エピローグ


翌日、なまえは腰痛と共に朝を迎えた。彼女の思考もいつもどおりに戻っており、あの時は動揺していたとはいえ、なぜクザンの策だと考え付かなかったのかと悔やむ。
しかし同時に、ドフラミンゴの本心…かは分からないが、珍しくはっきりとした気持ちを告げられたことは嬉しく思っていた。クザンのおかげで、と思えば癪なことに変わりはないのだが。

「昨日はどうだった?」

けろりとした顔で職場に現れたクザンをじろりとなまえは睨む。

「ええ、お蔭様で……不要なきつーいお灸を据えられました」
「お熱いことで。いやー、よかったよかった。お兄さんの苦労も報われるね」
「誰の差し金です」
「君の素敵な友人と、人生の先輩だよ」

それだけで、たしぎがおつるに相談をし、入らぬお節介からクザンに話がいったと理解する。なまえは脱力してため息をつくほかなかった。

「まあ、おれもドフラミンゴにはえらく釘を刺されたからさ。もう他人の恋路に首はつっこまないよ」
「えっ?」
「おたく、思った以上に随分入れ込まれているみたいだね。それじゃあ素敵な夜を〜」

ひらひらと手を振って、意味深な言葉を残して行く。それが分かったのは終業間近だった。


「よォ、なまえチャン」
「……」

凝りもせずにピンクの毛玉男が乗り込んできたのだ。さすがに偶然を装って待ち伏せされたり、廊下で鉢合わせれば強引に連行されることはあったものの、仕事部屋まで押しかけられたことはなかった。どういった心境の変化だと目を見張る。

「一応聞きますけど、どういった御用です?ドフラミンゴ様」
「フッフッフ、そう邪険にするなよ。なまえチャンを迎えに来たのさ」

ひょいと首根っこを持たれて、彼の片腕におさまってしまう。二メートルは高くなった視線に少しだけ恐怖を覚えて、なまえは無意識に彼のファーコートを握った。
なるほど、"素敵な夜"とはこのことだったか、と一人合点する。それならそうと教えてくれれば対策が練られたものを…、今度青雉に苦情を言わねばなるまい。

「た〜っぷり今日も愛してやるぜ?」
「嬉しくないお知らせね」
「おいおい、もう少し素直になれよ!?フフッ」

追伸:愛されすぎて困ります、とも。


(120926)

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