園内に入ってすぐ、推理して脱出するゲームがあった。当然服部くんと新一くんと安室さんはそっちに歩み寄って行く。無論私もだ

「いやや!それホラーやん!絶対怖い!無理!」

「二人一組、絶対に二人一緒にいること、一人でもかけたら生き残れません…」

私がそこに書いてある内容を話すと、和葉ちゃんと蘭ちゃんが無理無理言っていた。推理して脱出というのは物凄く魅力的だし、二人一組というのも魅力的だ
私は和葉ちゃんを蘭ちゃんからひっぺがして服部くんのほうに押しやった

「和葉ちゃん連れていって!」

「はぁ?こんなん連れていけるわけないやろ。工藤と俺とちゃちゃっと行って来るわ」

「へぇ…?新一くんと一緒じゃないと解けないんだぁ?」

私が満面の笑みで言うと、「あほか!」と言って和葉ちゃんを引きずっていった。それから新一くんが蘭ちゃんのほうを見る、蘭ちゃんは新一くんと目が合った瞬間に視線を逸らした

「蘭頼む!絶対手離さねぇから!」

「ほ、本当に?」

「あぁ、絶対だ」

「わ、わかった…」

涙目の蘭ちゃんと新一くんを私は良い笑顔で見送った。さて、私は安室さんと動物でも見に行こうかな、と思ったら安室さんに肩を叩かれたので出しかけていた足の体重を後ろへとかえると彼のほうを見た

「入らないんですか?」

「はい、動物でも見にいきませんか?」

「なまえさん、怖いの嫌いですか?」

安室さんの言葉に勢い良く頷いたのに、そのまま引きずられて中に連れていかれた。
緑色や赤い光がポツポツとあるのに、照らさないとわからないほどの空間に懐中電灯一本、こっちは二人なのに懐中電灯一本
私は後ろから来られるのが一番嫌いなので安室さんを背負うように後ろから抱きしめてもらっていて、懐中電灯は私が持っていた

結局この…病院の中で何個の殺人事件があってどういった経緯で殺されたとか、そういうのを解かないと出られなくて、それを安室さんが物色している間は私は邪魔だろうという事で隅っこのほうで体育すわりをしていた。顎に手をあててぶつぶつ言ってる安室さんがかっこいいなぁ、なんて思って懐中電灯で照らしたくなったが、その懐中電灯は安室さんが持っている。そのまま安室さんを眺めていたら私のお尻にひやっとしたものが触れた

「いやぁあああ!!!!!!!」

私がいきなり立ち上がって転ぶ勢いでそれから逃げるようにすると、安室さんが驚いてこっちを見てきた

「どうしたんです?」

「お尻にお化け!!お尻にお化けがいました!!!」

遠くのほうからも叫び声が聞こえる。安室さんが私を照らした後に、私が座っていたところを照らした。そこには右手が何かを探すように動いていて
それを見た安室さんがその手に歩み寄って行く

「これがもし玩具な場合は許しますけど。なまえさんのお尻に触ったのが生身の人間だった場合…わかってますよね?」

安室さんがそう呟くと、その手の動きがピタリと止まった。安室さんがこっちに歩み寄ってきたと思ったら、先ほど私たちが入ってきたほうから何かを引きずっている血を浴びたナースの人のようなのが来て、私は全力で逃げた
攻撃しちゃダメなの!?攻撃していいなら私そのへんの物投げるのに!!なんて思いながら突っ走る、途中で色々なものに引っかかって転んだりした。
暗くて道がわからなくなった事もあり、安室さんを置いてきてしまった事もあるので泣きながら走って来た道を戻る

「安室さーん…」

「安室さぁあん!!」

一生懸命呼びながら戻るのに、彼の声は聞こえない。

「全力で怖いよー…安室さーん。次何か出てきた攻撃しちゃいそうですよー…だから出てこないでください」

さっきいた場所に戻ってきたはず、さっきのナースはいなくなっていたけど、その変わりに何か紙が落ちていたのでそれを拾った。どこかで道でも間違えたのだろうか、振り向いてもう一度行こうとした所で抱きしめられた

「怪我してないですか」

「返事してくださいよー!!!」

「すみません、道が二つありまして…あなたなら真っ直ぐ行くかと思ったんですが」

「見えて無いから通れそうな場所にしか入って行ってないですもん」

拾った紙を渡せばそれはダイイングメッセージだったようでその謎を解いて他のエリアの回った後に建物から出るべく階段をおりた。あの後は安室さんは私をずっとそばに置いていてくれたので、とりあえず怖くなかったけど安室さんの匂いをずっと嗅いでいたせいで色んな意味で死にそう。外に出ると眩しくて顔をゆがめた
誰もいないのでスマホを一応確認すると、それぞれ違う場所でダウンしているらしい。違う場所にいるならそのまま放っておいても大丈夫そうだろうと思ってスマホを閉じた

「蘭ちゃんも和葉ちゃんもダウンしてるらしいのでこのままどっか行きますか?」

「なまえさんは大丈夫ですか?」

「はい」

そりゃ、ほとんど安室さんがずっとそばにいてくれてたし、お化けとかのドキドキよりもそのうち安室さんへのドキドキのほうが勝ってましたよ。力強い腕とか腕の筋肉とか太さとか、そんな事ばかり考えるはめになっておりました。

「うさぎ触りたいです」

「じゃあそっちに行きましょうか」

小動物というか、動物が好きなので行きたい所を伝えると安室さんが笑って手を引いてくれた。ただ繋いでいただけの指が絡むと、心臓が跳ねる。手汗もかきはじめるし、彼の手を勢いよく放して離した

「ご、ごめんなさい、あのっ…だいぶ、恥ずかしいです!」

その離した手をもう片方の手で隠すようにすれば、きっと私の顔は真っ赤なんだろう、頬が熱くて彼から顔を背けた。最初こそ驚いた顔をしていた彼がそのうち笑って歩き出してくれる、せめてという事で彼の服の裾を掴んでいた

動物エリアに行く途中でクレープ屋さんがあったのでチョコレートブラウニーデラックスを買ってもらったので、そこに座って食べた。私が食べた後なら安室さん安心して食べられるだろうか、と思ってそれを差し出してみると苦笑された

「なまえさんに毒味させてるみたいで嫌ですね…いただきます。前ほどそこまで色々と考えていませんよ」

彼はそういったけど、怖い気持ちは経験したから凄くわかる。確かに黒の組織は壊滅したし、無駄に彼の命を狙うものもいないだろうけど職業柄何年も疑って生きてきたのに、それを急に一般人のようにしろといわれるのは無理な話しだろう

「ところで、私連絡していないのによく場所わかりましたね?」

「うん、甘いです。…あぁ、あの風見の話しの直後新一くんから連絡いただきましたよ。なまえさんは誘うかどうかわからないので。なんていわれて、一本早い電車に乗りました」

「理由は!?」

「驚かせようと思いまして」

そうだね、充分驚いたよ。なんて思っていたらクレープを食べていた手が止まっていたので、もう一度食べ始めた。そういえば彼とこうやって出かけるのなんて初めてかもしれない、そう感じて彼を見ると、彼は違うほうを見ていた。風が彼の髪を撫でている、彼は今何を思ってどこを見ているのだろうか…最近時折遠くを見る彼が気になって、その視線の先を見たらイチャイチャしているカップルだった
あれ、なんでそれをじっくり見る必要があるの。その視線の先のカップルは向かい合わせじゃなくて隣に座っていて、腰を抱いた状態でお互いのクレープを食べさせあってた
何か見ていて面白いのかな、安室さん!?なんでもいいけどそんなに見ていたらダメですよ!!なんて思って慌ててクレープを食べ終えた
道行く人々の視線は安室さん、私はゴミを捨てに行くと伝えてそばを離れた

ゴミを捨てて戻ろうとしたとき、安室さんが話しかけられていて、それを無碍に出来ない彼が笑って対応しているのを発見した。何これ、どうしたらいいの
堂々とそっちに歩み寄っていけばいいのか、それとも知らないふりしたらいいのか…
考えあぐねていると、安室さんに話しかけていた二人組の女の子が、安室さんの髪に触れて、腕に触れて
イライラしてきたのでマスクをつけて一人で動物エリアにいった







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