「ぎゃー!可愛いぃいい」
モルモットとうさぎを膝の上に乗せて抱っこしながら、一人で盛り上がっている寂しい女子がここにいます。係員さんと話しをしながら触っていると、和葉ちゃんと服部くんがやってきた
「あ、ここにおったんや!なまえさん、あたしにも抱っこさせてください」
「どうぞ。で、和葉ちゃんは私が抱っこしてもいい?」
「へっ!?」
さあ、おいで。と両手を広げていたら服部くんに止められた、さっきのやつはクリアできたのか聞いたら和葉ちゃんと喧嘩になり始めた。聞いた私が悪かったです。和葉ちゃんもどうやら私と同じように逃げ回って服部くんがそれを追いかけたりして、推理どころじゃなかったらしい。そのうちうさぎを抱っこする和葉ちゃんのうさぎを服部くんが撫でたりしていた
「そういえばポアロのにーちゃんは?トイレか?」
「知らない」
満面の笑みで答えると「お、おぉ…そうか」と服部くんが怯んだように言ってきたのでその話しはここで終わり、私は先に二人から離れ、手を洗って消毒をした後に少しだけ室内に展示されているというアクアリウムのほうへ行った。大きな水槽の前の椅子に座って魚を見ていた
海の中に入りたいなぁ…安室さんと海行きたいなぁ…でもその前にダイエットかなーなんて考えていたら隣に、息の荒い人が座った。見なくてもわかります、お帰り安室さん
「勝手にいなくなるのやめてください。心配するじゃないですか、電話にも出ないし」
あぁ、そういえばサイレントにしていた。
怒ったような口調の安室さんが、返事をしない私にため息を吐いた
「いったいなんだって言うんですか?急にいなくなったら誰かに連れていかれたんじゃないかって心配になるでしょう!」
というか、ちょっと忘れていたけど、本来彼が女性に触ったり触られたりするのなんていつも通りでよくある事で。黒の組織とかにいた時とかなんて、何かしらハニートラップをしていた事もあるだろうし、華原さんの時もそう。キスされても嫌がる事もなく喜ぶ事もなく、ただしれっとかわして…安室さんにとってはどうでも無いんだろうなぁ
「聞いてるんですか!」
安室さんが私の顎に手を添えて安室さんのほうに向かせてきた。
私は安室さんと目を合わせるものの、すぐに視線を逸らす
「言いたい事あったら言えばいいんじゃないですか?」
イラついているように言う彼を、喜ばしいと思えばよかったんだろう。
だって安室さんなのにこうやって感情を露にしてる。そんな彼にみっともない嫉妬心、彼に伝えられるわけないじゃない
「探偵だっていうなら、推理したらいいじゃないですか」
彼を睨むように見つめると、彼が私の顎から手を離した。何かのショーをやっていて人がほとんどいなかったのだが、そのうちちらほらと人が入ってくる
無言のまま二人で並んでいると、新一くんと蘭ちゃんが来た
「なまえさん!よかった、ここにいたんですか…さっき泣きそうな顔で歩いているのが見えたから声をかけようとしたんですけど、人ごみで見失っちゃって…大丈夫ですか?」
「…蘭ちゃ…」
蘭ちゃんの優しさに触れた瞬間涙が溢れてきた。蘭ちゃんに抱きつくと、新一くんと安室さんが驚いたように息を飲んだのが伝わってきた
「喧嘩でもしたんですか?」
新一くんの言葉に安室さんが「いいえ」と答える。蘭ちゃんが私の頭を撫でたと思ったら、安室さんのほうを見たのが気配で伝わってきた
「私見てましたよ。安室さんがナンパされてるの、突っぱねないで緩く返すのどうかと思います!なまえさんだって大人だって言っても嫉妬くらいしますよ!」
やめて蘭ちゃん!気持ちは嬉しいけどやめて、まじでやめて。しかもそこで新一くんが笑ってるのがもっとやめて欲しい。ニヤニヤしながら「へぇ」なんて言ってくるのが凄く嫌!!コナンくんの時の呆れた顔はどうしたの!!
「安室さんもまだまだ女心がわかってないですね」
そっちか、なんかそっちのニヤニヤか!!さっき蘭ちゃんと和葉ちゃんが安室さんにきゃあきゃあ言ってたお返しか!私は涙をぬぐって蘭ちゃんにお礼をした。でも言って欲しくは無かったかな、と思って笑った後に蘭ちゃんが数歩離れたので息を吐いた
それから新一くんが蘭ちゃんを連れて行ってしまう、蘭ちゃんが「え、でもまだ」と躊躇しているのを「いいから」と言って手を引いて行ってしまった
「ごめんなさい、嫉妬しませんよ。違いますよ、でも心配かけて怒らせたかったわけじゃないです。でも…あの、対応がわからなくて…、そんな堂々とあの人たちに安室さんの彼女ですーみたいな感じで出て行ける自信も無ければ、安室さんに気づかせる行動も出来るわけが無く…ごめんなさい」
あくまで嫉妬してない。これから先、黒の組織以外にも何かがあった時に彼がやりづらくなってしまうから、嫉妬なんてしていられない
彼が私の顔からマスクを外した
「キスしたくなっちゃいますね」
こっちが真剣に話してるのに、笑って言うことじゃないでしょうが!
「僕のほうこそすみませんでした。ただ、本当に…なまえさんが誰かに連れていかれたら、とか考えてしまうので、お願いだから電話に出るとか、してくださいよ。僕はなまえさんを失うのは嫌なんですよ」
「足かせにならない?」
「ならないですよ。―だから…」
「だから?」
「僕と「おぉ!ここにおったんか!飯行こうや!」
「あ、行く行く、おなかすいちゃった」
安室さんとの話しは途中で止まって、服部くんの言葉をきくとおなかがなった。
その後はずっと笑顔の安室さんに不審に思いながらもお昼ご飯を食べてみんなで遊園地で遊んだ
「元気だなぁ…若い子たちは…」
「ええ、まったくもって同感です」
ジェットコースターなら何回でも乗ろう、でもコーヒーカップには何回も乗れない
無論、バイキングも一回でギブアップ
それなのにあの4人は楽しそうに乗っているので、私と安室さんはコーヒーを飲みながらそれを見ていた