劇団 惑星巡と逢坂鞠矢の出会い編
※日乃さん宅鞠矢ちゃんお借りしました。

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春の晴れの日。
暖かくなったばかりの4月の初めは、まだ3月の寒さを少なからず残している。
吹く風もどこか別れの季節の雰囲気を残したまま、新たな出会いに浮かれる俺を背中から宥めてくれる。

今日から大学生になる。
残念ながら、容姿も性格も友人関係も、体力も筋肉も学力も、全体的に悪い部分のない俺は難なく志望校に合格。
今までも大きな壁にぶつかることなく生きてきたし、もしこれからそうなってもきっと大丈夫だって思ってた。

サークル勧誘の声が飛び交う中で、やっぱりこれしかないと決めていたものがある。
中学、高校の6年間没頭して飲み込まれた演劇。
実際しない人物になる喜びと楽しさ、そして感動させられる素晴らしい芸術。
それに魅せられてここでも続けると、受験の前から決まっていた。

演劇サークル、の看板の文字を見つけてそこへ歩み寄る。
他の看板と比べて低い位置にあるそれの近くに近寄ると、…本当に大学生?

「劇部でーす…」

小さな少しふわっとした、それでいてどこか面倒くさいというような、そんな雰囲気を醸し出しながら重そうな看板を持って歩く…少女?
(めっちゃ重そうだけど、大丈夫かな)
不安になってその看板をひょいっと取り上げると、驚いたようにこちらを振り向く。

「…誰?何。」

勧誘しているとは思えないジト目でこちらを見るその子に、どこか惹かれる。

「いや、重そうだったから。」

そう伝えると、何だそんなことかと言ったような顔つきでこちらを見やる。
ねえ、見たことない顔だけど。
言われてそっか、この子も看板もって勧誘してるんだから先輩に決まってるじゃん。
ついタメ語で話しかけたことを早口で謝る。

「す、すいません俺新入生なのに、タメ語で話しちゃいました…」

申し訳なさそうに頭を下げる俺に、上から少し笑い声が聞こえてくる。
え、何で?気になって顔を上げると、その瞬間。

「威勢いいと思ったのに、まだ高校生抜けてないんだね。」

ふにゃりと楽しそうに笑った彼女に、堕ちていた。



矢継ぎ早ロマンス



「す、好きです!」
「へ。」

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