『ふぁ〜…眠い。』

ワシは欠伸をしながら、今見えている光景に目を向けた。

あれから約一週間、慌ただしく休めない日々を過ごした。

特にハルンとラナ君との攻防戦あたりで。

ロサさんには会う度にビリサマに一緒に行かないかと誘われて断るのに疲れ果てた。

でもそれとは別にロサさんにはビリサマの事を色々と教えて貰えて助かった部分もある。

今までビリサマの事を詳しく知らなかったから。

にしても何故だろう…

ロサさんが話すビリサマの話を聞いていて何故か懐かしさに似たモノが胸に込み上げてくるのだ。

一度だって行ったこともない場所なのに。

………変な感じだな…。


日に日に大きくなっていく胸のモヤモヤに気分を悪くしながらも、うっすらと見えているワシらが降りる港を眺めた。

『お母さんやっと船から降りられるね。』

そう言って嬉しそうにワシの隣でカゲは笑った。

『うん…やっと。』

ワシもそんなカゲを見ながら笑って言った。

ぽわぽわとしたカゲとの時間を味わっているとその穏やかな空間を突き破るような大きな声が隣の部屋から聞こえてきた。

『絶対いやーーーーっ!!!』





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