変わらないしずっと母親としてみてるわけじゃないし、彼女も結婚したから、子供が産まれたからと言って何かしら変わる事も無く可愛いまま
だからこそのこれだと思う
休みの日に家事を終わらせた彼女にコーヒーを入れて、こどもも一人で車を並べて遊んでいるのでなまえにくっついていたらこどもがこっちに来た
「ママー!」
なまえも俺に寄りかかっていたのに、こどもが来たので寄りかかるのをやめてこどもを抱っこして「どうしたの?」と優しい声で問いかける。俺は見た、こどもが俺の顔を見てニヤリと笑うのを
「ママ好きー」
「ママもこども大好きだよ。可愛いぃ〜〜っ」
スリスリ、とこどもに頬ずりをするのを見てからこどもを抱き上げて退かしてかわりになまえに俺が抱きついた
「パパのいてっ!ママ僕のー!」
「何を言ってるんですか、ママはパパのですよ!違う、ママはこどものかもしれないけどなまえは僕のです!!!」
「違う!なまえは僕の!」
「真似するからやめてください」
そんなやり取りをしていたらなまえに止められたので口を閉じてなまえから離れた。せっかくの休みだから今から出かけるつもりで、公園に行くのに彼女と並んでキッチンへ行った。その間は大人しく遊んでいてくれるからいいが、匂いがしてくるとこどもがこっちのほうに寄ってきて「何作ってるの?何食べるの?」と言って彼女ではなく俺にくっついて来る
小さく切った玉子焼きをこどもの口の中に入れてやれば、その隙になまえにキスをした。こどもの前ですると、こどもがやきもちを妬いて自分にもしてと言って来る。なまえはいつもこどもの頬にするのだが、俺のせいでたまに口にされそうになって全力で拒否してる。それはそれで見ているのがとっても好き
口に出来るのは俺だけ
「もう」と小さな声で言いながら俺の体を押して来るなまえ、こどもは食べて満足したらしくまた遊びに行った。お弁当を詰めるのは自分がやると言って彼女は他の準備をしに行った
「パパー、どこか行くの?」
「公園にな」
「ホー」
ホーって言うな。苦笑いしているとバタバタと彼女がこっちにやってきた
「とーるさんお弁当もっと作れる!?」との事で、眉を寄せた「みんな来るって」と付け足して言われると彼女が嬉しそうに笑っているからある材料でおかずとおにぎりとサンドイッチを追加していく。家族と表だって遊ぶのはもちろんある、ただそのうち忙しくなった蘭さんたちとも遊んだりする事も少なくなって彼女は寂しそうだった
その彼女が嬉しそうにするものだからこっちだって張り切って準備をしてしまう
なまえがこどもの服を着替えさせてから、荷物を纏めてお弁当をバッグに入れていた時だった
「ゼーロー!」
と急に笑ってこどもが言い出した。なまえが顔をあげてこどものほうを見る
キョトン、とした顔のこども、しばらく俺もなまえも動きを止めていたのだが、俺が先に口を開いた
「こどもにパーカー着るのやめません?」
「似合うよね、水色のパーカー」
「帽子かぶって」
「かぶらせて、だよ」
「かぶらせて」
「はい」
荷物を持ち上げて肩にかけてからパーカーの帽子をかぶらせてというこどもにパーカーのフードをかぶせてあげていた。ニッと歯を見せて笑うこどもになまえが笑みを返していた
玄関へ行くとこどもが我さきにと靴を履いていた。「一緒に行こう!」とこどもに言われると「行くよ」となまえが返して一緒に外へ出た
広い芝生の公園につくと、駐車場に停めて扉を開けたら勝手にシートベルトを取ったこどもがジャンプして降りて「早くー!」と言って走り出した。それを追いかけるのは俺で、なまえはひらひらと手を振っていた
3歳にしては足が早いし運動神経も良いとは思う。すぐに捕まえて肩車をすると笑っていた
なまえはこどもが小さいうちは彼の前でもれーさんと呼んだりしないようにしていて、パパか、ぎこちないとーるさんと呼ぶ。彼女のほうを見ると、荷物を持ってくれているのが新一くん、荷物を持ってくれちゃっているのが赤井だった
「こどもー、とーるさーん!」
赤井がいるのは聞いてないぞ
「お久しぶりです、安室さん。蘭たちがあっちのほうで敷物広げて待ってると思いますよ」
「お久しぶりです…荷物ありがとうございます」
新一くんにだけお礼を言った後に、こどもが下ろしてくれと言うので下に下ろしてあげたら赤井にくっついた
あぁあああ、ばい菌が移りますとか言いたいのに子供の前でそんな事言うな、というなまえの視線が痛くて何も言えない
せめて赤井が持っていた荷物を奪うように取れば新一くんが、蘭さんたちがいると言っていた場所へと歩き出した。なまえが蘭さんたちを見つけると一目散に駆け寄って行く
「蘭ちゃーーーん!!!」
「なまえさんっ!!!」
お互いがお互いの手をぎゅぅっと握って久しぶり、と挨拶している様はなんとも微笑ましく、そこに服部くんと和葉さんが混ざっていた
園子さんは胡坐をかいてギターをいじっている
「園子ちゃん何かするの?」
「うーん、少し弾けるようになったからお披露目しようと思ったんだけど…ど忘れしちゃったのよね」
「僕弾ける、弾いてみたい」
「がきんちょ…がきんちょに弾けるわけないでしょー?まあやってみなさい」
園子さんはがきんちょとか言ったりしているが、一番面倒見が良くこどもとしょっちゅう遊んでくれているみたいで、こどもは園子さんに懐いている。
そんな園子さんのほうにこどもが歩み寄ると園子さんの隣に座って自分よりもあきらかに大きいギターを手に持った
「バカね、もてるわけないでしょ。ほら私が支えててあげるから私の膝の上でやんなさいよ」
荷物をシートの上に置いてその様子を眺めながら、なまえに顔を寄せた
「弾けるんですか?」
「テレビの見よう見まねとか…?だって、とーるさん教えました?」
「教えてないですよ」
「私は元から弾けませんし」
小さな手でピックを持ったこどもがちゃんとした曲とはいかないが、綺麗なドレミファソラシドをゆっくりと弾いた
「こども…誰に教えてもらったの?」
「あたしじゃないわよ」
園子さんが否定すると、なまえが小首を傾げた。それにこどもが笑うと「何かお腹すいたねぇ」という返事だけ返ってきて、なまえが苦笑いを浮かべる。
そういえばなんだかんだで昼ごはんの時間になっていたので、お弁当を広げて食べ始めた
こどもは食べるよりも遊びたいようで、急いで食べた後にすぐに靴を履いて草を転げまわって遊んでいる。園子さんがボールを持ってきてくれていたのでそれを投げて拾って、遊んでいた
自分も立ち上がってこどもと遊ぼうと思って靴を履いてこどもを遊んでいたのに、赤井までもがこっちに来た。何でお前も来た
何が嬉しくてお前と遊ばなくちゃいけないんだ。でも子供がいる手前小さな声で悪態をついたり、口を動かすしか出来ずにいたら、赤井が笑うからそれもまた腹立たしい
「あの、なまえさん?」
「はい?」
「なんでそんな連写してるんですか?」
「素晴らしすぎてっ!!」
もうムービーにしたら?ってくらい連写している、ちゃんと俺の顔を写していない所に善意は感じるが、俺がいる、という事は残しておきたいのかかなりローアングルで取ってる
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