね?」

誰かの手が私の首にかかる、人差し指ですっと髪を退けるその仕草は絶対降谷さん。冷たい指先が私の首にかかった瞬間体が跳ねた

「…髪の匂いもそうだし、首も…彼女だな」

「いやいや、降谷さんの彼女さんがこの人なわけ」

「何よりも俺が今目の前でこの人を見てて抱きしめたくて仕方ないのが何よりの証拠。高校生ですか?天使ですか?」

顔をあげた私の顔は多分真っ赤だったんだろう。降谷さんが満面の笑みでこっちを見ていた
それにはその隣にいた人が口をぽかんと開けていて、警備企画課の人達の視線もこっちに集まる

「降谷さん…すごいうざいです…」

「なんでここにいるんですか?しかも制服って…」

「ちょっと、なんかお試しみたいな…」

顔の熱を冷まさせるように、頬に手を当ててため息を吐いた。問題集と写真を見て彼が「ホー」 なんて言っていて、私はとりあえずずっと座りっぱなしだったので立ち上がった

「うそだろ?お前の彼氏が降谷さんってうそだろ!?」

「わかんない、嘘かもしれない」

「うそじゃないですって…なまえ、ネクタイ変ですよ。正しい使い方は…こうです」

しゅるしゅると私の首からネクタイを取ったかと思えば手首を縛られた

「アホですかー!あぁ、もう!誰かこの人仮眠室連れて行ってくださいー!!」

縛られたネクタイを口で解いていると降谷さんが楽しそうに笑って「萌えますね!」なんて言っていた。降谷さんの様子に警備企画課の人はものすごく驚いた顔をしていて、後から降谷さんをさがしに来た風見さんに降谷さんが連れていかれそうになったが降谷さんが、私が座っていた椅子に座って私を抱っこしてきた

「無理、風見。こんな可愛いなまえ置いていったら誰かに食われる!」

「ええい、みょうじなまえ!お前も来い」

「はーい、降谷さんこっちですよー」

放して貰えたので降谷さんの手を繋いで誘導して行く。仮眠室に連れて行って寝かせてから元の場所に戻ろうとは思ったが、あんなに絡まれたところを見られた場所に戻れる度胸が私には無い。それでも戻らなくちゃいけないんだろうと、腹を括って戻った。
すると一瞬シンとしたがみんなは高校生とかでもなんでもないため、ちゃんと仕事に戻ってくれたので安心して私もあと1時間ほどの時間を問題集に打ち込める
定時までもう10分という所で問題集を閉じてため息を吐いた。

「なぁ」

また来た

「お前が降谷さんの彼女って本当?」

「そうなんじゃないですかね…」

「あの人いつもあんな感じなのか?」

「いや…今徹夜だからあんなテンションで普段はかっこいい降谷さんですよー…」

もう定時になったので帰ろうかと思い、まだ話しかけようとしてくる彼を放っておいて帰ろうかと立ち上がったら、ノックがなった

「サイバー攻撃対策センターの加賀です。あ、いたいた、みょうじ」

「加賀くん、おひさし」

「おう、久しぶり。こっちにいるって聞いたからさ…来たついでに仕事していって」

「…待って、私ここの職員じゃない、落ち着いて」

「落ち着いてる。でもちょっと人が足りないっていうか問題が山積みすぎてみょうじの手が借りたい。猫の手でもいいわけじゃなくてみょうじの手が借りたいんだ」

「私帰ってゲームしなくちゃいけないんだけど」

「そんなん後だろ、日本が先だ」

「いや、今日は絶対ゲーム!うわぁあ」

加賀くんに引きずられていく様子を見ても、誰も何も助けてはくれなかった
その代わりにあの人何者なんだ…という話しが出ていたって後日聞いた







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