小説 | ナノ

すきってゆって、

「ジャック、すきってゆって、」
「いやだ」
「すきってゆって、ゆってよ」
「うっとおしい、死ね」
「いいじゃないか、ちょっとくらい。」
「うるさいバカ」
「好きだよ。好き。」

すきぐらい、いちどでもいってやってもよかった。
6人で撮った写真の面影からは、その気配を感じ取ることすらできない。
昔のことを思い出しながら、王者たる男であるジャック・アトラスは少しだけ泣いた。

ブルーノという男のことが、自分はやっぱりすきだったのだと思う。

(泣くくらいなら、すきだってぐらいいってやってもよかった)

11,3,31


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