書きなぐり神風もどき(追記)
「よぉ、風雅!今日もここに居たのか」

聞き覚えのある軽快な声にヨーヨーを手に収めて振り返ると、絶対に外さないサングラスと帽子が目立つこの世界の神、MZDを目で捉えた。気さくで誰にでも優しい彼は風雅の憧れではあった。今まで1人だった自分を連れ出してくれた。ただ、普段から何かとちょっかいを掛けて来るので警戒心が抜けない。(少し前に猫が好きだからと勝手に猫にされた時は流石にどうなるかと思った)だが、それが嬉しくもあった。暫く過去の記憶に耽っていると呆れたような声がして視線をもどした。
「そんな怖い顔するなよ。今日はちょっとやってほしい事があってな…」
大した事じゃないと聞いたのを最後に視界が暗転した。




「う…」
「悪いな、手荒な真似して」
いつの間にか見知らぬ部屋のベッドの上で混乱していて何が、と聞き返す前に寝転がっている自分の体に違和感を覚えた。
「なんだ、これ…っ!?」
胸にのった見知らぬ物をおもむろに掴むと体に痛みが走った。咄嗟に身体を起こすと本来そうあってはならないもの、乗っていたのはあり得ないくらい膨らんだ自分の胸だった。
「どう言うことだ、一体」
「そんな怒るなよ。すぐに戻るから安心しろって、烈は喜んでたぜ?」
「あいつと一緒にしないでくれ、オレにはそんな趣味はない。」
普段通りの冷徹ともとれる視線でMZDを一蹴した風雅だが、今は変わっていた自分の声に動揺が隠せなかった。そしてはち切れんばかりの胸を気にして押さえる様はまるで少女だ。
「戻るのに1日は掛かるが、お前たちの能力が前よりは楽になるぜ?」
「…こんな事がか?もっと他の方法もあるだろ?まさか神にはそんな趣味が」
「ち、ちがう!……話したくはなかったんだがしょうがない、俺と同じ『性別』になったんだよ」
遮ったその言葉に呆れた顔の風雅の目が見開かれた。この神は女だったのかと。それが顔に出ていたのかため息混じりに開かれた口から出た言葉にまた驚かされる羽目になる。

「ちゃんとついてるだろ?胸に夢中で分かんなかったか?」
「っ!誰が…っ」
意地悪そうな笑みを浮かべながら言われて咄嗟に足を組むと確かにあった。心なしか前より大きくなった気がして顔に熱が籠る。
「なんだ?そんなに気に入ったか?」
それならそのままでいてもいいと笑う神の肩を掴んで文句を言おうとした矢先にシャツのボタンが弾け、胸が露になった。
「〜っ!?」
咄嗟に隠したものの、直に当たる感触に身体を意識せずにはいられなかった。真っ赤なまま俯く風雅の顔を覗き込もうとするのに気付かず、間近でサングラス越しでいつもは見えない視線が合う。
「…言いづらいんだけど、お前の…勃ってるぞ」
「う、うわあああぁぁ!?」
その言葉と同時に握られて情けない声が出た。


「すまん、つい…」
「そう思うなら見ないでくれ。ついでに元に戻して欲しい」
涙も拭わずに捲し立てるように言うと観念したように手を上げ指を鳴らす。そうして元に戻るー



はずだった。




「……冗談だよな?」
「俺はいつでも真剣だぞ!」
顔が一気に青ざめた風雅に清々しい笑みでどうしようかと言う神をもう隠すのも気にせずに肩を掴んでゆさぶった。

「お、落ちつ、わぶっ」
自分の力が使えない事に少なからず動揺しているのかバランスを崩して胸元に倒れ込んだ。そのまま押し倒すような体勢になって風雅はそのまま動けないでいた。


※つづかない
1019 Mon 07:15
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -