「ナルト、ヒロイン1そろそろ起きた方がいいんじゃない?」 「んぁ…?飯?」 「え…?ごはん?」 チョウジに揺さぶり起こされた2人はまだ半分夢の中にいるらしく見当違いなことを口走る。そこに「食っただろ」とシカマルのするどい突っ込みが入ると2人は揃って首を傾げた。 「ほら、さっさと向こうの部屋戻るわよ!」 「むぉ」 サクラに首根っこを掴まれずるずると引きずられても尚覚醒しないヒロイン1にヒロイン2は(珍しく)とっておきの笑顔を向けた。 「そんなにシカマルと一緒にいたいならここにいてもいいんじゃない?」 そんなヒロイン2の言葉にカッと目を開くとヒロイン1は、置いてかないでー!と慌ててヒロイン2に飛びついた。しっかり腕に絡みついたまま女部屋に帰ると、入り口をくぐった辺りでいい加減じゃまとひっぺがされる。その際に自分の浴衣を踏んでしまいずっこけるという悲劇。 「怪我する前にヒロイン1も着替えちゃいなさいよ」 「いの、ちょっと遅かったみたい」 いのがヒロイン2の指差す方へ視線を向けると自分の膝をさするヒロイン1が目に入る。と、同時に溜め息。 全員が着替え終えた所で、この女だけの空間で全部洗いざらい吐いてもらうわよとサクラといのが意気込む。しかしターゲットは2人ともそれどころではないようで。 「……(シカマルの事が嫌だから出てきたとか思われてたらどうしよう)」 「……(ちょっと冷たかったかも)」 片方は膝を抱え、もう片方は心ここに有らず。明らかに2人ともが相手の事で頭いっぱいな様子を見てじれったく思ったいのとサクラは声を荒げる。 「あーもうじれったい!」 「うじうじ悩む位なら直接行ってきなさい!」 「な…っ!」 「え、ちょ、2人とも!?」 女部屋から追い出された可哀想な2人はポカンと口を開けたまま顔を見合わせた。今このまま女部屋に戻ったとしても鬼の形相で再び追い出されることは目に見えていた。自分達が何故追い出されたのかよくわからないまま2人で隣の男部屋をノックした。 「たのもー」 「(たのもーって、アンタ…)」 間抜けな掛け声に男部屋のドアが開く。中から出てきたのはナルトだった。 「何やってんだってばよ?帰ったんじゃなかったのか?」 「「追い出された」」 その問い掛けに声を揃えて答えるとナルトは首をかしげる。 「どうしたー?」 「ヒロイン1とヒロイン2が来たってばよ」 ナルトがそう言い終わるか終わらないかぐらいにキバが入り口に向かって走ってきた。その向こうでシカマルは顔だけ出して入り口を覗いている。 「せっかくだし散歩しよーぜ!」 「あ、ちょっと…っ」 キバに連れ去られていくヒロイン2を手を振って見送りながら、そう言えば自分はどうしたらいいのかとヒロイン1は固まった。シカマルはその様子を見て、頭をかきながら部屋を出る。 「どうしたよ?」 「よくわかんないけど、怒られて追い出された」 何やらかしたんだよお前。言いながら自分の手を握り歩きだしたシカマルに動揺しながらヒロイン1も歩き出す。 突然の来訪者に、出て行ってしまった2人の友達。まったくもって意味がわからないと、首を傾げるナルトを余所にチョウジは笑顔で布団に潜る。 「だから何だってばよ」 「ぼく先寝るよー」 |