(母さん?)
(ねえ)
(何で)

『こんなに冷たいの?』

母さんが死んだ
母さんの胸には何かに沢山刺された傷があった
それを僕は知ってる

だけど母さんのパートナーだったおじさんは言ったんだ

『事故で亡くなった』

って
大人はどうして嘘つきなの?
僕達を心配させないため?
そんなの余計なお世話じゃないか
ありのままの答えを教えて欲しかった

(警察は正義なんかじゃない)
(何かを絶対隠してる)
(きっとこの母さんの死も)
(何か本当の事があるんだ)

『おじさん』


『ヒャハハハハハ!こんなところで捕まってたまるかよ!』

何なんだこれは
何で今まで天国コースでコツコツ働いて来たのに
一発ぶちかましてポイント一気に溜めてやろうと思ったら
こんな人間の…警察の女に捕まりそうになってんだよ

『待ちなさい、そのままそこから動かないで』

銃を向けられている
撃たれたらひとたまりもない
後ろはもう進めないのに逃げ場なんてない

『そう言われて逃げない死人がいるとでも思ってんのかババア』

わざとこのババアを興奮させる
恐らく気持ちが高ぶったその時は標準は合わないはずだ
そこを狙ってポケットのナイフで突き刺して殺してやる

『大人しくこっちで身柄を拘束されなさい』
『なるべく手荒な真似はしたくないのよ、あなたもそうでしょう?』

これはこれは結果オーライ

このまま身柄を拘束される振りをして横から突き刺した
何回も何回も何回も
血が出なくなっても
俺を止めようとする手も気にならない
楽しくて楽しくて楽しくて
笑いと手が止まらない

『アハハハハハハヒャハハハハハ!!』

人間を殺すのってこんなに楽しいのか
始めての快感
クセになりそうな感触

(こんなに楽しいなら)
(もっと早く知りたかった)
(このままこのまま)

『殺してやるよおおおおおおおおお!!』

俺を止める声がしたことで我に帰りポケットから鍵を取り出して逃げる
その時ナイフは突き刺したままだった


「母さん」

鞄を持って腰を上げる
あれから七年経った
俺はおじさんから本当の話を聞いて警察の上に頼み込んで班を異動した
小さい護身用の銃は引き出しにしまいこんで母さんの銃を腰に差す様にした

「今日も仕事だから遅くなるよ」

学校は午前の定時制
午後はずっと仕事
部屋は仕事場の一部屋を借りた

(今日も気に入らない)
(何で母さんは死んで)
(死んだはずの人間が)
(生き返るなんて)
(自分勝手な願いの為に)
(生きている人間を殺すのか)

必ず

女手一つで育ててくれた母さんを殺した愚かな死人を

「行って来ます」

この手で



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