寒い冬、二人で温泉宿に泊まりに来た。

自分は未成年でも相手は成人。
それは良いことなのか、悪いことなのか少し微妙なところではあるけれど仕方ない。
母も未成年だけで外に泊まりには出しにくいだろうが、成人してる人がいるからと説得してきた。

「でも相手が俺だってのは知らないんでしょ?」
「お母さんは許すけど鮮はダメだから」
「結構心配性なお兄ちゃんなんだね」
「鮮は青姦してたのに良く言うよね」
「え?何その単語、JKはそんな卑猥なエッチな言葉吐いたらダメだよ麗ちゃん」
「どうせあの夏祭りの時にヤったんだよ、だって帰ってくるの遅かったし朝海刃くん見たもん」

正直、少し羨ましく思うことはある。
焦りはないけど、周りがそういう話をしているのを聞いて気にならないわけじゃなかった。
だから無理言ってこうして二人で、一泊二日だけど連れてきて貰ってる。
それが子供だってことを証明しているし、何だか自分だけ必死な感じもする。

それでも会話が途切れると目線は携帯。
何も言わないけど携帯依存症の彼に不満は無いこと無い。
一緒にいるのは楽しいし、好きだ。
ただ、どこか少し物足りない。
だから、もしもそういう、兄と恋人がしているような…そういうことをしたら…

(携帯よりも私をもっと見てくれるかもしれない)

お互いぶつかった指先に、ごめんねと謝って手を引こうとする彼に少し苛ついてしまった。
私だけ必死なんだ、自分から離れていくその手を掴んで電車の座席に縫い付ける。
ギリっと睨みつけて目を窓へ逸らす。
ああ、何て嫌な女なんだろう。
どうしたのなんて言葉も無視してそのまま目を閉じた。

(下手くそな愛情表現しか出来なくてごめんね)

≪ |
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -