目の前で倒れた同僚を急いで医務室へ運んだのはいいものの全く寝てくれない
挙げ句、コイツは仕事をさせろと悲願してくる
最近のコイツは仕事の切れが前よりも幾分悪くなっている
動きも気持ち遅くなり溜まって行く仕事の数が何よりの証拠だった
「心配しないでくれ…」
いつかの飲み会で(俺には仕事しかないから)と言っていたのを思い出す
目が俺に、頼む行かせてくれと訴えていた
趣味も何もなく今まで仕事に打ち込んできたコイツをこれ以上働かせてどうするんだ
優れた後輩も今は入ってきている
「…お前は、」
「このままどうしたいんだよ…」
目線が床に落ちた時にはもう既にあいつの靴はなくなっていた
(今趣味を見つけても)
(きっと仕事に埋れていく)
(だったら)
「もう死ぬまで仕事を選ぼう」
自分のデスクから溜まって行く仕事の書類をいくらか手に取り鞄へ入れる
「ア"ァアア"アァァ"ア"ア"ァアァ"」
相手の体を切り上げたことで悲鳴を上げながら崩れ落ちていく
開いた瞳孔は俺だけを見据えている
その瞳をじっと見るとあの恐怖が脳を支配する
まるで俺を呪い殺そうとでもしているようだった