彼女が洗面所から出てくるものの、視線を合わせて来なくて「先に安室さんお風呂に入りますか?」と問いかけられた後に、彼女がハッと気づいて口を閉じた。「れーさん」と誤魔化すように笑顔で言われるけどしっかりと聞こえていましたよ
「そうですね…なまえさん一緒に入りますか?」
「いや!安室さんそんな事言わない!」
「えー?言いますよ。なまえさんの前では…」
「そんな安室さん見たら全国のファンが泣きますよ!?」
「俺はね、なまえに好かれてればいいんだよ」
目を見開いてカッと顔を赤くした彼女がふいっと視線を逸らした「私が先に入ります」と言ってぱたぱたと逃げるように行ってしまった。中々彼女が掴まらない
しばらくしてドライヤーを持って出てきた彼女が「こっちで乾かしますからどうぞ」と言ってくれたので、せっかくだから入ってくる事にした。暑い中で事件だなんだって走って汗もかいたし家に帰ってお風呂が出来ているのは有り難い
本当言えばそれよりも彼女を抱きしめたいけど、そろそろ掴まるだろうと思ってお風呂に入った。出てくると彼女はスマホでゲームをしていたが、こっちに気づいてゲームをやめ、わざわざ俺から少し離れるようにドライヤーを持ち上げてぐるりと回って脱衣所へ行って戻ってきた
「何か飲みますか?二次会しましょうか」
「なまえ」
「っ…はい」
一瞬息を飲み込んだ彼女がキッチンへ向かう途中に足を止め、こっちを見ないで返事をしてきた。ソファーから身を乗り出して彼女の腕を掴むとようやくこっちを見てくれた、頬を赤らめた状態で口をきゅっと結んで視線を逸らしている彼女
「あなたのその勘の良さには時折感服を覚えますが、知っていてお預けするのはどうでしょう」
「だ…って、高校に潜入した後の時の事を思い出して。もう、ごめんなさいって…れーさん」
笑って、安室として返しているのにはすぐに気づいたようで、困ったように眉を下げるから意地悪するのはやめてあげる事にしよう。
「あぁ、玄関に入った瞬間にキスしたやつか?まあ、今日もなまえが逃げなかったらそうなっただろうな」
こっちに来るように腕を軽く引っ張って誘導させると、彼女も足を動かしてこっちに歩み寄ってきたのでそのまま目の前に立たせて「おいで」と言えば、そのまま膝の上に座るように促すが足に力を入れられたので、結局抱き上げるように膝の裏に足を通して横向きに座らせた
「キスしていいですか?」
「な…んで、いちいち言うんですかっ…」
目が合った彼女が視線を下へと移してくる。そんな反応が見たかっただけなのだが、クスクスと笑った。彼女と付き合ってからだいぶ経つのだが、いつまでもこんな反応をされる。まあちゃんとキスもしてなかったからっていうのもあるんだろうけど
触れるだけのキスをして、もう一度して、角度を変えてもう一度…と何度か繰り返す。彼女の腰に手を回してグッ、と力を入れると啄ばむようなキスをしていく。俺の服をぎゅっと掴む彼女がキスの合間に「は、」と短く息を吐くのがいっぱいいっぱいなんだろうと思えば愛しくなった。
彼女の唇を舐めると、彼女が舌を入れてきた。おずおずとまるでこれでいいのかと確認するように入ってきた舌を捉える、この後どうするのかと思ったら自分がいつもやっているように舌の裏を舐めたり吸ったりしてきた、そのうちどうしたらいいかわからなくなったんだろう、引っ込んでいったので今度は俺から舌を絡ませた
「んっ…んん!」
途端に声を漏らす彼女が肩をグッと押してきて、しばらく堪能した後に解放してあげると、肩に項垂れてきて浅い呼吸を繰り返していた。背筋をなぞるように手を這わせると、彼女が肩から頭を離して起き上がり、視線が交差する
「卵焼き食べたくないですか!?」
「なまえが食べたいです」
「…私はお腹膨れないです!」
「…逃げるなよ」
眉を下げて言えば、彼女が息を呑んで視線を逸らした。唇が薄く開く
「だ、って…久しぶりで、恥ずかしいですし…緩くないかな、とか痛くないかな…とか」
声に出して笑った。なんか、可愛い不安を抱えていたなーと思って。小さな声でボソボソという彼女、誰がどう見ても愛しすぎるだろ
でも俺が笑ったせいで彼女が不機嫌になってしまったようで視線どころか顔まで背けられた
「ごめん。なまえがあまりにも可愛くてつい…まあ、なまえがなんだって言っても俺はなまえが欲しいから我慢するつもりなんてないんだけどな」
首筋に軽く歯を立てて噛み付けば、柔らかい感触に思わずそのまま思い切り噛みつきたくなる、痛みを与えるのも自分。それほどまでの独占欲が自分の中にあるのが不思議でどうしもないし、自分の中にこんな感情が入っていた事さえも知らなかった
軽くだとしても歯を立てて噛み付いてしまったのでお詫びの意味を込めてそこを舌先で舐めた
「っ…ふ、…」
「すみません。噛み付いて…痛くないか?」
「ん。痛くないよ…」
ちゅ、と音を立てて彼女の首筋にキスをすると彼女が体を震わして甘い吐息を漏らす
「ベッド行こう?」
「…うぅ…、はい…」
やっと許可が降りたので彼女をそのまま抱きかかえれば寝室へと運んだ。ゆっくりとベッドに下ろすと彼女と視線が交わったため頬を緩める、するとすぐに視線をそらされた
「笑うなんてずるい…」
「そういわれても…」
困る。可愛いから笑いたいのであって、別に笑おうとして笑っているわけでは無い、彼女の足の間には自分の足を一つだけ入れて覆いかぶさるようにすると、彼女が視線をあげてこっちを見てきた。濡れた瞳は、これから何をされるのかわかっているような瞳で、それに少しは期待しているんじゃないかと思ってしまう。目じりにキスをすると、自然と彼女が目を瞑る、そのまま横へと移動して彼女の耳たぶを甘噛みした
「ひっ…ん…!やだやだ、くすぐったい!」
「ホー?本当に、くすぐったいだけですか?」
耳の形を舌でなぞると彼女が胸の前で手をぐっと握りながら体を揺らした。わざと音をたてるように舐めていると彼女からよりいっそう声があがった
「やっ…れー、さんっ…もうっ…!」
「もう、触って欲しい?」
「ちがっ…ひぁっ!うぅっ…」
パジャマの上から胸を優しく揉むと声をあげた彼女が恥ずかしそうに唸った。やばい、良い大人が一人の女の人に…いや、妻ですが。その妻にめちゃめちゃドキドキしてるってだいぶやばいと思います。焦らすつもりで先端には触れずにただ優しく揉んだり強く揉んだりを繰り返していると、彼女にぎゅっと抱きつかれた
「無理っ!」
「ん〜?何がです?」
それでも胸に手は当てているままなのでそのまま動かし続けていると、抱きしめてる手に力がこもった。すりっ…と先端を撫でると彼女の体がビクッと揺れる
耳元で聞こえる彼女の吐く息が甘くてどうしようもない、それだけでも充分だったのに彼女が俺の首に唇を寄せて来たと思うと甘く噛まれた。それから舌先でちゅ、と軽くキスをされる
「ちょ、っと、なまえ!?どうした!?」
「だ、だって…何か違う事に集中してないとっ…はぁ…もう、ダメなんだもん…」
俺の足をきゅっと挟んでからすぐに緩んだのは、多分俺の足がある事を思い出したからだろう、彼女が首にキスをしてきた事に動揺しすぎてベッドに手をつけて彼女から体を離したら、潤んだ瞳で上気した頬で視線を逸らして言われた
「ダメって何が…?」
「れーさんやだぁー…わかってるくせにそうやって意地悪言って…」
「言ってくれないとわからないけど?」
ごろん、と横になってしまった彼女が自身の顔を手で覆って丸まっている。彼女の反応から察するに、気持ち良いのかなんかだと思うが、そんな言葉は彼女から直接聞きたい
意地悪している自覚はあるんだけど、どちらかといえば俺も彼女に意地悪されてる気さえするんだからお互い様だ
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