実家の母親たちには、写真だけだったからしばらく会ってなくて、色々あるから会えない事も伝えてはあるけど、半年でようやく実家に帰ってこどもを見せる事が出来た
実家でのんびりダラダラ過ごす事数日、子供のお世話でパタパタしているのを見ていた母親が、頬杖をつきながら急に話し出した

「あんた…旦那さん寂しがってるんじゃないの?」

「え?」

「ここにいてもアンタほとんどこどもの相手ばっかりしてるじゃない?旦那さんと話しをしたり、旦那さんとの時間ちゃんとあるの?」

「………」

「今日1日見ててあげるから、少しは二人でのんびりしてきなさい!あんなかっこいい人他にいないんだから!!」

なんて会話をして、追い出された。確かに最近れーさんに構ってあげてない気がする…構ってあげるって何様だろうって思うんだけど、なぜか一緒にいる時に限って子供が泣いたりするから…私はずっと忙しいけどれーさんとこどもがいて幸せだって思ったりもする、ただたまにれーさんにぎゅーってしたくて寂しい時はあるんだけど、それはそうなんだけど、でもそんなときに限って彼は仕事で、そして子供も大人しかったりする。つまりすれ違いばっかりしていた。
だから家に帰って彼がいた時は嬉しかったし、後ろから抱きしめられた事もすっごく嬉しかった。久しぶりに彼と二人で外を歩きたくてマリンランドに行こうと提案をしたら、了承してくれた

久しぶりに乗る彼の隣、家とはまた違う車の中の彼の匂いに心臓がぎゅっとなって締め付けられて、そして私の魂がどこかへ飛んで行く感覚に。すぐに戻ってきたけど
しかも運転している途中に風見さんらしき人から電話がかかってきて、完全なるかっこいい降谷さんを見てしまった。好きぃいいい!!!ってなってる所に彼が手を伸ばしてきて、頬と顎をなんでもない顔で撫でられたので思い切り後ろへ下がったら手が離れて、かわりに彼に腕を掴まれて前のめりになった所を後ろへ引っ張られた

猫か、踏まなくてよかった…。若干クールな口調の彼にもんもんとしていたのだが、私が売店でお会計を済ませてから彼のほうに歩み寄っていくと
最初はニコニコとしていたのに、そのうち眉を寄せて難しい顔をしたから問いかけてみた

「いえ、風見に逮捕されるところまで想像しました」

「ふっ…何の話しですか?何か悪い事したんですか?想像で」

頭の中で何をしていたんだろう、と思って可笑しくて笑って問いかけると

「…ええ、ちょっといけない事しました」

ふわっといきなり柔らかく笑うから、死にそうになった。
何をしてるの頭の中でーっ!!

マリンランドから外に出て、マリンランドの公園内を散歩するために彼と手を繋いで歩いていた。
平和な時間が過ぎていき、子供の話しがだいたいになっちゃうけど、蘭ちゃんたちに会わせた時の話しとかを色々していた

「きゃぁああ!!!!誰か!誰か来て!」

という声が聞こえるまでは、楽しかったんだけど…
安室さんが数歩駆け出したので、のんびりゆっくり遠くから眺めるためについて行こうとしたのに、腕を掴まれてそのまま引っ張っていかれた

「ちょ、あむっ…安室さんっ!」

「一人でいさせると逃亡中の犯人に刺されるっていう場合があるかもしれないので!状況わかりませんし!」

「あぁ…否めない…」

走っていくと、反対側からも走ってくる男の人がいた。あぁ、あなたがいたから事件が起こったんですね、なるほど納得

「安室さん!なまえさん!」

「新一くん、君も来てたんだね」

挨拶はそこそこに、やっと安室さんが手を離してくれたので少しだけ距離を取る。好き好んで死体のそばにいられるわけもない、そんな事出来るのは君たち変人だけですよ
お決まりだが高木刑事が来たり目暮警部が来てバタバタしていた

死体にビニールを被せられてから安室さんに手招きされたので歩み寄っていく。
安室さんは色々新一くんと考えている間にも、私の事をちらちらと確認していた。そんな事しなくてもどこにも行かないのに
それでも多分死体に近づけようとして来ないのはまだ良いか。多分いつぞや私が嘔吐した事もあるから気を使ってはくれていたらしい

事情聴取と新一くんと安室さんの推理ショーが終了すると、やっと一息つけた

「すみませんなまえさん…毎度毎度こういった事があると一人にして」

「ううん、好きだよ」

「なまえさん…」

「新一くんと二人でうんうんやってる姿が」

「……」

「……」

「二人とも相変わらず仲良しですね…」

二人で見合っていると、新一くんがこっちを見て苦笑いをしてきた。
ところで何で一人でこんな所にいるんだろうかと思ったら、蘭ちゃんとこの公園で会う約束をしているらしいから、早めに来たら事件…叫び声が聞こえたからこっちに来たらしい
それはそれとして蘭ちゃんを待ち合わせ場所に放置してるって事じゃないんだろうか

「それなら蘭さんが待っているんじゃないですか?」

「やべっ…じゃあまた!」

ぶんぶんと手を振りながら走って行く新一くんを二人で見送ると、改めて彼に謝られた。謝られる理由なんて全然無いから、首を振ると夕焼けになったオレンジ色の空を見上げる
こうやってのんびり二人で歩く事なんて久しぶりすぎる

「あの夕日に向かって、コナンくんと安室さん走ってくれないかな…」

「急にどうしたんです?」

クスクスと笑う安室さんを横目で見て、釣られるように笑ってみせると安室さんが私の頬を撫でた。その後はこどもの玩具を二人で買ってから、安室さんがご飯に連れていってくれた
昔からよく行っていた飲み屋で、もう公安を引退した人がやっている事と、その人と地味に知り合いらしく安全なお店だという
親に何度か大丈夫かと確認すると動画や画像つきで送られてくるから安心していた。それの確認をトイレに並んでいるうちに済ませて、それから戻ると

私の席に見知らぬ女性が座っていた。安室さんは私に背中を向けているから、気づいていないし、その女性も私に気づいていない

「連れの人が来る前に、ね?」

何の話しをしていたのかわからないけど、とりあえず安室さんが誘われているのがわかる。
そのまま立ち尽くしていると、そこにいた酔っ払いのお兄さんに手を掴まれた

「おねーさん!可愛いね〜?どうしたの?酔っちゃった?」

「いえ。大丈夫です、放してください」

もうお姉さんっていう歳でもない気がしますし。私の中でお姉さんは…美人なお姉さんはどこまでもお姉さんか…でも私は違う気がする
掴まれた腕を振りほどくために自分のほうに、思い切り引き寄せるとお兄さんの爪が私の腕に引っ掛かった

「お兄さん」

睨まれた瞬間にすっと私の手を掴むのは安心できる彼の手

「彼女は僕の妻なので、心配してくれるのはありがたいのですがあまり触れないでいただけますか?」

柔らかい口調で言う彼の横顔をちらっと見ると、なんとも可愛らしい笑顔で人差し指をたてて自身の口元に当てていた
お兄さんが「ご、ごめんなさい」と謝っていたが、こっちのほうが腰を抜かしそうになる
だいたい自分もナンパされていたくせに、こうやってされるとすぐに許したくなるから腹立つ

「なんだ、彼女じゃなくて妻だったの」

なんて言ってその女の人もいなくなった。だいたい食べ終わったので安室さんと席を立って外に出た。安室さんは飲んでないけど、私は少しだけお酒を飲んだ

「安室さん、ありがとうございました」

「いえ、僕も気づくのが遅れてすみませんでした」

「安室さんもナンパされてましたもんね、綺麗なお姉さんに」

車までの道のりを歩いていると、私の言葉に彼が私の手を握って指を絡ませてきた

「僕の好みのタイプって知ってますか?」

「え?」

そういえば聞いた事ない

「僕から、逃げる人です」

「へ、変な趣味ですね」

「なまえさんじゃないですか」

あはは、と声に出して笑う彼。うわぁ…私だ、本当だ、なんて一瞬納得してしまったが
さらっとさっきナンパされていたことを思い切り流された気がするので彼をジッと見ると、笑みを浮かべられたので何も言えなくなる

車に乗って自分たちの部屋に戻るけど、夜はまだ終わらない




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