ピピピピピ…
(38.5℃…)
熱が出た
体温計の音、続け様に携帯が鳴る
仕事だ
仕事をしないわけにはいかない
馬鹿ばかりしていた自分にケジメをつけるためだ、休むわけにはいかない
結局夜は食事、風呂、掃除、洗濯、全て済ませて三時間前に寝た
普段と違う体の変化に気付いたのはいいが解熱剤は見当たらない
体は思うように動かなければ力も入らない
休むという選択肢は初めからないため無理矢理体に鞭を打って重たい腰をあげた
「よう 今日も真っ黒だな」
「…」
誰かに話し掛けられている
誰なのか何故か把握できない
頭が熱でおかしくなっているのだろうか
「おーい 依澄さーん?」
体調はよくなることはなく一歩一歩歩くに連れ悪化しているようにも思える
一瞬力が抜けて壁に手を付くと声の主は酷く驚いたようだった
「おい!お前…大丈夫かよ!?」
「…お前…ぴょん吉か…」
「そうだけど違ぇよ!ってお前何でこんな熱出てんのに仕事来てんだよ馬鹿か!!」
医務室行くぞ
仕事があるのに休んでられるか
そう言いたかったが口からは熱のこもった息だけが漏れていた
「すまん…」