顔から突っ込んでいった壁に手をつけ、震えながらゆっくりとこっちを見たハルンの顔は、気の毒になるほど赤くなっていた。 『こ、の…許さん…っ』 『どう許さないって言うの、この万年発情期男!』 目の前で黒いオーラを放ちだした二人を見てワシは小さくため息をついた。 あの屋敷での一件以来、カゲとハルンとの関係は目に見えて悪化していった。 だが何故か危機感を感じない。 ハーンが言うには二人の放つオーラに殺意が混じっていないからだろうとの事。 リグアに関しては笑ってただの子供の喧嘩じゃよと言っていた。 二人の言葉でも納得したがハルンとカゲの喧嘩をよくよく見ているとハルンは一度もカゲに手や足を出していない事が分かった。 だからだろうか、安心して見ていられるのは。 でもカゲはそんなハルンにお構いなしに手や足を出しているからいつも二人が喧嘩すると喧嘩が終わる頃にはハルンはボロボロになってしまっている。 そんなハルンにカゲには内緒で大丈夫かと毎回聞いてはいるが『なんともない』と毎回返され抱きついてきては甘えてくるから本当に大丈夫なのかどうか分からずじまいに終わっている。 最初は何度も喧嘩を止めようと二人の間に入った事もあるが下手にワシが出て行くと火に油状態になる事が何度もあって…。 内容は口喧嘩ばかりなんだけどもどうにも言葉が分からないものが多くて、止める言葉が言えずアタフタしてしまって喧嘩がエスカレートしてしまうのだ。 最終的にハーンが止めに入って落ち着くという感じで。 ▼|戻る|▲ |