「麗ちゃ「ハイネ」…ん」

暫くして戻ってきた彼女はどこかどんよりムード。
言葉を遮って、彼女に連れられてきたのはまたここ?

「…お風呂入るの?」
「違う、はい、ラケット持って」
「ああ〜!醍醐味かぁ」

やりたかったなら言ってくれれば良かったのに。
と、彼女の顔を見るとどこか本気らしい。
あれ、何か、怒らせることした、っけ。

「麗ちゃん顔怖いよ…?」
「私が勝ったら、セックスしろ」
「何かしてたら謝る!」
「10点先取」
「やだなぁ麗ちゃん強そ、う…、ん、ん?」
「サーブは点取った側からね」
「あ、はい」

じゃあ私から、サーブが入ってきて、あれ、ちょっと待ちなさい。

(セックスっていった!!?)

「不純異性交遊じゃねーか!!」

カツンと爽快な音を立てて相手コートを跳ねるピンポン球。
そして一気にまくしたてる、そう、言葉を。

「待って、落ち着いて、麗ちゃん。君はまだ17歳で高校生、花の、女子高生だよ…分かる?それから朝も言ったけどそんなエッチな言葉を口にしちゃいけません!いいようにTwitterでピックアップされちゃうから、メッ!あと展開が早くてびっくりしてるから一回お話しよう、悩みあるならきくから、ね。」

「…じゃあいいよ、帰る」
「待て待て待て待て、どうしてそうなるの」
「私が悪かったからいいよ、さっきのも忘れて」
「無理だよ」
「どうして」
「好きだからじゃん」
「じゃあ何でセックスしてくれないの?」
「だってそれは」
「好きだからじゃダメなの?」
「ダメじゃないけど、やっぱり…んん、ダメなの」
「わかんないよ…」

ハイネがわかんない、って涙目。
そのまましゃがみ込んで泣き出す彼女。
話し出す、悩み、知らない間に彼女は傷ついていた。
女の子って、難しい。

「ハイネは大人だよ、私は高校生。時間の使い方も違うし、知ってることも違う。だけど好きになって付き合ってるのに、キスもしてない、手しか繋いでないの。私だって女の子だもん我儘も言ってみたいだけど大人にもなりたい。だけどハイネは携帯ばっかりでしょう…そしたらもう見てもらえないんだって、もしかしたら私がハイネの時間の邪魔しちゃってるのかもしれないって…友達はセックスしたってキスしたっていつも話してて幸せそうだった。私は子供だから同じことすれば同じになれるんじゃないのって、だけどどう言えばいいか分からないの。回りくどいのも苦手だし、かといって可愛くおねだりも出来ない!でも好きなの、見て欲しいの、セックスもしたい、好きって言って欲しい…でももういいの、私が子供だからいけなかった。大人は大人と付き合った方がいいよ、ごめんね、時間の邪魔しちゃって、ごめんね。」

言っちゃいけないこと言ってないかな。
でも邪魔しちゃってるよね、子供だから仕方ないか。
でもこれで最後、我儘はやっぱり似合わなかったんだ。
ごめんねって苦しいけど笑って、ほら、どうして笑ってくれないの。
ぼろぼろ溢れる涙が止まらない。

好き、好きなの。
言えないけど、言いたかった。

上手くいかなくて一人で空回りして困らせて、もう最悪の女の子。
こうなったらもう一思いに捨てて欲しい。
そう言おうと顔を上げたら目の前、ハイネでいっぱい。

「そういえば、チューしてなかったっけ」
「そっか、寝てる間にしてたから気付いてないんだ」
「でも伝わってなかったのかあ…」

触れる唇に熱がこもる。
それから繋がれる手、ここもあったかい。

「カメラロール、見て」

手渡された携帯。
一番上には麗ちゃんの文字、そんな馬鹿な。
ズラッと並ぶ写真、プリクラ、隠し撮り…?
数は分からない、たくさんあるのは分かったけど、いつもこれをどうしてたの?

「てっきりお風呂で触りたいとか変態発言しちゃったから嫌われちゃったと思ってたよ」

「Twitterもいつも麗ちゃんのことばっかり話してるよ、んー…でも言ったら怒られちゃうかなって思って」

「でもこんなの言い訳だったね。言葉で言わない俺が悪かったよ、謝るから許してくれる?」
「謝らなくてもいいよ…悪いの私だったじゃない」
「女の子泣かせた俺が悪いの、ごめんね、大好きだから許して」
「私も好き、ごめんね酷いこと言って」

「ちょっと興奮したから大丈夫だよ」
「それから…」
「あんまりエッチなこと言うと大人って狼だから、ね」

「折角の温泉宿で一泊二日なんだもん、たくさん楽しもう、ね!」

この後いつもの笑顔になってから、めちゃくちゃ殴られた。
でもその後、寒いねってお布団で一緒に暖まったの今でも思い出だよ。

「麗ちゃん!今日は何の一ヶ月記念日でしょうか!」
「え、何」
「答えは初y「Twitterは?」の、載せてません…」

もっと殴られたけど、愛情表現は伝わったでしょうか。
冬の宿、また泊まりに行こう。


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