冬に溶ける恋情



照美ちゃんはいつもわたしにいじわるだ。何かっていうとわたしと照美ちゃん自身を比べて、君は可哀想なぐらい僕より美しくないね、なんて言ってみせる。最初はもう物凄くムカついた。でもそれは心の中に押さえ込んで、照美ちゃんがキレイすぎるんだよ、と作り笑いをして返していた。そうやって言えば照美ちゃんは満足して笑顔で入れ立ての紅茶をすする。そんな綺麗な照美ちゃんを眺めるのがわたしの楽しみだからなのだ。




*





「君は僕に毎回けなされて悲しくはないのかい」

わたしは自分の耳を疑った。あの照美ちゃんがこんなこと言うはずないのだ。俺様何様照美様がこんなわたしのことを気にかけるなんて。明日は雪が降るぞ。

「照美ちゃんが言うのは本当のことだし、別にいいよ」

本当はよくはないのだけれど、と心の中で呟く。どうせわたしは照美ちゃんより綺麗じゃないし顔も整ってない。天使とかわたしには似合わない、照美ちゃんにしか合わない言葉だし。ていうかわたしが照美ちゃんと付き合えてること事態奇跡だからね、もう。あれなんか涙出て来た。こんなわたし照美ちゃんに愛されてるのかなあ。

じわりじわりと涙が露わになったとき、背中にふわり、何かが覆いかぶさってきた。照美ちゃんだ。
「僕、本当は君の方が美しいと思ってるんだ。透き通る髪の毛、白い肌、桃色の頬。柔らかくて優しい。」

僕は君を好きすぎておかしくなってしまいそうなんだ、だから否定をして。ごめんなさい、そう弱々しく呟いた照美ちゃんはすごくすごく愛おしくて、心拍数がトキントキンと高く上がって、涙はすぐに引っ込んだ。わたしはくるりとふりかえり、ちゅ、と優しいキスを照美ちゃんの唇にふらせる。

「今度からは、素直に好きって言ってね、照美ちゃん」

そうわたしが言えば照美ちゃんはきめ細やかな頬を朱に染めて、小さな声で、好き、と言ってくれた。


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冬に溶ける恋情/照美


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