▼コミュニティから逃げるまで

二人のいたコミュニティは、世界の衰退を人々の傲慢のせいとして、人々の生活を厳しく取り締まる政策をしていた、少し大きめのコミュニティ。とにかく人の自由を嫌うコミュニティだったので、紫鯨旅団の話も、全部上で情報操作され、入らないようにされてるようなところ。そこから逃げ出すのはそんなに簡単ではないですが、リーナが機転と発明品でなんとかしました。

ここを出ようとリーナを誘ったのはチィですが、作戦立てから実行までほとんどリーナ主導です。でもリーナは背中を押してくれたチィにとっても感謝してる。普段は二人してぼんやりさんですが、いざという時先に決断できるのはチィ。でも頭がいいのはリーナ。チィ残念。

どっちかと言うと音楽より発明に対する規制の方がだいぶん厳しかったので、チィはまだコミュニティの中でもやっていけたのですが、リーナは本当に脱獄犯並みに隠れて隠れて生活していたので、見ていられなかったチィがリーナを誘いました。二人は小さい頃から、いつか自分達の好きなことで世界一になろうって話して約束していたので、チィがリーナを誘うときは、こんな小さなわからず屋のコミュニティの中じゃ世界一にはなれないよ、世界を見に行こう、リーナ、って、そんな感じで誘ったんじゃないかなーと。



▼その後

とりあえず徒歩でできるだけ遠くまで逃げて、生まれて初めて他のコミュニティに行って、そこで宿をとり寝て、朝になったらまた移動…を繰り返し、余所者にも寛大で発明の材料も手に入るコミュニティか都市に辿り着いたところでしばらく滞在、そこでリーナがバイクを造りました。電気自動車的なバイクで、リーナから電力を補給して動くので、ほぼ無限に走れます。魔法とまではいかないけど、リーナはある程度電気を蓄えれる、みたいな。

バイクができてからは結構快適な旅になりました。移動距離も伸びるので、旅人を受け入れてくれるコミュニティだけめざして移動できるし。



▼家族について

チィは父親がいました。トランペットをチィにくれたのが父親。コミュニティの方針で重労働にかりだされあまり帰ってこないけど、優しい父親でした。死んでないよ。チィがコミュニティを出ることには賛成してくれて、好きなことには妥協しないでできるところまで全力でやってきなさい、リーナちゃんをしっかり守りなさい、とそれだけ言いました。母親は亡くなってます。

リーナは両親はいません。リーナの両親は、リーナが幼い頃に彼女を捨ててコミュニティを逃げようとして、成功したか殺されたかわかっていません。脱走については、脱走者を増やさない為に一切情報が漏れないようになっているし、外部からの連絡もほとんど上でシャットアウトされるので、見届けない限り、どうなったかはほとんどの場合は中の人には不明です。

リーナを捨てたのは、脱走するときに小さな子がいたら確実に失敗するから。まだリーナは赤ん坊の頃だったので、両親のことはほとんど覚えてません。それからはチィの父親がリーナにとっても親代わりになっていて、リーナとチィは一緒の家で暮らしてました。だから二人は家族みたいな存在。大切だけど絶対恋にはならない二人です。一緒にお風呂入れる。たぶん紫鯨でも二人部屋を借りてる。リーナは両親が生きてても死んでてもどっちでもいいので、両親に会うことは夢ではないです。捨てられたことを悲しいと思ってるわけでもないし、恨んでもいないし、自分も逃げたいと思ったから両親が逃げたいと思うのも自然かなと思ってる。でも会う必要は特にないかなと思ってる。リーナにとっての親はチィのお父さんです。




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テーマ「人外ファンタジー」
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