AM8:30、・シカマル・チョウジ・いの・サクラ・ヒロイン2の5人は校門前で遅刻常習犯の3人を待っていた。その3人は必ず遅刻してくると予想したシカマルは3人には8時集合と伝えていたのに、まだ来る様子がない。30分も多く見積もったのにまだ足りなかったかとシカマルが溜め息をついたその時。


「もうみんないるってばよ!」
「そりゃそうだろ、30分も遅刻してんだぞ!」
「ご、ご、ごめんなさぁーい!!」


遅刻常習犯ことナルト・キバ・ヒロイン1が慌てた様子で走ってきた。


「いいわよ、別に。たいして待ってないから」


そう笑ういのに、30分も遅刻したのにあのいのが怒らないなんて、と3人は首を傾げる。


「シカマルの作戦勝ちだね」
「こいつら相手じゃ作戦ていうほどのもんじゃねーけど」


3人が来たことでみんなが安心しきってる中、ヒロイン2は一人冷静に腕の時計に目をやった。


「ねぇ、そろそろ出た方がいいんじゃない?」
「そうね。行くわよ」


時計を見たヒロイン2の問いかけに応えたサクラの言葉を合図にそれぞれが足を進め始めた。



* * *


AM9:00。ギリギリながら新幹線に乗ることが出来、それぞれが移動中の車内を満喫していた。


「おい、ナルト!風呂入ったらどっちが長く潜ってられるか競争しよーぜ!」
「おっしゃあ!負けねーってばよ!」
「ねぇ、」
「うわ!」


突然2人の前の席のヒロイン2が、後ろを振り向き声をかけてきた。思わぬタイミングで片思いの相手に声をかけられたキバの心臓が跳ねる。


「食べる?」
「お、さんきゅー!」


差し出されたポッキーに素早く手を伸ばしたナルトとは対照的に、キバは反応を返せずにいた。


「キバは?」


なかなか取ろうとしないキバにじれったくなったヒロイン2は、背もたれに顎を乗せポッキーをキバの目の前に差し出す。


「お、おう、さんきゅ」
「ねぇ、ねぇねぇねぇ!シカマルが寝てるよ!」


ヒロイン1が興奮した様子でヒロイン2の服を引くと、ヒロイン2は「いつものことじゃん」と席に座り直した。あっけなくヒロイン2が視界から消えてしまったことを惜しく思ったキバは、前の席のヒロイン1の背もたれをコツンと蹴った。そうとは知らず、ヒロイン1は腕を振りながらはしゃぐ。


「突っ伏してないから寝顔が見える!」
「どれどれ……、ん。」
「それだけっ!?」



* * *



「きゃっほーう!!」
「着いたってばよ!!」
「うみ、海、海!!」


到着駅の外には青い海が広がり、天気にも恵まれていたため問題児3人のテンションは最高潮に。恥ずかしいから騒がないの!!というサクラの声も今の彼らには届かないらしい。


「あいつら元気だな」
「本当にね」


シカマルとヒロイン2は冷静な感想を述べると互いに苦笑を浮かべた。しばらくすると旅館と駅とを結ぶシャトルバスが停留所に停まる。ここから旅館まではそう遠くないらしい。



* * *



「けっこう大きいじゃない」
「ちょっと見に行ってみない?」


本日の宿、霧の里温泉に到着し一番最初に声を上げたのはサクラだった。それに一番早く反応を返したのはいの、意外にもここで団体行動を乱したのはしっかり者に分類される二人だった。


「荷物置いて準備出来たらロビー集合な」


シカマルはそんな二人にも聞こえる様に少し大きめの声で次の行動を指示する。サクラといのはそれに答えるように片手を挙げ再び背を向けて歩きだした。他のメンバーもそれぞれ返事をすると歩き出す。


「腕が、もげる…っ!」


そんな中ヒロイン1は自分の荷物の重さにそろそろ腕の限界を感じていた。


「お前それ何入ってんだよ」
「いろいろ遊ぼうと思ってトランプとかUNOとかプレステとか…」
「ばかだろお前」


見かねたシカマルが声を掛けると誰もがばかだろと言いたくなるような答えが返ってきた。彼女の親友であるヒロイン2も隣で眉を顰めている。溜め息を一つつき、シカマルは「貸せよ」とその荷物を持ってやると旅館の中へと入って行く。それをぽかんと間抜け面で見ていたヒロイン1も、はっとして「あ、ありがと」と慌ててその後を追う。


「俺も持ってやろっか」


そんな一連のやりとりを見ていたキバがここぞとばかりにヒロイン2に声を掛けた。


「いいよ、このぐらい。そんな重くないし」
「そっか、それならいいんだけどな…」


クールな女の子である。肩を落とすキバにヒロイン2は小さく「ありがとね」と伝え歩き出した。その言葉にキバは元気を取り戻す。単純な男の子である。

旅館内に入ると仲居達に出迎えられ部屋へと案内される。二部屋予約していたのを男部屋・女部屋として分けた。男部屋でははしゃぎまくるキバとナルトをシカマルが宥め、女部屋ではすごいすごいと騒ぐヒロイン1をよそにヒロイン2が冷静に支度を始める。

数分後、女部屋の4人がロビーに到着すると男部屋の4人は既に集合していた。サクラの「お待たせ」という言葉にキバが待ちきれないといった様子で「早く行こうぜー」と返し、8人は旅館を出た。


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