短編 | ナノ
 可愛くおねだりしてください

相手の信頼を得るために、差し出された媚薬というものを飲んだ。もちろん毒かもしれないという可能性はちゃんと考えたが、それは相手もわかっているようで先に女性数人にそれを飲ませて、毒では無い事をこっちにわからせてきた。
コップの中身はしっかりと減っている。何でこんなものを飲まないといけない、でも飲まないと取引が成立しない、半ばやけくそ状態でそのコップに入った液体を飲み干した
喉が痛くなるほど甘いその液体が、浸透していくようにジワジワと体が熱くなっていく。

「交渉成立ですね」

「あぁ…約束通り金は用意しよう。受け渡し場所はいつもの場所だ…」

「わかり、ました…」

その部屋から出て行くと、下ではパーティーが開かれているため露出されたドレスを着ている女やボーイ、ナンパする親父などがいた。誰かを捕まえる事など造作もないが、それをもし、何かの拍子になまえに知られたらと思うとどことなく嫌だと思う自分がいる。
それが理性をまだ保てていた理由だった。パーティー会場の大きな階段に座ると、大きく息を吐き出した

「ねぇ、大丈夫?」

歩み寄ってきた香水の臭いを振りまく女、そのドレスは少し下げただけで胸が見えそうなドレス。大きくため息を吐くとその女から顔を背けた。その女がこっちの腕に触れてくるが、それを不快だと感じる気持ちとは裏腹に体はその女性を求めそうになり、手を伸ばした
その瞬間だった

「バ、バーボンッ!!」

呼びなれていないように呼んできたこの声の持ち主を自分はよく知っている。
階段を駆け下りてきたその女性は、自分の媚薬で犯されている理性を唯一保てている理由の女性。それが憎い赤井…ライと一緒に歩み寄ってきた

「大丈夫?」

彼女が問いかけてくると、俺は彼女の腰に手を回して抱きしめた

「ちょっと、私が先に目をつけていたのに!」

目の前にいた女が声を荒げるものの、ライに一瞥されてすぐに鼻を鳴らして目の前からいなくなった。ライに抱えられて階段上に数多くある部屋の中で、誰にも使われていない部屋のベッドにおろされた

「それじゃあ俺はまだやる事がある、なまえ、頼んだ」

「は!?何、何するの!?」

「安室くんに任せれば大丈夫だ。鍵を閉めろよ」

「何が!?」

戸惑っている彼女を置いて赤井が出口に向かうと彼女が追いかけて行き、何か赤井を呼び止めていたものの、赤井は出ていったらしく鍵を閉めていた。
彼女がこっちに戻ってきてベッドに腰掛けてため息を吐く。こっちに背中を向ける彼女の、あまり露出されていないドレスを軽く引っ張ると、油断していた彼女が僕の腕の中に入ってきた

「わぎゃぁああ!!」

もっと色っぽい声でも出せないものか、まるでゴキブリでも見た時のような反応を見せる彼女の出ている肩に唇を寄せた。彼女を抱く気は無かった、巻き込む気は無かったのに、先ほどまで理性を保つ理由だったその彼女が目の前にいる。それなら…我慢する必要は無いじゃないか
肩にキスをすると、彼女が体を震わせた

「あ、むろさん!?ちょっと、どうしたんですか!?」

「媚薬を…飲ませ、られましてっ…」

彼女は何も知らない状況でこっちに駆け寄ってきたのか、てっきりライが説明か何かをしていると思ったのだが…。自分の状況を彼女に言ったものの、彼女はいまいちよくわかっていない状態で。
香水の匂いがしない彼女の首筋を舐めると、なまえが大きく息を吐いた、その声は震えている

「なまえさん…抱いていいですか…」

「へっ…」

僕の問いかけに彼女は間の抜けた声をあげた。何を言っているのかわかっていないような感じで、でも彼女も経験くらいあるだろうから、その意味はわかっているはずだが。その間も彼女の首や肩に擦り寄り、だんだんと肩を露出させていくと、彼女が服を掴んで身じろぎした。逃げ出そうとしたのだろうが抱きしめているせいで逃げられないらしく、すぐに彼女が諦めてため息を吐いた。

「…やめたほうがいいですよ…うん、そう思います」

「…なに、一人で納得してるんです、か…」

「だ…って私、はじめてですし…めんどくさいじゃないですか…」

か細い声で言う彼女が愛しく思えた。面倒なんて事あるわけが無い、むしろ誰にも犯されていないのなら自分のモノにしたいと余計に独占欲が強くなっただけだ。肩甲骨あたりに唇を寄せて、そこを甘く噛むと彼女は震える甘い吐息を漏らす。この吐息さえも、誰も聞いた事が無いのではないだろうか

「そんな、事ないですよ…なまえさんが欲しい…です…」

「どうしても?」

「どうし、ても…というかいい加減にしないと、襲いますよ…」

「その脅しはどうかと思います…。」

彼女の唇に指を持っていくと、彼女の唇を撫でた。許しも何もくれないので許可されたと勝手に判断し、彼女の上に覆いかぶさるように格好を変えると彼女と目が合う
その彼女はこっちの口に手を持ってきたかと思えば「ダメです!」と拒否してきた。その手をぺろりと舐めると「ひゃあ!」という悲鳴をあげた

「まっ、待って!」

彼女が驚いて手を離した隙に彼女に口付けようと顔を寄せると胸を押された。いったいなんだというのだろうか

「か、可愛く…」

「え?」

「可愛くおねだりしてください!そしたら許しますよっ…」

彼女が必死な顔で言ってきた。いったい彼女は何を言っているのだろうか、まさか赤井が何か変な入れ知恵でもしたのではないだろうかと思った。それなのに自分の下にいる彼女の瞳は潤ませながらこっちを見つめていて、でもそれがそのうちやれるもんならやってみろ、という表情に変わったのは彼女は気づいただろうか。彼女は、だって鼻で笑ったのだ
まるでもう勝ちました、というように


可愛くおねだりなんてした事無いぞ。
いや、もしかしたら正確には何かしらやっていたのかもしれないが、改めてそんなふうに言われるとまったくもって全然わからない

「たと、えば…?」

彼女に問いかけると、彼女が瞬きを繰り返した。それから視線を逸らしていく

「え、っと…たと、例えば…う、上目遣いで…?」

「何も考えて無いんです、ね…」

もういい加減にしてくれないか、と怒りたくなるのはこっちの理不尽だろうが、そんな事はどうでも良い。自分の目の前にホイホイと現れたくせにこっちの助けをするどころか、彼女が余計に焦らしてくる
体は熱さを増して、汗さえも滴ってくるというのに、彼女はどこまで我慢させようと言うのだろうか

「はぁ…なまえ…さん、もう、襲いますよ…」

彼女の頬に自分の汗が落ちてしまい、それを拭った。男性の汗が落ちてきたというのに、彼女は嫌な顔一つしなかったと思ったら、顔を横に背けた

「だって、安室さん誰でもいいんでしょ…」

小さく呟いた彼女の言葉には、彼女に上から退いて片足を抱えるようにして座った。
彼女の言葉に少し考える自分がいたからだ。誰でもいい?誰でもいいならさっきの女でもなんでもよかったはず、それなのにずっと制御をかけていたのはお前の存在だろ。
そう言いたいのに、彼女にそれをぶつけたってどうしようもならない、自分の膝に自身の額を擦り付けて疼く体を我慢する
文句を言ってやりたいのに、出るのは熱い息だけで。それに彼女はこうもお預けをしてくるくせに、こっちの事は心配らしく、下げているほうの足に触れて顔をうかがうように見て来る

「大丈夫ですか…?飲み物持ってきます?」

それよりも俺が望んでるものを寄越せよ。

「…なまえさん…」

「はい?」

「なまえさんと…シたいんです…」

「…は……」

「ダ、ダメです、か…?」

視線を彼女に向けると、彼女が生唾を飲み込んで顔を真っ赤にさせた

「もっと、どちらかと言えばもっとニャンニャンワンワン言って欲しかったんですけど!!」

「それは、また別の機会に…」

「じゃあせめて全力で甘えてくるとか」

「あぁ、それはもう、喜んで…っ」

顔を赤くさせたと思った次の瞬間に彼女は、もっと要求を入れてくる。
結局の所彼女が怖いのでは無いのかと思えてきた、こっちがやらなさそうな事を選んで問いかけてくるからいい加減にしろ、と今度こそ彼女を押し倒した

「ダメですよ…まだ終わってないですしっ…」

「なまえさん、今甘えてくれたらいいって言ったじゃないですか」

「良いとは言ってな…ん、ふ…っぷはっ…んんむっ…!」

まだ何かと理由をつけてくる彼女の唇を塞ぐと、すぐに彼女が声を漏らし始める。最初からこうすればよかったのだ。途中で一生懸命息継ぎをした彼女の中に舌を挿入し、深く深く口付けて行く。必要以上に舌を絡ませれば彼女の腕から力が抜けた

「ほら、なまえさんから…キス、してください」

「へっ!?」

「早く」

彼女の腕を持ってこっちの首に絡ませると、彼女の顔は自然と近くなる、その腕を緩めようとする彼女の目を見つめた

「甘えてるんですよ?」

「っ……そういう、甘え方じゃなっ…」

彼女が顔を真っ赤にさせ、唇を震わせながら違うと否定しようとしたらしいが、彼女の唇の横にキスをした。「辛いです、早く…」と言うと、彼女は僕の唇に震える唇を合わせた
もちろん予想通りにそれだけで、何もわかってはいない彼女が、余計にこっちの体を疼かせるだけ。

彼女の肩に手を這わせて、パーティー用のドレスを脱がせていく。彼女は緩く抵抗したが、結局は腰を浮かせて脱がせるのを手伝ってくれた

「ま、まって安室さん…やっぱり、恥ずかし…し、怖い…」

ストラップレスの可愛らしい下着をつけている彼女は口元に手を当てて顔を背けていた。
それが彼女が先ほどから抵抗してきた理由なのか、ストラップレスの下着をつけている彼女の胸に下着の上から手を這わせると、力強く揉んだ。自分には優しくしてあげる余裕がもう無い
自分の口を塞ぐようにして口元を覆っている彼女が時折小さなくぐもった声をあげ、そしてそのうちその下着をずらす頃には、彼女の胸の先端はぷっくりと膨らんでいた
それに気づいて小さく笑うと、彼女が自身の肩を押してくる。その手にキスをすると彼女のそれに舌を這わせた

「ひっ…ぅんん…!」

指の隙間から彼女の声が漏れると、視線だけで彼女を見上げた。
その彼女は瞳いっぱいに涙を溜めてこっちを見ていた、恥ずかしくてたまらないその表情が、こっちにはたまらない
あぁ、もう入りたい、そう思って彼女の太ももを撫でると彼女が頑なに足を閉じた。

「ホー…?もしかして…なまえ、濡れてま…す?」

「っ…ちが、そうじゃなっ…」

「じゃあ…見せてください。それとも無理やり開けられるほうが…好みですか?」

もういい加減焦らすのはやめて欲しい。そう思うのに彼女の反応を堪能したい心があって
薬さえ入って無ければどうにでもなるものを、すでにテントを張っている自身を押さえつけるのは難しく彼女が震えながら足を開くのを我慢できずに彼女の足の間に片足を入れた。下着の上からでも音がなるほど濡れているそこに指を這わす

「やっ…」

「すみ、ませんなまえさ…もう、無理です」

彼女の下着を取り払うと、彼女の濡れている秘部に自身を押し当てた

「む、無理無理!そんなおっきいの入んなッ…」

「それは、どうも…」

「ちが、褒めてなっ…無理ィ!!」

グッと腰を沈めると、彼女が声をあげた。その後はただ唇を噛んで顔を歪めている
ゆっくり、ゆっくりと思う心とは裏腹にいっきに突いてしまいたいのは彼女がいじらしく、可愛いからと、薬のせい

「力、抜いて…ください…」

「ん…む、無理…い、たい…!」

「それはほら…僕のが、おっきいせいですって…」

「あははは、力抜けるわ」

「だから抜いてください」

彼女が笑った隙に奥までグッと入れると、彼女の顔が緩んだ。目じりに浮かぶ雫を拭うと彼女が笑う。そのせいで中が締め付けられてこっちは苦しく感じた

「なん、で笑うんですか…」

「だって、安室さんが笑うから…」

彼女はそう言って、僕の額から伝う汗を拭ったかと思えば再び小さく笑った
半ば無理やりやられているというのに、もしこれが自分の罪悪感をとるためにやっているのだったら大した子だ
ただ彼女が笑うたびに中が締め付けられるので、こっちの顔が歪む

「……こう」

「っ…うっ…や、めてくださ…」

「気持ち良いんですか?」

動く事すら出来なくて、腰が抜けそうな感覚になる。
ただでさえずっと彼女に締め付けられたままだというのに、わざと余計に締め付けられるとまだ何もしていないのに出そうだという屈辱感が溢れてくる
彼女が笑いながらクッと閉めてきて、彼女の顔の横についていた片手がガクッと一瞬力が抜けた

「ふ…クッ…や、やめ…なまえさ…ん」

顔を歪めて彼女を見ると、彼女は今まで見た中で一番目が輝いていた
このいたずらっ子め。動こうとすると、彼女に悪戯されて、その彼女が僕の肩に触れて、人差し指で汗を拭う
そしてついには僕が動けないように腰に足を巻きつけてきた

「知識だけは友人のおかげでたくさんありまして」

「なまえさん…おねが…」

「おねだりの仕方は教えましたよ…?」

「っ……お、お願いします…ワン」

彼女が吹き出して笑ったせいで余計に締め付けられたが、彼女が足を離してくれたのでこの後彼女にめちゃくちゃ仕返しをした。





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