「うわぁああ……」
正解か。遠くから見ていてもまるでこどもが自分の子供ではなくて赤井となまえの子供のようにさえ錯覚したこの俺の嫉妬心をどうしてくれようか
ご飯を食べるのを待っていてくれた事もあり、出だしが写真を見ていたという事もあって突っ込む事が出来なかったので今突っ込むしか無かった。赤井になんて自分の子供を触らせたくなければ瞳にも入れさせたくない、それをわかっていてこそこそと赤井に会うなんて良い度胸してる…
「おかげで赤井となまえが夫婦みたいに思われただろ」
「そ、そうみたいでしたね…。」
「なまえは俺の妻だろ?」
「そ、そうですね…」
「赤井と、夫婦だと思われたんだぞ。あの彼女以外にも傍目から見たら確実に夫婦だと思われる。赤井と」
「…じゃあ、新一くんならいいの?」
あぁあああ…もう!赤井とは強調したけどそうじゃないだろ!
たとえ誰ともなまえと誰かが夫婦だと思われたくないんだって。俺も彼女の前で女性といましたよ、そうですよ、言い訳ですけど自分のあれは仕事であって彼女のは仕事でもなんでもないじゃないですか。完全にプライベート、そして赤井が抱っこしてるのを笑っているのも見てましたし!!!
彼女の肩を若干強めに押すと、彼女が横向きに倒れてソファーの肘掛の部分に彼女の頭が乗った。絡んでいた片手を離すと、ソファーから転がってでも下りようと足の向きを変えようとする彼女の足を掴んでソファーの上に仰向きにさせるように倒せば、彼女がころんと仰向きになった
「や、今のは失言でした、すみません。赤井赤井って言うからちょっと突っ込んでみただけなんです、本当にすみません」
彼女が顔を背けながら言い訳めいた事を言ってくる、彼女の顔の横に手をつけると彼女が体をビクッと揺らして視線だけでこっちを見てきたが、そのまま自分に何か言おうとしたらしく彼女が顔ごとこちらを向けた来た瞬間を見逃さない
「あの、れーさ、んっ!?ん…!は、まっ…んん!」
彼女の口を強引にでも奪えば彼女が声を漏らす、手で自分の肩をグイグイと押して来るのでその手をとって指を絡ませてソファーに押し付ける。一瞬離した唇の隙間から息を吐いて、そしてすぐに唇を合わせた。ぢゅと音を立てて彼女の舌に吸い付くと、彼女が絡ませた指をぎゅぅと掴んでくる。甘い吐息を吐き出す彼女と舌を絡ませて、解放してやれば彼女が顔を赤くさせて熱っぽい視線でこっちを見てきた。はぁ、と吐く色めいたため息
「なんて顔で見て来るんだよ…」
彼女ともう一度唇を合わせようと、顔を寄せたギリギリの所で泣き声が聞こえた。横目で寝室のほうを見ると、彼女もそっちのほうに視線を向けてからこっちを見てきた
それでもキスをしようとすると体を一生懸命に動かした
「泣いてる!!泣いてるってば!」
「ちぃっ…」
今日はこどもを抱っこしていない、だから普通ならば俺が行きたい所なんだが、彼女の上から退いて彼女をいかせた。生殺し、半殺し…というかもうソファーで体育座り
なんで子供って良いタイミングで泣くんだろうな…。彼女の先ほどの顔が忘れられなくて自身の髪をぐしゃっと掴んだ
15分間ほどの間その状態で彼女を頭の中から追い出そうと試みて、赤井の事を考えたり風見の事を考えたりしていたらパタン…と扉の閉じる音が聞こえたのでそっちを見たら
すっかり赤みの取れた普段通りの彼女が、俺の格好を見て可笑しそうに笑っていた
「体育座りして、どうしたんですか?体育座りしても大きいですね」
そんな事を言いながら隣に座って彼女がこっちを見て来る
「大きく、なったんですよ」
「………え、ちがっ…背中というか身長の話しですよ!?」
「ええ、昔は平均的でしたよ、身長。何を考えた?」
本当は彼女が思ってる意味で正解なのだが、わざとからかったらいっきに顔を赤くさせてキッとこっちを睨んできた。怒らせてからかってごめん、でも可愛い、ごめん大好き
抱きしめようと手を伸ばしたら、腕にどすんっと頭突きされた
「っ……う、わかってて言ったんですよね!?れーさんの意地悪!」
多分彼女のほうが痛かったんだろう、頭をさすりながら涙目で意地悪とか言われたらむしろ逆効果。それよりも頭をさする彼女の頭に触れると「筋肉に負けました…」と呟いていた。筋肉というか、ちょうど肩から腕にかけての部分だったから硬かったんだろうな、可愛くて笑いながら彼女の頭を撫でて、そのまま髪を梳いた
「そんな…何にも押し負けない力が欲しい…」
「なまえって腕立て伏せとか出来るんですか?」
二人の間に無言が流れた。彼女が筋トレしている所は見た事が無い、というか筋トレをしているのかさえも知らない。無言の彼女が首を傾げるとソファーから降りて腕立てのポーズを取った
「…やらないんですか?」
床に体をつけたまま動かないので問いかけてみたら搾り出すような声で「やってるよ〜〜」と返って来た。声に出して笑いました。もう全然あがってない、1mmたりともあがってないし、なんなら真剣にやらないのかと聞いた自分がバカみたいに思えてくる
「ふんっ…ぬぁぁああ…!」
「もう、もうやめてください……」
笑いすぎて涙まで出てきた。それなのに彼女はいたって真剣だから余計に俺のツボをくすぐる、しかも変な気合まで入れてるのに腕もプルプルしているだけでまったく動かない
もう声にならないくらいの笑いをしてソファーの肘掛に顔を突っ伏していると、頭に上に柔らかい何かがどすんっと乗っかった
「真剣なんですけど、腹立ちます!!どうやったら出来るんですか!!」
「教えるからしばらくそのままでお願いします」
彼女が俺の頭の上に腹部から胸にかけて乗せていて、手を伸ばして足あたりを叩いているようなのだが、重さにくわえて頭にある柔らかい胸が気持ちいい。そんな事を言っていたらべしっとお尻をたたかれて離れられた
「なまえが俺にセクハラした…」
「最初にしたのはれーさん!!」
「胸を押し付けたのはなまえ」
「そんっ……あ、そ、そうか…。私が痴漢か…」
ふふっと再び笑っていると、恨めし気に見られた。それから腕の力がつくまで膝をついてやってみればいいと教えてあげたら少しは出来るようになったらしく20回くらいは数えながら頑張っていた。最後のほうの搾り出すような「に、じゅぅうう〜〜…」は可愛かったな
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