クーラーの効いた事務所。その一角にあるソファーに座るシズちゃんに、俺は訊ねた。

「ねえ、シズちゃん。君が落としたのはこのピンクのアイス?それともこのグリーンのアイス?」

 どこぞの童話の女神よろしく両手にそれぞれピンクとグリーンのアイスを掲げ――ることはせず、代わりにすでにピンクとグリーンの準液体に塗れた胸の突起をぐりぐりと捏ね回した。

「ああ!あっ、あ、はぁんッ!」

 シズちゃんはベストとシャツの前をはだけさせ、何も纏っていない両足をソファーに乗せいわゆるM字開脚の状態にしている。両手を後ろで縛っている為身体が前屈みになり、ソファーに片膝を立てている状態の俺からでは、前髪に隠れてその表情を知る事はできない。
 見えるのは溶けたアイスが伝う白い身体と、限界まで反り上がったシズちゃんのもの。溢れる先走りでてらてらと光るそれは、自然の産物であるが故に逆に何よりも卑猥だった。

「ごっ、め…は、あっ、い、ざ…やっ、…も、許して…!」

 この態勢になってから、いったいどれくらいの時間が経ったのか。その間俺は、ただひたすらシズちゃんの上半身のみに触れていた。
 なにせこれはお仕置きだから。

「難しい質問じゃないでしょ?今シズちゃんの右の乳首をべとべとにしてるピンクのアイスか、左の乳首をべちょべちょにしてるグリーンのアイスか、どっちか答えるだけだよ」
「ゃ、あ…言わな、で」
「なら、答えて」
「…りょ、う、ほう…落とし、たっ」
「落とた割にずいぶん偉そうだね」
「ひあっあ、ああ…!」

 微妙に左右のタイミングをずらして強く摘みあげてやると、面白いくらいびくびくと身体が跳ねる。
 顔が勢い良く上を向き、金色が俺の鼻先を掠めた。現われたシズちゃんの顔は涙でぐちゃぐちゃだった。色んな感情でぐちゃぐちゃだった。
 なら、と凹凸のない胸に両手をべったりとつけ、一面アイス塗れになった掌でその両頬を挟んだ。

「シズちゃんさあ、これで何度目?俺が買ってきたアイス駄目にするの」
「はっ、は…ごめ、なさっ」

 ずるずると顎の先まで手を下ろし、甘ったるい匂いで化粧をしてやる。左右で色の違う頬。しかも肌の色とは似ても似つかない色。

「この間は冷凍庫開けっ放しにして駄目にして、」
「ん…、ん」

 左手で下唇、右手で上唇をなぞれば上下で色の違う口の出来上がり。

「その前にも一回駄目にしたよね」

 ひどい顔がさらにひどくなった。

「で、今日はここまで持ってくる途中に落としてまた駄目にした」

 でもやっぱり可愛いと思う俺は、たぶん馬鹿なんだろう。

「ひょっとして、俺の買ってきたアイス食べたくないの?」
「ん…ふぅ」

 ぬちゃ、と音を立てて咥内に指の先だけ入れると、シズちゃんは少しだけ躊躇った後、チロチロと舌先で舐め始めた。

「ふ、う…ん、んむぅ」

 徐々に舌全体で舐めるようになり、意識的なのか無意識なのか咥える長さがどんどん長くなっている。時折自分の唇に付いたアイスもべろりと舐め、甘さを求めてなのか、はたまた違う何かを求めてなのか、その行為は次第に激しさを増した。

「俺の買ってきたアイス美味しい?」
「ん、ほい、ひぃ」
「じゃあ今度からは、駄目にする事なくちゃんと食べてくれる?」
「たへ、る…は、ぅ」
「もっとちゃんと言って」

 開いた足が閉じてきた。が、間に俺の身体があるために望んだ快楽は得る事ができないシズちゃんは、伏していた双眼を上げ俺を見た。

「ねえ、食べてくれる?」

 指を抜いて顔から離せば、半開きになった口がついてきた。

「あ…た、べる…いざやのアイス、ちゃんと食べる、から…」

 潤んだ瞳。流れる涙が頬の化粧を溶かし線をつくる。
 俺はその線をなぞるようにして頬を舐めた後、すっかりお留守になっていたもう片方の手でシズちゃんのものを握った。

「ぁあ…ッ!」

 ぶるるっと身体が震え、同時に触れたばかりのそれがドクリと反応する。
 あ、と思った時には遅く、

「ひあッあああ!」

 シズちゃんは事務所中にあられもない声を響かせてイッてしまった。

「あぁ…はっ、あ…あ、ぅ」
「触っただけでイッちゃうなんて、シズちゃん乳首だけで感じすぎじゃない?」
「ふあぁっ!」

 ぴんっと問題の部分を指で弾けばまた大袈裟に跳ねる身体。反対も同じようにすれば、輪を掛けて敏感に反応する。
 その度に程よく割れた腹筋の上で鮮やかな人工の色と濁った天然の色が交わり、パレットの上で絵の具を混ぜるみたいに指で更に色を掻き交ぜると、それだけでシズちゃんは甘い声を出し、もう欲を取り戻してしまった。

「ん…いざや、ぁ、ん、ぅ」

 何かを訴えるように肩を揺すられ、ああ、腕を縛っていたんだと思い出す。
 もういいか、とそのままシズちゃんを抱き締めるような格好で解放してやると、すぐに両手が前に回ってきた。

「え?」

 ガチャガチャとベルトが外され、びっくりしているうちにズボンと下着を下ろされる。

「えっ、ちょっ、シズちゃ――ッ!」

 可愛らしいシズちゃんを見てギチギチに欲情したそれは、可愛らしいシズちゃんの口の中に収まってしまった。

「ふう、ん、むぁ…ふ、んんぅ」
「ちょ、と……ん!」

 なんで、なんで?ちょっと積極的すぎじゃない?
 さすがに足を前に開いたままでは辛かったのか、シズちゃん今、正座をぺたりと崩した態勢になっていた。あむあむと必死に俺のを咥え、一方で腰を揺らして自分のものをソファーに擦り付けている。さっき触れた時に付着したアイスや上半身から垂れるそれがシズちゃんの股の下に溜り、まるで彼自身の身体から漏れているようだった。
 やばい。突っ込みたい。
 頭の中で明確な言葉にした瞬間、集まった熱が一気に蠢いた。堪える間もなく、そのまま口の中に精を吐き出した。

「んんっ!…ん、く…ん…」

 シズちゃんはそれを全部飲み下した。

「本当、今日はどうしちゃったの?」

 何か変な物でも食べさせたっけ?お仕置きがそんなに辛かったのかな?
 頭ではそんな事を考えているが、身体はシズちゃんをソファーへと押し倒す。視界に広がるどろどろになった肉体と瞳に、目眩にも似た感覚に襲われた。
 不意に片方のアイスの名前を思い出しかけた。確か、なんとかの媚薬とかそんなんだったような…。
 だが、脳髄まで溶けてしまいそうな程甘い声で呼ばれ、次の瞬間思考回路はぶっ飛んだ。


たぶん偶然だと思う


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某さんじゅういちのフレーバーより。ピンクがラブな媚薬でグリーンが跳ねるシャワーです。チョコとか粒々とかはログアウトしました。

2010.8.9

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