拍手お礼 | ナノ

  褒めて


※本編とは関係ありません


本庁での仕事を終わらせて、私は家に戻って来ていた。真夏暑い、本庁…クーラー壊れている…ので!
私はさっさと帰宅した。自分のためでもあるし、あのむさくるしい室内にいたら大変な事になる。窓を開けてうっかり書類飛んだら大変だから微々たる窓の隙間と開けちゃいけない廊下へ続く扉、上からこれで頑張れと言わんばかりに渡される保冷剤たち。汗の臭い…降谷さんにくっつくしか無くなる、ごめんなさい!っていう感じで逃亡した

家に入って冷房をつけてからスーツを脱ぎ捨ててシャワーへ入る。中に入っていたストッキングが汗のせいでくるくるとドーナツ眼鏡状態になったけどそんなものは後回し。さっさと冷たいシャワーを浴びて出れば綺麗な服に着替え、髪には洗い流さないトリートメントをつけてから冷房のかかる部屋で髪を乾かした。その後は少し回りを掃除し、潜入先で使うものをネットで調べてから休憩する事にした。暑い時は無理しない、これが私のモットーです…ハローサンシャイン、私もサンシャインです…サンシャインってなんだっけ。とりあえずまだ休憩はしてないよ、仕事してるよ

だんだんと外の日差しが強くなってきたんだろう、室内を照らしてくる太陽までもが見ているだけで暑そうで、なんかそろそろカーペット焦げそう…なんて思いながらも休憩する事にした。半そで短パン、夏のおうちの中スタイル。もう少し涼しければ私はマキシ丈のワンピースを好むんだけど、今そんなの着たらまくり上げてその中に扇風機収納するよ。
そんなわけで冷凍庫から棒付きアイスを取りだして口に含み、スマホから音楽をかけ、行儀悪いんだけどソファーに仰向けで寝転がった。そのまま目を瞑って音楽を聞きながらアイスを食べている事数分…いや2分

というかこの格好行儀悪いけど垂れても自分の口の中に入るから頭良いって思った

急に私の口の中からアイスが引き抜かれたので目を開けた。人の家に勝手に侵入してくる人物はこの世に一人…いや三人ほどいるけど、二名は何かないと来ないし、この目の前にいる人物は何もなくても来る

「降谷さん…」

「美味しそうなもの食べてますね…僕にもください…」

新しいのあげるのに、そのまま口に入れてしまった彼は、だんだん語尾が小さくなってそのままソファーの背もたれ側のほうにしゃがんで大きくため息を吐いていた。ソファーの座る所に膝をつけて、背もたれに肘を乗せて顎を乗せて彼のほうを見やれば、髪が濡れていた。逃げてごめん、早急に帰ってごめんね!後悔してないよ、なんて思いながら眺めていたんだけどせめてタオルで汗でも拭いてあげようとタオルを持ってきて彼の傍らにしゃがめばわしゃわしゃとタオルで髪を拭いてあげた。

「はー…、ありがとうございます」

「着替え持ってきてないんですか?」

「ありますよ。シャワー浴びてきたら?話しはその後で」

「ですねぇ…借ります」

再び息を吐いた彼が立ち上がったので、咥えていたもう食べ終わっていたアイスの棒を引き抜いてあげれば、ふらふら〜っと脱衣所のほうへ行った。大丈夫かな、とりあえず出るのを見計らって麦茶に氷を入れた飲み物を用意して、自分は今度はりんご味のアイスを食べていた。さっきのはちなみにみかん。彼が出てくると、すっかり公安の仕事してきました!な彼から何も無いですよーな顔の彼がこっちへ来る。オフモードですね

「お疲れ様です、それでどうしたんですか?あと私のアイス食べたな」

「地獄でした…1時間半で空調直りましたけど。アイス美味しかったです」

「鍛えてるから暑さは平気なんじゃないんですか?」

ソファーに座った彼が前髪をかきあげてこっちを睨むように見てきた。

「それはそうだがスーツっていうのがまた暑さが増すんですよ」

「あ、わかります。女子的にいうとストッキングとかもほんとあれです。ところでなんの用ですか?」

「その空が直る少し前に暑さに耐えきれなくて扇風機つけた部下のせいで書類飛んだんですよ、整理した書類までもがすごい事に」

「わー帰ってよかった」

再び睨まれたと思ったら今度は彼が唇を少しだけ尖らせた。「あなたのも飛んだんですけど」なんて言われたのでお礼を言ったら「ほめてください」って言われた。とっても動揺しつつも彼の濡れている頭をよしよしと撫でてあげた後にドライヤーをかけてあげたら、おとなしくそのままの格好でいたので綺麗に乾かしてあげた。
ドライヤーの持ち手の部分を折っていたら、ちょいちょいと呼ばれたのでドライヤーを片付けてから彼の隣に座る。何となく様子がおかしい気がするんだけど大丈夫だろうか…なんて思ったからこその行動なのに

「そのまま」

と言われて太ももに感じたのは彼の頭の重さ。私の膝の上に彼の頭が乗った

「あの、具合悪いとか?」

「いや?」

「じゃあこれなんですか?」

「褒めて」

「はっ!?」

「今無性に褒められたい」

「何を褒めればいいですか!?」

可愛いって思ったら負けか!?彼が下から見上げてくるから色々気になるんだけど。彼が目を瞑ったから眠いのかもしれない、せめてこっちを向いているのをやめてほしいんだけど

「早く」

と催促された

「え、えーと、えーとっ…仕事が早い。あ、遅い」

「どっちだよ」

「え…料理が上手い。ご飯が美味しい、辛いカレーが食べたいしペペロンチーノも食べたい。あのアスパラと生ハムの美味しかった…。あとなんでもないふりでポンッと料理私に出すけど実はメニューに無いところとかちゃっかり勝手に買ってる所とか」

「だんだん褒めてないですよ」

「あーー可愛いけどかっこいい、あと、あと…だ、誰より頑張ってますね!」

「聞いた事ある台詞だな…」

ふっと軽く笑った彼が、目に腕を乗せた。催促してこなくなったけどまだ言えと言わんばかりに頭を揺らされるので色々と話しを続けていた、そのうちやっぱり眠いんだろうと思って頭を撫でていれば寝息をたてて寝始めたので、そのまま動かないようにして彼の上下する胸を見ていた。すっと顔から腕が落ちそうになったので手を軽く掴んでお腹の上にあげてあげた。腕が重たいってことは本当に眠ってるの…?寝顔を今のうちに堪能しておこうと思ったんだけど、わりとずっと眠っている気がするのでスマホで遊んでいた。彼が乗っている膝がじとっと汗もかいてきたし、ちょっとくすぐったいし痺れてくる

たまに彼の寝顔を眺めては本気で寝てるー!ってじたばたしたくなったんだけど、そのうちまた数十分たったら彼がガバッと勢いよく起き上がり、振り向いてきた。危なくスマホを降谷さんの頭にゴンするところだったよ…私の瞬発力褒めて

「え、寝てた」

「うん、寝てましたよ。寝る気満々だったんじゃなくて?」

「少し寝るつもりはあった…でもこの感じけっこう寝たよな?」

「ですね…20…や、30分くらい?」

「あー…すみません」

初めての彼の照れたというか、恥ずかしい顔を拝めたそんな日だった…。

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