Feb 14 17:30

『悪夢』の関雪でバレンタインss。雪村視点。


仕事帰り。伊藤さんへの報告を済ませて向かうのは、相方の部屋。

一応ノックをして、反応を待つ。……が、何も返ってこない。

事前にメールを入れたから入れ違いはないと思うが、無反応というのも心配だ。
そう思いながら、ドアを開ける。予想に反してすんなり開いてしまったそれに、ひとつ瞬いて室内へ足を踏み入れる。

「……関口?」

静かな部屋。微かに聞こえる電子機器の音を頼りに部屋を見回す。黒いノートパソコンの液晶が明るく光るデスク。其処に突っ伏したまま規則的に上下する相方の背中。…どうやら寝ているらしい。それなら何の反応も返ってこないことにも納得がいく、と私は彼に一歩近づいた。


パソコンの横で普段は吸わない煙草が灰皿の中に積み上がっている。おまけにマグカップの中身はブラックのコーヒー。計画性のある彼が此処まで追い詰められていたのだから、相当急ぎの仕事だったのだろう。この吸殻の量だと、二徹といったところだろうか。

「……、……断って休めば良いのに」


只でさえ働き過ぎなのだから。
そう思わず文句をこぼすのと、彼が小さく声を洩らすのは、同時。


やがて気配に気付いたのか、褐色の目がうっすらと開いた。

「……ん、あれ……雪村…?」

「えぇ、お邪魔してます」

「いや、良いけど……え、今何時…」

「夜の十一時を回ったところですね」

「…あー…」


力ないため息を吐いて、関口は上半身を起こす。

「まだ仕事の途中なら、出直しますけど」

「もう終わったから良いよ」

そう笑ってパソコンの電源を落とす関口の表情は、やはり疲労の色が濃い。いつか過労で倒れてしまうのではないかと心中で危ぶんでいると、関口が二三咳き込んだ。

「風邪ですか?」

「や、多分煙草の吸い過ぎ。飲み慣れないコーヒーなんか飲んだから、余計かもな」


まだ口のなかが苦い、と苦笑気味に喉元を擦る相方に溜め息を吐いて、私は水道水を汲んで手渡す。

「…じゃあ、これ、口直しにどうですか」


ついでに差し出したそれに、関口はパチリと大きく瞬いた。

「仕事先のチョコレートが美味だと春夏秋冬さんに教えていただいたので、お土産です」


…日が日なだけに手に入れるのも大変だったなんて、絶対に言わないけれど。



***
雪村が微妙にデレた(笑)
灰神楽は30円のブラックサンダーを休憩時間に食べつつ授業に勤しみます。えぇ。







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