「ザンザスってキス上手いよね…」
「あ?」

朝から噛みつくような熱いキスにとろけそうになり思わず感嘆の言葉を呟いた。すると怪訝なザンザスの顔、大方何を馬鹿なこと言ってんだカスがといったところか。ザンザス以外のの人物とキスをしたことがないから比較はできないけれど、ザンザスのキスはすごく上手いに違いない。

「ね、もしかしてさくらんぼ結べる?」
「…なんだそれは」
「上手い人は出来るんだって」
「ふん、くだらねぇ」

鼻で馬鹿にしたように笑い、再び彼はベッドへ体を預ける。どうやら二度寝をするつもりらしい。せっかくなのだからボスに実演してもらいたいという好奇心から、わたしはしつこくお願いしてみた。しかし一向にザンザスは瞼をあげない。このままでは本当に寝てしまう。

「ス、スクアーロも出来たよ!」
「……」
「もしかしてスクアーロには出来てボスであるザンザスは出来ないの?」

それとなく彼の自尊心を逆手に取るような質問をしてみると、うっすらと片目だけ開いた。彼はさくらんぼを用意するように控えていたメイドに命令する。それはつまりやってくれるということに他ならず、わたしは期待のまなざしでザンザスを見上げた。それがのちに悲劇を起こすとは知らずに。



「…ザ、ザンザス」
「うるせぇ、黙ってろ」
「で、でも…これ以上は…」
「……チッ」

テーブルに積み上げられたさくらんぼ、その数は段々増えていく。ザンザスが失敗していった山であった。そう、ご想像の通り彼は舌で結ぶことが出来なかったのだ。スクアーロごときに負けたくないという彼のプライドが出来ないということを許すはずもない。

「カス鮫に出来て、俺にできないはずがねぇ…!」

憤怒の炎を手に宿し、スクアーロという存在をこの世から抹殺するために部屋を出て行ったのは言うまでもない。聞こえてきた悲鳴にそっと手を合わせた。


(090717)

カスランボを言わせようと思ったら、それじゃあランボがカスになるということでやめておきました。むきになるザンザスって愛おしい。ザンザスはキスが上手いだろうけど、器用なのかな…?と妄想した結果。




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