星屑に還る僕等



一度も使ったことのない冷えた銃器は今わたしの手中にある。何度やったかわからない訓練のお陰でこの状況下でも手は震えずにいる。それは良いことなのか悪いことなのかわたしには到底わからない。わかろうとも思わないのは、わたし自身、実はこの状況に酷く参っているからではないだろうか。

目の前にいる濃緑色の髪をギラリと睨む。わたしに睨まれたはずのそいつは、そんなの効かないよ、と言いたげな涼しい顔付きでヘラリと笑ってみせた。そして口を開く。

「これはデスゲームなんだ、賢いやつはすぐに俺をそれで打つだろうに、」

なんで打たないの、と続けて言った。そんなのわたしが聞きたい。ジャキリともう一度身構える。質問なんて答える必要はない、こいつがいつわたしに襲い掛かってもいいように構えるだけだ。背中を見せたら負け。

「ちょっと、無視しないでよ」

わたしの反応にイラついたのか、先ほどの余裕の笑みは消えている。こいつは馬鹿だ。元は学園のNo.2だったらしいがランキングにも上らないわたしに余裕を見せていない時点でこいつはわたしよりも下だ。所詮学園のランキングはテストの点数さえとっておけば上位を獲得できる。そんな仕組み、すぐにわかった。なんだかんだ優秀だ、と褒められていい気になっているナルシストの集まりなんだ、こんなとこ。いや、でもNo.1のバダップ・スリードは認める。あいつは頭がいい。

「何?俺以外のこと、考える余裕君にあったの?ムカつくね」

そういった瞬間、彼とわたしの距離が0になった。リップノイズがなる。唖然としてガチャリと銃を落としてしまった。

「…クスッ、気に入ったよ。君のこと。この俺様をなめてかかるなんてね。そうそういないからね。殺すのは勿体ない。君は今日から俺のおもちゃだからね?」


そう訳のわからないことを言った彼は背を向けて歩き始めた。コツンコツンと学校指定のブーツの音が響く。その音に少しときめいたのは、人生初のキスだったからに違いない。誰がこんな男女すきになるかボケ。そんな雑念はすぐに振り払い、ゲームに全力を注ぐ。わたしのすぐ後ろにいた名前も知らないやつに銃を向ける。引き金を引いた。

パンッ


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星屑に還る僕等/ミストレ


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