(ミルクティ)

店長さんの髪の色はまるでそれの様に柔らかくて雲の様だ
シャキシャキと音のなる中店長さんを観察している
俯き気味の瞼から伸びる長い睫毛が色っぽい
ザックリ開いたVネックからはしっかりした鎖骨と白い肌が覗いている

(これは毎回来たくなるなぁ)

「久保さん」

突然声をかけられて驚いて後ろを振り向きそうになると動かないでと少し低めのトーンで言われる

「うちの専属カットモデルなんてどうすかね」

久保さん凄い艶のある髪持ってるし切りやすい
こんな上玉放って置いたら他の所に取られちゃったら困るし
カットモデルの子は値段半額になるんすけどね

「まあその代わりに」

「あれの餌食っすけど」

未だに言い争いをしているあの二人を指差し少年のように笑う
悪いようにはしませんそう言われれば自然と首を縦に振っていた

「名簿に載せておきますんでいつでもお越しください」

久保さんのブロー頼んだぞアルバイトくん、そう言って私の肩を軽く揉んでお店の奥へ消えて行った

「お疲れ様っす!ブローしたら終わるんでもう少し待ってくださいねー!」

久保さん髪の毛サラサラっすね!俺なんて癖っ毛で量多いから今日みたいに暑い日は大変なんっすよー!

たまに冗談なんか入れながら乾かしてくれた彼はアルバイトだという
アルバイトの子でさえこんなに面白く会話出来るんだ
相当指導が厳しいのかなと思い聞いてみるとそんなことはないと言われる

「自分らしく振舞えって言われてるんで特別に怒られたりは中々ないっすね」

まあでも、カットの時に邪魔になったら給料下がりますけどと言って鏡を私に見せる


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