彼には毒つきます



「…………ですよね〜(泣」


「…ザウスさん、先程から何をブツブツ言っているのですか?」


あれからラルク隊長から渡された仕事を終わらせ、今ザウスさんの所に持ってきた所です。

持ってきたのですがザウスさんが先程から異常なまでに落ち込みようで聞き取れない言葉をブツブツと呟いているのです。

とうとう頭が可笑しくなったのでしょうか?
でしたら私と所属部隊の交代を願い出るのですが。

それとも何かあったのでしょうか?


「確かに勘違いしたのは僕だけどさ(ブツブツ)あれは仕方ないでしょ(ブツブツ)」


もしかして仕事が多くて疲れているのでしょうか。

ラルク隊長の下で働けるのになんて贅沢な。

まあ、疲れているのでしたら甘いものを食べれば少しは元気になるでしょう…

甘いもの…甘いもの………

甘いものは持っていないようですね…

せめて何か食べものを…。

あ、確か。

「ザウスさん!」

「…………ん〜、な〜に〜…。」

「良かったらコレを。」

そう言って私は今朝作ったおにぎりをザウスさんに手渡した。

「今朝作ったおにぎりなんですが良かったら食べて下さい。」

ザウスさんは手渡されたおにぎりを見て驚いた様子で口を大きく開けて固まっている。


食べないつもりでしょうか?


「…なんで?」


どうやら渡された意味が分からなかった様子。


「何か元気が無いようでしたので仕事で疲れているのかと…。本当ならば甘いものを差し上げた方が良いのですが生憎甘いものは持ち合わせが無いもので。…いらぬ世話でしたでしょうか?(貴方が仕事をしなければラルク隊長に迷惑がかかるでしょ?早くおにぎりを食べて仕事に取り掛かりなさい。この泥棒猫。因みにそのおにぎりの中身はワサビです。残さず食べて下さいね?)」


心の中では少し毒つきながら表面では苦笑を浮かべザウスさんを見れば首横に勢いよくふり出した。


「ううん!!そんな事ない!そんな事ないよ!!凄く嬉しい!今凄くお腹が空いてたんだ!♪(ニコッ」


「そうですか?それなら良いのです。(ニコッ」


「っ!?(わ、笑った!)」

どうやら迷惑ではなかった様です。

寧ろ喜んでいただけたみたいで安心しました。

まさか罰ゲーム様に作ってきていたおにぎりがこんな所で役立つだなんて思ってもみませんでした。


少しザウスさんの顔が赤い様ですがまあ大丈夫でしょう。

では書類も渡しましたし、そろそろ戻りましょうか。

あまり長居をすればザウスさん(ラルク隊長)の仕事の邪魔になってしまいますでしょうし。


「ではザウスさん、疲れているのでしたらあんまり無茶はしないようにしてくださいね。それでは、私は戻ります。」


「あ、うん♪わかったよ!!おにぎりありがとね〜♪」


そうザウスさんは満面の笑みで言うと手をふって私を見送って下さり、私はそれに軽く会釈をし持ち場に戻りました。





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