小説 | ナノ

欲求不満だってば!

「今日はきりがいいから、ここまでにしようか」

試作エンジンの改良に暇がないぼくたちは、夜眠る間もなくキーボードとお付き合いしている。(キーボードと結婚するのは勘弁したいところだ。)ついついうとうとしていたぼくを見兼ねたのか、夜も老けて空がぼんやりと白み始めたころ、遊星がそんな風に切り出してくれた。
ありがたい。ううーん、そうだねとかなんとか返事をして、今日は解散になる。パソコンの電源をおとして、ぼくに毛布を手渡したあと、遊星は部屋に戻ってしまったので、ぼくはソファにばたんと倒れるみたいに横になった。眠ったらもう帰ってこれないかも。目を閉じると、そんなことが頭をよぎる。それほど強烈な睡魔の底で、ぼくは突然ここ数日食事時くらいしかまともに会話していないひとのことを思い出した。

(ジャック、元気かなあ)

なんとなく。たかだかまだ数時間前でしかない今日の夕飯時もその暴君ぶりをふるっていたということを知っているのに、なんとなくそんなことを考えた。考えてしまったら、なんだかとてもジャックに会いたくなってしまって、柔肌に触りたくなってしまって、キスしたくなってしまって、その頬を撫でたくなってしまって、噛みつかれたくなって、泣くまで性器をいじってやりたくなって、その柔らかい尻に後ろからぼくのを突っ込んでぐちゃぐちゃになるまであんあん言わせてやりたくなった。
朝おきて、寝ぼけた表情にキスをして、まだおきたくないといやいやするジャックの頭を撫でたかった。

むらむら。そんな一言が正しいのかもしれない。べつにセックスなんてなくたっていい、セックスなんてなくっても、ただ二人っきりで話して、甘い言葉のなんかなくってもさ。

「ジャック…」

むらむら。むらむら。
ごめんなさい神様、やっぱりセックスはしたいです。人間、性欲には勝てないのさ。もう一週間もしていないのに、今から突然ジャックの部屋に押し入って、尻をぐちゃぐちゃに犯して、中に出してあげたらどんな顔をするんだろう。

(ね、眠れない…)

性欲をもてあました健全な青少年のぼくの夜は、白み始めて何時の間にか朝になる。朝になって、朝食にでてきたジャックを見て、ぼくは自制できるんだろうか。
が、頑張ろう。じっと決意したぼくは、毛布をぎゅうと握りしめて、瞳を閉じた。

12,9,17


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