とんでもない状態のまま出て行ったヒロイン1以外の女子は身支度を整えると、待ち合わせ場所にしていた廊下に向かう。
ただ、気持ちよかったねとはしゃぐサクラといのに比べ、ヒロイン2だけは少し様子が違った。


「どうしたんだろうね、ヒロイン1」


いのの問いかけに、ただヒロイン2は首を傾げた。廊下にいるんじゃない?とサクラが言うとほぼ同時に待ち合わせ場所の廊下が見えたけど、彼女の姿は見えなかった。


「あれ?ヒロイン1は?」
「ヒロイン1ならキバ連れてどっか行っちまったってばよ?それよりサクラちゃん、浴衣似合うってばよー!」
「え…二人で?」


いのの問いかけに答えつつ、目をハートにさせたナルトの言葉を完全に無視し、ヒロイン2は心の内に出てきた疑問をつい言葉にしてしまう。
シカマルの話をしていて飛び出した彼女が、何故キバを連れていったのか。二人の話の中心になっていたシカマルは、目の前で優雅にお茶なんて飲んでいるのに。


「つーかアイツ、髪びちょびちょだったぞ」
「うん、全然乾いてなかったよね」
「はぁ!?何やってんのよ、風邪ひくわよあのバカ」


冷静にヒロイン1の様子を伝えるシカマルとチョウジに、サクラが驚いたように反応する。その横で、珍しく少しムッとした表情を見せるヒロイン2の姿がシカマルの目に止まった。彼女のそんな表情を見たのは初めてだったからだ。


「あたし、先に部屋戻るわ」
「え、おい!」
「え?え?」


一人背を向け部屋に戻ろうとするヒロイン2を気にかけ声をかけるシカマルに、いまいち状況が読めないナルト。
シカマルの声が聞こえているのか聞こえていないのか、彼女は振り向きもせず少し俯き加減でその場を去って行ってしまった。


「…ったく、あいつらマジでどこ行ったんだよ?」
「ヒロイン2どうしたんだってばよ?」


ナルトが状況を読めずに首を傾げてる横で、サクラといのが何か知ってるかのようにニヤリとする。
そんな中めんどくせぇと言わんばかりの溜め息を吐きつつも少し苛立ってるようにも見えるシカマルに真っ先に気づいたのはチョウジだった。


「シカマル、どうしたの?」
「…何でもねぇよ。部屋戻ろうぜ」


気にかけたチョウジが話しかければ、案の定の反応だった。彼のそんな反応を見たチョウジは心の中で何かを確信し、ポケットに手を突っ込み不機嫌そうに歩くシカマルの後ろを歩く。
何ともいえない曖昧な空気の中、5人は部屋へと戻った。