イーイーイー。
イーイーイー。
鳴ってるよ。鳴いてるよ。
イーイーイー。
イーイーイー。
機械音。駆動音。
「イザヤ」「イザヤ」
呼んでるよ。呼ばれてるよ。
「シズちゃん」「シズちゃん」
呼ばれてるよ。呼んでるよ。
真っ黒黒な画面には何もない。誰もいない。
「イザヤ」
音が流れる。流れるだけ。
「シズちゃん」
名前が流れる。流れるだけ。
つらつらと、つらつらと、いつまでも流れ続ける不安定な音。不完全な名前。
イーイーイー。
イーイーイー。
真っさらさらなそこには何もない。誰もいない。
ただひとつ、可笑しな音をたてる再生機を除いて。
ただのひとりも、人はいない。
「イザヤ」
その人間はもういない。
「シズちゃん」
その人間はもういない。
「イザヤ」
「シズちゃん」
けれど名前は流れ続ける。繰り返し繰り返し。
世界という名の世界が終わった後に。
空っぽの名前は流れ続ける。
空っぽの中で永遠と。
イーイーイー。
イーイーイー。
「イザヤ」
「シズちゃん」
イーイーイー。
イーイーイー。
「死」
キュルキュルキュル。
キュルキュルキュル。
終わりの文字はまだこない。
まるで始まりを止めるかのように。
「イザヤ」
「シズちゃん」
イーイーイー。
イーイーイー。
エンドレス
エンドロール
エンプティ
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世界が終わった後の話です。ここでの世界がどの世界なのかは、書いた本人も分かりません。二人が世界だと思ったものだと曖昧な事を言ってみる。
自己満文すみません。解釈はお好きなように。