小説 | ナノ

花食べる魔物

※女体化注意!
幼少期ジャック初潮ネタ。ブルーノさんが普通にマーサハウスで一緒に暮らしてます。





ジャックが女になった。
まだ、ぼくたちが13のときだった。

「生理が…、」

生理が始まった。青ざめた顔と震える唇で、まるで世界の終わりみたいに話す。ジャックの中では確かに世界の終わりなのかもしれない。ぼくの周りの世界で一番、女の子から女になるのを嫌がっていたから。ぼくはずっとそれを横で見ながら、平然とした顔で彼女よりずーっと早く女になった。
ぼくのシャツを握りしめる手、震えていて冷たい。今は夕方で、しかもマーサハウスのすみっこにある女子トイレなんて誰もやってこないのはわかっているのに、ぼくは隠すみたいにジャックの背中に手を回した。ぼくらが、こうやって夕飯時にかくれて抱き合っていることを、きっと誰も知らない。そういうことが、ぼくの心を踊らせた。
ジャックを抱きしめると背丈が同じくらいだからか控えめに主張する小振りな膨らみが、ぼくの胸にあたる。ぼくよりずーっと女の子らしいかわいい胸。いまはそれすら微かにつめたいようなきもち。ぼくの気持ちを見透かしている。不純なよろこびも。

「大丈夫だよ、ぼくなんか11のときにもうきてるから。誰にでもあることだよ」
「そ、そういう、問題では、」
「……、ジャックが女になってくれて、ぼくは嬉しいよ」

ジャックはその言葉に驚いたように少しだけ強張った身体を、散々ぼくにすがった手のひらで引き剥がすようにして離れる。見つめたジャックの瞳は濡れていた。

「おなかいたくない?」
「…、すこし。」
「そっか。ナプキン持ってる?」
「持ってない、から呼んだ」
「マーサ呼べば良かったのに。待ってて、あげるね。…あ、でも、ジャック、」

ふとももが。
短いズボンから覗く白いふとももに伝うかたまったような血液を、ぼくは見逃さなかった。きれいだとおもったからだ。ジャックはほんとうに、女の子から女になったんだとも。
中に出せば妊娠するし、孕めば子供を産むんだろう。でも生憎、ぼくは彼女とおんなじ、女だった。中に出す種子も、彼女の中に入るためのものも、持ち合わせてはいなかったのだ。

「とりあえずさ、ナプキンあげるから。ね、太ももはあとでふいてあげる。」

黙ったまんまのジャックが個室に入って、少しの紙の乾いた音と少しの嗚咽が両方止んで彼女が外に出てくる頃、西陽はすっかり傾いていた。

「おかえり。じゃあ、ふともも、ふくから。そこ座って。」

抵抗する気もないのだろう、言いなりのまま洗面台に腰掛けた彼女の瞳は濡れていてとても綺麗だ。濡らしたハンカチを内腿にあてると、冷たかったのかビクリと身体を震わせた。
ぼくはそれがいとおしくて、かわいらしくて、ジャックの右脚を片手で持ち上げて、舌で舐めとることにした。
これが自分でも驚くほど迅速な決断と対応で、突然抱え上げられた右足に驚くことも、抵抗することもほぼ出来ずにジャックはなすがまま、ぼくの舌の餌食になった。

「なっ…ブルーノ!」
「なに?」
「や…っ…やめろ!!」

叱るように懇願するように叫ぶジャックは怯えた瞳をしている。とって食いやしないよ、逆立ちしたってぼくは男にはなれやしないんだから。
形をなさない抵抗を封じ込めてもう殆ど乾いた血に舌を這わせる。金くさいにおい。汗ばんだ肌が少しだけしょっぱい。ジャックは泣いていた。とって食われるとでも思っているんだろうか?(食えるものなら食いたい、中に出して、孕んだものを産んでほしい)
洗面台がぎしりと嫌な音をたてて軋んだ。

「ねえ、ジャック」
「な、なに…っ」
「ぼくがもし男だったら、女になったきみを今すぐここで無理やり犯して、なかにだして、孕ませて、君が嫌だって言っても閉じ込めるのに。」
「…っ…」
「なんで女なんだろう。」

実らない。なにも実らない。
ぼくは君と幸せになりたいだけなのにな、と呟くぼくの頭をいくぶんか体温の戻ったきみの手のひらが撫でた。

「おれだって、そうしたい。女になんかなりたくなかった」

ジャックの呟く言葉が西陽に溶けたあとも、ぼくはやっぱり彼女の言葉とおなかに縋って、どうしようもないのに、泣いた。


12,9,2


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